見出し画像

虹の橋のたもとで、また会おう

実家で飼っていた犬が亡くなった。
17歳と1ヶ月。まあまあ長生きな方ではなかろうか。
大きな病気や怪我をすることもなく、老衰で安らかに眠りについた。
穏やかな顔だった。


彼の名は「ライト」。
2006年に妊娠中の保護犬から産まれたライトは、里親募集のホームページを見た我々一家の元に迎えられた。当時、生後2ヶ月。
耳が垂れている可愛い子犬の4兄弟の中で、ケージの隅に身を寄せる落ち着きのある子犬を私たちは選んだ。

そんな出会いから17年。
小学校2年生だった私も、途中で実家を出て離れて暮らすようになり、今では社会人3年目になった。
17年という時間の長さと濃さを強く感じる。
我が家の酸いも甘いも眺めてきたライトは、私たちにとって存在が当たり前の家族になっていた。

老犬になってからも比較的元気だったライトだが、最近1年の弱り方はとても急激なものだった。
私も最後の4日間は実家に帰り、ライトのそばにいることができたが、身体を起こせず、大好きなご飯も食べられないほど衰弱しきったライトを見ると、死すらも早く訪れてくれと思ってしまう気持ちがあった。
この気持ちは、ライトの生涯に対する侮辱になっていないだろうか。
そのモヤモヤは今も残っている。

それでも、ライトの安らかな寝顔を見ていたら17年という月日を駆け抜けたことへの敬意と安堵が心を占める。


初対面の落ち着きからは一転、歳を重ねると活発でいつまでも動きが若々しかったライト。
食いしん坊で、テーブルの下から食事のおこぼれを狙っていたライト。
休日でも朝早くから活動を始め、脳が眠ったままの私たちに散歩をせがんでいたライト。

なんでもない日常に思い出が詰まっている。
その全てが愛おしい。


火葬が終わった後、ペット用の葬儀屋の方がこんな話をしていた。
『亡くなったペットは天国へと続く虹の橋のたもとにある原っぱで幸せに暮らしていて、飼い主が天国に行く時にはそこで迎えてくれる』

正直なところ、私はスピリチュアル的な話が苦手だ。しかし、葬儀屋の方がこの話をしたことのメッセージや意図は理解できる。

この話を信じるかどうかは別として、ライトと私たちはこれからも家族なんだということは信じていたいと思う。


ライトはこの17年間で、家族を繋ぎ、安らぎを与え、命を懸けて命の尊さを教えてくれた。


ライト、元気でね。
私たちのところに来てくれてありがとう。
虹の橋のたもとで、また会おう。

この記事が参加している募集

ペットとの暮らし

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?