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自分で自分を癒す力を見つけて その力を皆に伝えると決めた人

初めに

深く心を病んで、そこから自分の力で立ち直った人は、なぜか決まって自分と同じような境遇の人に手を差し伸べようとする。今年になってインタビューした4人の方が偶然にもそんなサバイバーばかりでした。今回のアリスさんも、まさにそんな「癒し手」であろうと決意した方です。 泥の中から掴み取った彼女ならではの知恵の強さをぜひ感じてみて下さい。

今回お話を聞いたのは赤坂アリスさんです
https://note.com/alice_s_8101/  


自分の声を聞くために


オンキ:アリスさんは、今どういう状況で、どんな風にお感じなんですか。
 
アリス:今は、自分で起業してホリスティックケアのセラピストとして、またヒーラーとして、身体、また心、その人の呼吸、感情、思考、全てのレベルで今、何か不調が出ているものをケアして、全体としてその人が健康を回復したり、本来の生き方になれるように導くためのお仕事、活動を自分でしております。
 
オンキ:その屋号はなんというんですか
 
アリス:Alice & M.っていいます。
 
オンキ:アリスさんの名前とMって、どういう意味なんですか?
 
アリス:Mには色んな意味を込めていて、日本語で言うと「女神」とか「満開」「無限」とか、英語で言うと「Mercy=慈悲深い」「Miracle=奇跡」とか、あとフランス語だと「Amour=愛」とか「Mignon=可愛らしさ」とかそう言う意味を込めています。セラピストとして、ヒーラーとして、その方自身が持っている「奇跡を起こす本来の自然治癒力」とか魂の力というのを、私の方からサポートしていくみたいな形で。
私自身もいつでも慈悲深い心だったりとか「Mの気持ち」を忘れずに、お客さまの全体としての魂が喜びと幸せと愛に満ち溢れるように、という意味も込めてMがついています。

オンキ:それは「外から何かを加える」というより、その人自身の中に元々あるものがきちんと流れるようにするお手伝いみたいな仕事なんでしょうか。

アリス:そうですね。何か介入していくとか、加えるっていうのが現代の社会で行っている健康管理とか医療行為ですけど、そうではなくて、本来皆が持っているけど、今の生活スタイルの中では現れるのを阻まれてたり、病気になってしまう過程、自分があえて病気を呼び込んでしまっている淀みを取り除いて、奥深くに眠っている本来の光る層を引き出して、その人の未来の方から引力で引っ張っていくみたいな。サポートする時にはコーチのように一緒に伴走しますけど、本来は自分で気づいて自分で立ち直っていくのをお手伝いする側ですね。

オンキ:皆が今、無理してるっていうか、自分本来でないものに取り込まれてしまうのは、どんな原因があるのでしょう。

アリス:そもそも現代社会では生活の仕方が、もう頭も体もバラバラに動くスタイルが一番多いので。例えば、ジムで運動する時でも、朝一番のニュースだったりとか、金融関連のファイナンスニュースを見ながら、体はランニングマシーンで動いてたりとかっていうのは、もう完全に頭と体がバラバラになってる。今の社会だと「それが効率いい」という風になってしまっている。気づかないうちに自分自身を虐げてしまって体と魂とが統合していない。バラバラ事件というか。株が上がったりとかを聞きながら、頭の中ではプロジェクト進行を一生懸命やっているとか。今の仕事のスタイルで成功するには、常にそんなことが当たり前っていうか、そこで頑張っていかなきゃいけないみたいな。それが本来の自分にとっての幸せだったり、成功だって思い込んでいたりはするけど。もちろんそんなスタイルが、幸せに導かれる生き方だっていう方もいるんですけど。
「本来そうじゃないよ」って体がストップする方もいますけど、たいていの人は気づかない。周りの環境だったりとか、時代とかに流されて、とりあえずそうなんだって思ってしまって、自分のレールじゃなくて人のレールに乗っかってしまってるみたいな。会社での昇進競争の流れとか。自分で気づいたら「なんかちょっと最近あんまり幸せって感じてないかもしれない。お給料上がってきたけど」みたいなとか。段々その不一致が大きくなっていくと、何かしら体が病気を起こしてしまったり、もしくは家族の中でs何か不幸が起きたりとか。人生の中でショックな出来事、うまく回らないみたいなこと、人間関係がいっきにガラッと変わってしまうとか、そういうことも起きてしまう。

