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雑誌『庭NIWA』のコラム『2100年の日本庭園へ』。vol.252では国の文化財庭園を守る和歌山のドイツ出身庭師と大分の異業種若手にインタビュー。


■コラム『2100年の日本庭園へ』が掲載されている雑誌『庭NIWA』vol.252が発売中

庭NIWA最新号

創刊40周年を迎えた日本の「庭」の専門誌『庭NIWA』。2023年1月の発刊号から庭園情報サイト《おにわさん》の中の人:イトウによるコラムがはじまりました。
コラムのタイトルは『2100年の日本庭園へ』。2100年=次の次の世代に伝えるために、「今の自分が次の世代になにができるか」みたいな意味を込めています。

その前段に関しては以下のnoteをお読みください。

2023年4月発刊号の神戸のキーパーソンへのインタビューに関するnoteはこちら。

■7月発売 vol.252でインタビューした方

発売から少し時期が経ってしまいましたが7月発売のvol.252について。地域を限定せずに、「気になった人、紹介したいな」と思った方にインタビューをしました。

①:和歌山県上富田町『ドミニク造園』ドミニク・シュミッツさん

ドミニク・シュミッツさん

前回紹介した藤本計司(庭計)さんと同じく、ドミニクさんを知ったきっかけもInstagram。
そして実はご本人のInstagramではなく、高野山の宿坊:重森三玲が作庭した国登録文化財庭園『西禅院』のInstagramで作業の姿が紹介されていたことでした。

え、日本人ではない方(という括り方も時代には則さないのだけれど)が、重森三玲の庭園を、しかも国の文化財になっている庭園を維持管理されているんだ!?
それが大変興味深くて今回インタビューのオファーをして快諾していただきました。

ドイツにおける造園/ガーデナーの仕事の考え方、京都の有名造園会社の修行時代の話…などなど、やはり「日本だけの経験ではない」からこその面白い話になっていると思うのでぜひご一読ください。

■グローバル時代の日本庭園/Japanese Gardenを伝え、そして盛り上げていくために

「日本人ではない方、という括り方も時代には則さない」と書いた通りで…

●有名な村雨辰剛さん以外にも、海外出身で日本で活躍している「庭師」は続々と増えている
●日本国内の「日本庭園」シーンとは距離がありながらも、アメリカやヨーロッパで活躍されている日本庭園のデザイナーや庭師/運営者がいる
●日本人の若手も続々と海外に「庭園」を作りに行っている
●海外の「** Japanese Garden Association」の方が日本の組織より参加人数も多く盛り上がっている
●ちなみに「おにわさん」のInstagram/Facebookも海外のフォロワーの方が多い

などなど、もはや「日本庭園=日本人のもの」という時代ではなくなっている。もう少しカッコつけて言うと「日本庭園=世界に通ずる芸術の一つ」なので、そこには居住国も国籍も関係ない。

まして日本人は少子化が進み、「後継/跡継ぎ」問題は年を経るごとに顕在化していく。
日本庭園のシーンを盛り上げるためには海外から日本に来る人、日本の文化を好んでくれる人々——の力は不可欠。

もちろん「日本庭園」という文化の源流は日本にあるので、各地の日本庭園が盛り上がって欲しい——という想いで発信をしていますが。
今回紹介したドミニクさんにしても、昨年京都のホテルの庭園を紹介したMark Peter Keaneさんにしても、一昨年対談したエマニュエル・マレスさんにしても。『おにわさん』ではボーダーレスに「日本庭園を守り伝える活動をしている人」を応援していきたい。

②:大分県中津市『平田邸活用推進協議会事務局』台亮嗣さん

平田邸活用推進協議会事務局・台亮嗣さん

もうひとり。今回ご紹介したのは大分県の国登録文化財庭園『平田氏庭園』の運営事務局の台 亮嗣さん。
2019年に国の登録文化財の庭園となった平田氏庭園。そんな庭園もあるのか、行ってみたいな…と思ってから2023年に初めて訪れるまでだいぶ時間は掛かってしまいましたが。庭園については別途下記より。

常時公開ではないので、何度か「このタイミングで取材可能でしょうか」とご連絡を取らせていただいていたのが台さん。お会いしたらとても若い方でビックリした。センスの良い平田邸のロゴを手がけているのもこの台さん。

「日本庭園を伝える」だとか「庭園を活用する」と言っても、東京/京都とそれ以外の地方ではまるで状況が異なると言っていい。その辺の想いは以下のような記事で散々書いてきているので省略しますが。

そんな状況下に置いて、地方で、また「庭」とは異業種から(庭園を含む)この文化財庭園を活用すべく色々と考え・アクションをされている台さんとの会話はとても刺激的だった。
訪れる前は単純に場だけを紹介するつもりだったのだけれど、お会いして「この人を紹介したいな」と思った。ぜひ若手の庭園関係者に届いて欲しい。

■異業種やさまざまなバックグラウンドを持つ人々が「日本庭園」に関わる時代に。

前回は「庭園の運営や活用に、庭師さんがもっと関わったら面白いなという想い」というテキストを書いた。

同じように——上で「居住国も国籍も関係ない」と書いたのと同じように、「日本庭園」というシーンにもっと様々なバックグラウンドの人材が関わるようになったらいいなあ、という思いがある。(自分自身もそうだけど。)

もちろん「文化財庭園」だけじゃなく、歴史的な庭園をカフェとして活用し人気を博し始めている新潟の『CAFE HAYASHI』さんのような例もあって。

もちろんカフェや飲食だけじゃなく色んな成功事例が生まれていけばいいなと…そこに必要なのはやはり「アイデア」だと思うし、そのアイデアを生み出すためには様々な経験、様々なバックグラウンドが必要だと思うので。

「みんな違って、みんないい」「多様性」と言うと綺麗事に思えるかもしれませんが、色んな方法論で面白く盛り上がっていったらいいなというのが当サイトとしての願い。

秋号も準備中です!(もうすぐ発売!)

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