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交響曲を、木管五重奏で聴く!#ホットファイヴ #ベートーヴェン

こんにちは!はっしーでございます。

4月15日に、江古田駅すぐのカフェ・フライングティーポットというプログレ喫茶で行われた、ホット・ファイヴという五重奏団の演奏会に、会員2名で参加いたしました。その演奏会では、とってもおもしろい試みをなさっていたので、それについての感想をまとめさせていただきます。

曲目は、ホット・ファイヴのオーボエ担当の方による編曲で、ベートーヴェンの交響曲第2番と第3番「英雄」でした!プログラムはこちら→

会場について



まず、会場のプログレ喫茶「カフェ・フライングティーポット」というお店は、普段はロックを中心に演奏する喫茶店です。お店の定員は30名ほどです。お店の詳細はこちら

このように、比較的小さなお店であり、プロの木管・ホルン奏者の演奏を間近に聞くことが出来ました。そのため、まるで練習室に一緒に居るのかと錯覚するほど、息遣いからリズム感、早いパッセージを弾きこなす指遣いなど、ありとあらゆる点で巧みな演奏を間近に聴くことが出来ました。

演奏会の形式・感想

演奏会の形式については、演奏に加えて、楽章ごとに、奏者による小話を多く聴くことが出来るという形式でした。

演奏の感想としては、まず、木管五重奏という形態で、ベートーヴェンの交響曲を演奏するという試みにおいて、とてもよく裏の旋律(いわゆる裏メロ)が聴こえたのですが、どのパート譜も、それ単体だけで立派に音楽として成立しているほどの完成度で作られているのがよくわかりました。つまり、パート譜ごとに内容が充実しているために、合奏で演奏するとものすごい情報量となって我々の耳に届くように、計算されて作曲されているのがよくわかりました。ベートーヴェンの作品へのあふれんばかりの熱意が感じられます。

もちろん、数十人による演奏を前提にした交響曲を、5人分の楽譜に落とし込むということで、交響曲と比較すると音が抜けている部分もありましたが、それを感じさせぬ奏者の技術力でカバーしていました。しかも、たった5人での演奏にも関わらず、はっきりと抑揚がついており、優れた技術力を持っているのがひしひしと伝わってきました。

前半の交響曲第2番は、ハイドンのような明るいメロディーが多く登場しますが、一方で第九の第1楽章の主題らしき旋律が登場するなど、第2番にしてすでに大作曲家であることを痛感させる要素がたっぷりです。

こちらの演奏では、ホット・ファイヴ結成の裏話とか、編曲をなさる時の苦労とかについてお話になっていました。

後半の交響曲第3番「英雄」では、オーボエの方によるお話が大変強く印象に残りましたので、ご紹介させていただきます。

交響曲第5番「運命」と、「英雄」の第2楽章について

オーボエの方によりますと、先日彼が聴いた音源の中で、2楽章にいわゆる「運命」の主題(ダダダダーン!ですね)が出てくるのですが、それを強調する音源(マンフレッド・ホーネック指揮ピッツバーグ交響楽団の演奏)と出会ったそうです。

こちらの、12:19ですね。https://www.youtube.com/watch?v=FsvTjC9hdaY&ab_channel=PittsburghSymphonyOrchestra-Topic

もちろん、英雄を作曲した当時に、これから作曲をするはずの、「運命」の構想とかが既にあって、隠れミッキー的にこの曲に隠したとは考えにくいのですが、ベートーヴェンが新たに作曲を行うにあたり、英雄の第2楽章から着想を得た可能性があるかもしれません、というお話でした。

ちなみに、私はそのような関連があるとは全く知りませんでしたので、たいそう驚きました。そこで、実際の演奏をよく聴いてみたところ、運命の主題が確かに低音を中心にたくさん散りばめられているのがよくわかりました。

以下、少し脱線させてください。私は、「運命」には、なぜテンポが速い演奏と、遅い演奏のどちらも素晴らしいのか、ずっと疑問に思っていました。テンポを速くすれば、作曲の構成がいかに優れているのかがよく伝わってきますし、テンポを遅くすれば、明確なテーマこそ不明ですが、どことなく、「諸行無常」とか、東洋哲学のようなものが連想される作品に聴こえます。特に、1970年にクレンペラー指揮ニュー・フィルハーモニア管弦楽団の「運命」の音源では、そのような点が強調されているように思います。

しかし、冒頭の主題(ダダダダーン!)だけ取り上げてみれば、むしろかっこいいというか、スタイリッシュなメロディだという印象を持つ方も多いと思いますが、何故このような「かっこいい主題」が、「諸行無常」感につながるのか、まったくもって謎でした。

そこで、今回のオーボエの方の指摘に加えて、フリッチャイがこの楽章を、「英雄の墓に、大きな悲しみをと一緒に、土を被せるように」と表現していたことを考慮すると、「運命」の隠されたテーマは、「どんな英雄も、かならず終わりを迎えてしまうという、諸行無常感」というものではないかと推測しました。もちろん、その後の楽章との関連を考えていない仮説ですので、改めて運命を聴きなおしてみて、さらに考察を深めていきたいと思います。

大分話が脱線してしまいました!笑 申し訳ございません。

実際の演奏では、「運命」の旋律をホルンの方が強調して演奏なさっていました。多くの演奏ではあまり強調されない部分ですので、強調して演奏するのは恥ずかしかったそうです笑

ちなみに、第4楽章はとっても早いパッセージが多く登場しますが、さすがはプロの木管奏者、速いテンポで巧みに処理していて圧巻でした。

演奏を通じて抱いた感想ですが、ファゴットの方が、唯一の低音担当ということもあり、スコアの低音楽器の多くを担当していました。そのため、半ば超絶技巧的な演奏になっていました笑 しかし、その奏者の音色が、まるで渋いバリトン歌手のような音色であるため、とても自然に聴こえていたのに驚きました。

最後になりますが、このような感じで、まるでベートーヴェンの交響曲を解剖し、お客さんと一緒にベートーヴェンについて考察を深めるというような試みは、ベートーヴェンの交響曲のファンとしては、大変面白いものでした。そして、途中で奏者からのお話で、お客さんとの距離が演奏会が進行するにつれて縮まったように思います。

そのため、まるで、「オーケストラがやってきた!」の2時間特別版+ベートーヴェンの特集+しかも交響曲第2番、3番を重点的にとりあげる=よく2時間に収まったな!と感心するほど、充実した内容となっていました。

今後の演奏会について

ちなみに、ホットファイヴさんは、今後もほかの交響曲の演奏をなさっていくそうです。

直近では、6月8日(水)に、交響曲第1番、7番、「コリオラン」序曲を、19時から。

7月5日(火)に、交響曲第8番、第6番、「エグモント」序曲を、19時から、いずれも新宿区角筈区民ホールで行うそうです。

上記の通り、大変面白い内容になっておりますので、是非会場でお会いできればと思います!

それでは、ここらでホット・ファイヴに関する感想を終わりとさせていただきたいと思います。最後まで読んでくださり、ありがとうございました!!

はっしー

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