オンキ:周囲からの洗脳もあるし、自己洗脳みたいなものもあるし、「当たり前の常識」とされてるものにジワジワっと攻められて、がんじがらめになってるとか。

アリス:そうですね。その刷り込み教育をされてきた中で、自分が何も違和感、疑問を感じることなく進んできてしまっているとか。週末になると元気だけど、月曜日になるとブルーになってしまったり、会社行きたくないとか。それはもう体とか魂が症状を発してるので。

オンキ:そういうとき「最初にまずここからやってみましょう」みたいな促しはどんな風にされますか。

アリス:まず自分の声を聞く。自分の中に違和感を感じたとき、まず自分の感情を感じ切るとか。

オンキ:感情を感じ切る。

アリス:「結構なんかちょっと違和感」と思ってもスルーする人が多いんです。芸術家の人とかそういうお仕事されてない限りは、自分の感情をコントロールするようにお仕事なされてる方は多いと思うんですけど。逆に自分の声って聞こえない、なんかよく分かんないみたいな。まずそこが麻痺しちゃってる状態なので。本来は誰でも聞けるはずだし、本能的に人間は生き物、動物なので。何か好きな食べ物だったりとか、美味しいなって感じるものだったり、これはちょっと好きじゃないなとか、なんか心地よいとか、何かちょっとイライラするとか、こんな後悔があるなとか。今どうですか、今日どんな感情がありましたかっていう「ちょっとお風呂入っていい感じ」とか「電車に乗ってて、ちっちゃい子を見て何かちょっと幸せだった」とか、自分の感情をまずはメモして、その瞬間瞬間に自分の感情が動いた時のことを少し意識してみるみたいな。

オンキ:ちっちゃなトコですよね。ちっちゃいけど「心地良い」とか「どうも嫌だな」と思ってしまうことが一番のベースで、そこから色んな複雑な感情が育つ、そこなんですね

アリス:まずは自分の感情を感じるというのを、もう1回思い出す。

オンキ:なるほどとは思いますけど「自分の感情をちゃんと味わう」って、当たり前のようで、なかなか難しいような気もします。そこにもう少し、何か導きの言葉とかは出されませんか?

アリス:一番大事にしてほしいのは呼吸なんですよね。

オンキ:やっぱりそうですか。伺っていて呼吸がキモになっている気がしました。もう少し詳しく伺えますか。

アリス:私自身も結構、自律神経失調症になったり、鬱とかそういうメンタル系、パニック障害になったりとか、摂食障害だったとか結構、自律神経が弱いっていうのが自分でもわかっていて、本当にもう15年ぐらい前から呼吸については「あ、これやらなきゃ駄目だな」って自分で思って、呼吸の先生に習ったりとか、ヨガをしたりとか、瞑想とか、ずっともう本当に修行のように呼吸に向き合ってきたので。最初は脈拍と呼吸を病院で測ってもらってると、心拍数がいつもドキドキ早かったりとか。1分間の呼吸の数も、いつもバラバラだったりとか。当時すごく体が痛い線維筋痛症もあったので、痛くて呼吸もしっかり入ってこないし、よく息を止めてしまってるみたいな。集中すると息を止めちゃうとか。そうすると思考も酸欠状態になって感情に向き合うのもストップしちゃう。呼吸に意識なんて行かないし、感情よりも何よりも、ゆっくり自分がリラックスしてみるっていうことうまくいかなくて。目の前に今起きている体の事とか、ちょっとした悩み事とか、そっちばっかりに頭の神経回路が移っちゃうので。まずは呼吸ができてるかどうかっていう事が大切。

オンキ:それは、かなり深い、ゆっくりした呼吸がベースになるんですか?

アリス:人によってはいつも常に早い呼吸ばっかりしてる人だったり、遅すぎて見れないパターンもあるので、どっちもやってもらったり。

オンキ:どっちもなんですね。縛られてるものを、ほどいて、ゆるめて、自分にとって一番心地のいいペースの呼吸をまずしてみるところからみたいな?

アリス:そうですね。呼吸をまず整える、まず感じてみる。「自分の呼吸って分かったことありますか?」とか。
 

「風の時代」の私へ


オンキ:なるほど。アリスさん自身も、その良い状態になれない、つらい時期をお過ごしになったようですけど、そのつらい時期になる前の、ご自身がどんなふうに成長して、一旦マイナスの状態になって、そこから復活したっていう、その歩みを伺ってもいいですか。

アリス:はい。幼少期は、いわゆる普通に中流階級で、衝撃的な虐待があるとかではないし、小学校のあと中学受験をして私立の女子高に行って大学受験をしてみたいな感じで。私の場合は、父がすごく厳しい親だったので、いわゆるアダルトチルドレンまではいかないかなと思うんですけど、子供のときに子供らしくいられなかった。母親もその当時体が弱くて寝込みがちだったのもあったのと、父親は、私が何をやっても頑張っても絶対褒めないタイプだったので。

オンキ:ほおお。

アリス:常に「100点取っても当たり前でしょ」みたいな感じだったり、妹と遊びたくても勉強しなさいみたいな。妹と遊んだら「あなたが馬鹿になるから駄目」みたいな、そういうことが多かったので。素直に勉強を頑張るみたいな。なりたい職業につくっていう風には育ちはしたけど、やっぱり父の存在が自分の中ではちょっと大きすぎた。近くて、自分を支配する、コントロールする存在として父はいたので。だから承認欲求みたいなのが満たされないっていう幼少期でした。

オンキ:なるほど。社会的な通念とか常識の代表選手として、一番身近にお父さんが立ちはだかってた、みたいな感じありますね。

アリス:そうですね。すごく嫌だったんで、今はもう境界線を引いて、距離を保って接しています。近すぎると気持ち悪くなるし、具合悪くなるから。いろいろあったんですけど、伝統とかしきたりだとかに関しては厳しく育ててくれました。今は「風の時代」ですけど、そういうものが「土の時代」には本当に大事にされてたということを、一番最初に教えてくれたので、そのエッセンスは感謝してもらっといて、それ以外のものはいらないよねって手放した感じです。

オンキ:今「風の時代」と「土の時代」とおっしゃいましたけど、その地水火風の時代区分はどういうものなんですか。

アリス:いわゆる昭和とか、その前の時代には、頑張ること、常に頑張って自分を痛めつけるというか。どちらかというと、いばらの道をあえて選ぶことが人間としての成長に繋がるとか。そんな教えを全てにおいて伝えてくれたので。とにかく血を吐くまで働くとか。

オンキ:「土の時代」から「風の時代」になったとお父さんがおっしゃるんですか。

アリス:父は全然言わないです。「風の時代」になったのは最近のことなので。父は本当にもう「土の時代」の人だなっていう。

オンキ:お父さんは「土の時代」の人で、私はもう「風の時代」に生きてるんだ、っていう実感ですね。

アリス:そうですね。

オンキ:じゃあ、火の時代と水の時代もあるんですかね。

アリス:エメントとしては200年後とか。

オンキ:地水火風はぐるぐる回るんですね。では「風の時代」に行く前の、産みの苦しみの時期に心や体のバランスを崩されたっていうことなんでしょうか。

アリス:そうですね。私の場合は多分、今思うと、自分本来の魂が何をしにこの地球に生まれてきたのっていうのを、本当に気づかせてくれるために起きたのかなっていう気はするんですけど。

オンキ:このままじゃ駄目だ、違うよっていうのを教えてくれるために不調にさせられたっていうことですか。

アリス:あと、自分の本来の使命というか、生まれて地球で何していくのっていうのを…何かちょっとおかしい話かもしれないですけど、小学生の頃「宇宙に帰りたい」と思ってたんです。

オンキ:この星に降り立ったけど、早く帰らなきゃって感じですか。

アリス:どっか違う世界に絶対自分には場所があって、早くそこに帰れると思って。ちっちゃい子って基地作って遊ぶ子もいるけど、私は、なんかいつも空見てたりとか、お菓子のおまけについてきた箱を開けたら、そこからどっかの世界にワープできるって、ずっと思ってたりとか。低学年の頃はそういう感じだったんですけど。星を見るとか、星座、夜空を見るのがすごい好きで。中学受験をする頃には塾行ったりして、段々そういう発想は消えていったんですけど。今思うと、そういう以前のまだ受験戦争に陥る前は、自分の好きな音楽を聞いて、もう勝手に自分で踊ってるとか、そんな感じですね。サイキックっていうのか、何かを感じる能力、センサーは本当強かった。

オンキ:そこがアリスさんの原体験ですね。

アリス:そうかもしれないですね。自分でセルフヒーリングをして魂の記憶とかを思い出していくと、そこにも繋がる。「なんか地球が嫌だ」「なんで地球で生きなきゃいけないんだ!」みたいな、すごいフラストレーションとか結構あったのが、結局病気に繋がってたみたいなので。

オンキ:この星で生きる自分を受け入れるところにまだ行けてなかったんですね。

アリス:うん、そうです。

オンキ:「踊る」っておっしゃいましたけど、音楽に共振して踊るっていうのも宇宙との繋がりと関係あるみたいですね。

アリス:うん。そうですね。クリスタルを使って波動でチューニングしていくっていうのも私のセッションでやるんですけど。自分の体が地球と同調していないというか、どっか行っちゃってるとか。地に足つかないで、ただフワフワしてて、お金の問題が出てきちゃってたりとか、あまりにも空想的になりすぎて、体がどんどん太っちゃって、地に足をつけるために、質量として体が「こっちだよ」って重くなって「全然なんか痩せないです」って、水しか飲んでなくても痩せないみたいな。でも私みたいにフラストレーションが溜まってる場合は、今いるこの地球でも楽しめるように「生まれて何の楽しみをするために来たの?」を思い出すためにも、音で、波動で調整する。

オンキ:うん。

アリス:こことそこ全部一緒なんだよねと、今、多角的に見えてくる、感じている身体と、呼吸をしてチャクラでインスピレーションを受け取ったり出来るっていうのはあると思います。その人、それぞれが信じてるもの、何を信じたいとしてるのかとか、何をしようとしてるかを絵にしていくみたいな。例えば、もし「毎日美味しいアイスを夜中に食べることが生きがいで、それが私の健康の源です」っていう想いがすごく強いと分かったら、たとえそれが、どんなに栄養学とか医学ではお勧めできないとしても、いいんじゃないって。

オンキ:どうしてそんなにアイスクリーム?って言っても、その人にとってはアイスクリーム!かもしれないですね。別に間違ってもいないし。

アリス:その一人一人、やっぱり違う人生の楽しみ方とか、健康であるバランスの取り方は違うので。私みたいに全てを失うっていう、壊しちゃったりとか、愛する人を全部失っちゃってとか、大事な人が亡くなっちゃってとか。そういうことが起きたときは、やっぱりその出来事がメッセージを知らせてくれてるとは思うので、そこをちょっと見てあげようかっていう。

オンキ:そういう大きな喪失で生まれるバランスの崩れもありますけど、多分ちっちゃなことでもバランスは崩れますよね。何でもない小さなことの積み重ねのうちにバランスが崩れて、あるとき自分の体から大きな反乱というか、不調っていうか、とてつもない痛みがやってくるとか。もうこれまでの「自分の考えてた自分」をそのまま続けてちゃいけないんだって、体が教えてくれたり。アリスさんも、とてもつらいことがあったんじゃないかと想像しますが、その辺をもう少し伺ってもいいですか。

呪いを解くまで


アリス:うん。なんか今思うと、もう全部が糧になっちゃってるんですけど。大学卒業する時にメンタル疾患になって、その当時留学をしようとしてたんですけど、あまりに不摂生でした。夜中も徹夜して論文仕上げたりとか、本当に根を詰めていたし、自分が女性であるってことをほぼ忘れるっていうか、あまり考えていなくて。実際その当時、摂食障害で食べ物を吐くとか、眠れないとか、食べて吐いてとか、何か吐きたくなる衝動とか。

オンキ:それは「吐いてしまう」んですか、それとも「自分で吐こうとする」んですか?

アリス:自分で吐きたくなっちゃう衝動に駆られるみたいな。別に当時そんな太ってたわけでもないんですけど、いわゆる過食して痩せちゃうタイプですね。食べ物を吸収するのを拒否していたんです。過食するんだけど、食べても吐くから食べた分が栄養にならないっていう。

オンキ:それは相当心身に負担が来たはずですね。

アリス:何がストレスだったかなって。夜寝れるためのセロトニンとかメラトニンとかのホルモンの稼働は壊れてますし。もう本当に栄養バランスもなってなくて。一番幸せを感じるホルモンを出す小腸も、食べ物が入ってこないわけで。胃まできて終わりなので。本来動くべき臓器が動かなかった。

オンキ:幸せとか不快を感じるのは小腸、はらわたなんだって本当にそう思いますね。

アリス:それもあって結局、自殺未遂までしちゃったんですけど、車で病院に運ばれて。結局、精神科に行かざるを得ないみたいな。やっと親も「危ないんだこの子」みたいな。

オンキ:お父さんもさすがに気がついたってとこですか。

アリス:その時は何か気づいたみたいですけど。今の自分が当時の自分を診察するとしたら、当時実家にいて親が嫌だったっていうのと、ちょうど巣立つ時期だと思うんですけど。ずっと勉強しても「駄目だ駄目だ」みたいな感じで言われ続けて、でも留学して巣立っていこうというタイミングって、やっぱり子供が大人になる、ちょうど成長を遂げる分岐点だったのもあった。親の愛をちゃんと多分、受け止められていないとかも、あったのかなって、それが一番大きかったのかなって気はするんです。自己肯定感とかも、ほぼない。今から海外に行って学者になるために大学院で学びの競争が始まるっていうのに、自分にはまだまだ勉強が足りないみたいな想いを常に持っていたり。また当時の指導教官だった方からも「厳しい世界、競争の世界だから」と夜中にFAXが送られてきたりするみたいな。

オンキ:お父さんといい、指導教官といい、「土の時代」の方とご縁が..

アリス:それが嫌だったらNOって言えるはずなんですけど。自分がないっていうか、勉強することでしか自分の価値がないんだって思い込まされてたし、自分でも思い込んでそれを信じていたし。でも本来の私の体は違ったんだろうと思う。混乱を起こして食べない。食べたものを消化する、吸収するところまでいかない。結局その後日本で療養して、大学院も行かずに、とりあえず日本で契約社員で働くみたいなことをし始めたんですけど。

オンキ:療養にはどのくらいの時間かかりました?

アリス:入院して、自宅で療養して半年ぐらいです。でもその後通院をして、その会社も、結局休職しちゃったりしてるので、ちゃんと治ってたわけではなくて。ほぼ20代の間は体調崩しては会社を休職するとか、辞めるとか。何社か転職して、また辞めてみたいな繰り返し。

オンキ:小さいときからずっと、お父さんや指導教官から「この世界しかないんだ、これだけが価値だ」と思い込まされてきたのと同じぐらいの時間が、そこから脱するのにもかかったのかもしれないですよね。

アリス:あと治し方として、単純に精神科、心療内科しか行ってなかったので。抗鬱剤を飲む治療だけ、薬でなんとか脳をコントロールしてるだけなので。根底から自分が改善してるかっていうと、あんまり考えないようにするとか。好奇心がなくなるならないように、強制的にセロトニン再取り込み阻害薬を飲んでるけど、自分では受け取れる器をまだ作れてなかった。あと線維筋痛症っていう病気を、大学時代に1回インドに行ってから発症しちゃったことがあったんですけど。またそれがぶり返して。

オンキ:インドに行ってですか?

アリス:インドでの検査の結果では急性腎盂炎だったんですけど、その後日本に帰ってきて、検査をして線維筋痛症ですねっていう。原因不明の発熱とか痛みが続いて、熱がずっと出てるし、頭痛は続いていてとか、あと全身が痛くてっていうので、いろいろ何か検査をして。大学病院転々として。何かわかんない病気になってるみたいな。それがずっと。結局本当に最近治るまで20年ぐらいかかっているので。

オンキ:ご苦労さまでした。

アリス:本当に深いところでの問題があったのかなっていう。

オンキ:線維筋痛症は完治なされたんですか。

アリス:そうですね。この2月に先生に「もう薬いりません」と。自分でも勝手に断薬してたんですけど。痛くないし、コントロールできる。ヒーリングだったり、ヨガだったりとか、自分で治すことを学んで実践して、「いけるな」ってなって。「薬いらないかもです」って言って調べてもらって「いらないね」って。やる気が落ちてしまう、痛みで落ちちゃうとか、その痛みがそもそもないし。不眠になることもないし。いたってコントロールはできてるので。漢方とかは飲んでたんですけど、今、一切お薬は飲んでない。

伝えていく未来


オンキ:アリスさんを今のアリスさんにしてくれた、様々な障害、病気も、痛みも、その全てはもう、切り離しロケットのように剥がれて、すっきりクリアになったところでしょうか。

アリス:そうですね。なんかやっと。やっと「ここがスタートなんだよ」ってところに持ってってくれた感じ。

オンキ:今スタートしたところで、ここからさて、どこに行きましょうか?

アリス:なので今、自分はそのホリスティックケアでもっと多くの患者さんを治す、私と同じ病気の人じゃなくても、ヒーリングとかヨガのセラピーを使って、自分で自分を癒して回復できるような活動をしています。日本ではやっぱり治療っていうとお薬に行くんですけど、そうじゃない「治療としてのヨガ」、もっと全体としてのケアの仕方で、自分で自分を治せるよっていうのを伝えていくとか。もちろん私はそのサポートもするし、そういうケアを自分で学んでやりたいっていう人のために、学べるようにしていく。

オンキ:それは、アリスさんが辿られた自分史そのものを圧縮したパッケージみたいな感じもしますね。

アリス:私は学ぶのに20年かかっちゃったので、もっと短く、そんないろんな経験しなくてもいいんじゃないですかっていう。

オンキ:でも、すごく充実した「自分学校に自分で入学してた」って感じですね。

アリス:そうですね。訳もわからないまま結婚しちゃったりとか、パートナーと何をやりたかったかとか、自分の中に愛がまだ育ってない、自分を愛してないのに愛してほしいみたいな。まだそんな時だったんだと思うので。自分のことなんか嫌いだし、自分のことに対する自信もないしみたいな。そんなだと、やっぱり長く続く愛ではなくなるので。一緒に育っていくとか、育て合うとか。本当に一心同体みたいな感じで。家族としてどんどん育んで輪が広がっていくとか、家族からまた社会に繋がっていくとか。当時は広がっていくことが全くわかっていませんでした。結局、病気を治す過程で絶対、愛に気付く。愛を受け取るとか、愛を伝えるとか、受け取ってちゃんと渡す力があるかどうかとかも結構関わってるなっていうのがわかったので。もっとみんなに「何十年もかけて苦しまなくてもいい」って伝えていけたらいいなと思っています。

オンキ:今は、アリスさんはアリスさんのこと愛してるんですか。

アリス:そうですね。自分はすごい大好きですね。

オンキ:大好きですか。いいフレーズですね。そしてパートナーのことも愛してらっしゃいますか。

アリス:そうですね。ほんと感謝、感謝の人です。いろんな意味でお互い気づきを与え合って。絶対的な安心感、いわゆるセロトニンの役割?自分がいていい、どんな自分でもあっていいし、絶対に離れないっていうか、別に逃げも隠れもしないで「ずっといつも自分の中にセレトニンがありますよ」ていうのをお互いに発信し合える、相手に与え合えるっていう関係。

オンキ:本当に文字通りの伴侶に出会わられましたね。

アリス:ありがたい事にそうですね。

オンキ:では、20年かけて取り戻せた、血まみれで泥まみれで掴んだ知恵を、他の方々におすそ分けしていくような活動っていうふうに考えていいんでしょうか。

アリス:そうですね。多分、まずは草の根っていうか、基本パーソナル、一対一とか、小さいグループでのヒーリングですけど。もう一つやりたいこととして、医療制度のあり方を変えたいんです。今、私もオンラインでオランダのヨガのセラピーを学んでるんですけど、世界的にもそういう傾向、潮流があるので。サイコセラピストや、心療内科とか精神科の医者は結局、薬でしか治療をしてあげられないから、その人自身が変わって学ぶ力で根本的に治ってはいかない、っていうことが海外でも議論になっていて。医療者だったり、医学的に研究している方とも一緒に社会を変えていくっていうのも、やっていきたいなっていう気はしてます。

オンキ:お医者さんは、薬出さないと生きていけない、生活できないような仕組み、制度にがんじがらめにされてると。

アリス:そうですね。患者さんのためにと、日夜研究しても結局「薬から発する何か」しかないわけで。製薬会社に勤めていた頃、薬の先を考えようてってプロジェクトチームもあったんですけど、やっぱり本質的に人間を見るところまでは医学の世界では、日本は特に、まだないのかなっていうのが。

オンキ:そうかもしれませんね。東洋的な発想だと「病気は何か悪い敵が入ってくる」んじゃなくて、その人自身のバランスが左や右に偏りすぎて倒れてるだけだ、と。どちらかを重くする、どちらかを軽くするってことで、立ち直っていくっていう。

アリス:そうですね、東洋医学は陰陽のバランスで「そもそものエネルギーを変容する」って考え方です。ネガティブなエネルギーがあったとしても、それ自体と戦う「病気に対して敵」っていう考え方はなくて、病さえもポジティブに変換できるっていう考え方をするのがいいのかなって。私のいわゆる黒歴史みたいな、20年ぐらいの過去だったりとかを、別に自分の中で嫌だっていうよりは、それがあったからこそ変化できた。それがエネルギー、次の原動力って気づかせてくれたって置き換える。過去を置き換えることは可能なんだなっていうのはあるので。
例えば「癌がある。じゃ駄目。早く消す」とかっていうよりは、実際に癌になったら旦那さんが優しくしてくれたとか。何かみんなが助けてくれるとか、荷物持ってくれるとか。別に病気があってもなくても、助けてもらうことを受け取ってもいいよねって気づけるようになると「癌がその人に何を教えてくれてるか」っていうのが分かってきます。性格として「そもそも私は誰かに助けを求める苦手とか」っていう状態から、旦那さんに「ちょっと重いから持って」っていうのを一言言えるようになったりとか。だんだん関係性も良くなってきて、そうすると「よかった気づいてくれた」って。本当に自分の持ってるエネルギーで腫瘍がちゃんと消えていくっていうことも実際あるので。自分本来のものを、もっと力抜いて循環させて、変えて行こうよって。だから病気は敵じゃない

オンキ:そうですね。病気は敵で、異物で、叩きのめささなきゃいけない、排除しなきゃいけないっていう発想から作られる薬しかないっていうのは、残念な感じがしますね。

アリス:戦うエネルギーがあると、いつも誰かに対してイライラしてたりとか、人間関係を構築していくときも損得勘定でネットワーク広げたりとか。そうすると大体そういう人ってビジネス続かなかったりとか。大きな会社の方でもそうでしょ。社長さんの下で社員が育っていかないとかってあるから。やっぱり戦う時代じゃないっていう。時代と共に病気の治療も変わってきてる。気づいてるお医者さんの先生たちはやっぱり増えてるし。一般市民も病気に対する捉え方とかも変わってきたらいいのかなって。

 
奇跡は起こる


オンキ:理想的な形になるには、まだまだ長い時間がかかると思いますが、そのためにアリスさんがこれからできる小さな一歩、もう明日からでもできることって何でしょうか。

アリス:ドサ周りっていうと変ですけど、自分の体験したことを色んなところでお話したりとか、実際お客様っていうか患者さんに治っていってもらっていく事と、やっぱり研究者の人たちとか医療関係者と一緒にコラボしていくこと。そのために、その方達ともう一度繋がり直すっていうか。

オンキ:繋がり直すのは、電話をいきなりかけるとか、メールを出してみるとかですか?

アリス:そうですね。自分の今までの過去全部で、話がわかりそうな人とは繋がっているし、新しい繋がりも含めて常に発信はし続けるけど、もう一度「あのときの人と繋がり直せるかな」みたいな。

オンキ:こうやって自分語りをしてくださったことも一つの試みになるのかもしれないですよね。では、最後には言い残したことありますか。

アリス:そうですね、奇跡は起きますってことです。

オンキ:そうですか。だってアリスさんに起こったんですもんね。

アリス:はい起こりました。普通の一般市民の私に起こったので。特別な地位とかある方じゃなくても、会社を休職せざるを得なくて離婚してたどん底のときの私に奇跡は起きてるので。

オンキ:どん底のときにミラクルが起こりましたか。一番底に落ちたときに。

アリス:そうですね。もうパートナーもいないし、このまま仕事を休職してたら、もう本当にわずかな貯金も無くなるし、みたいな。飼っていたワンコも病気になっちゃってみたいな。そこから何か知らないけど再婚できたし、ワンコも余命2ヶ月から復活したし、自分も病気に治っちゃったしとか。

オンキ:犬の病気も治ったってのは、なかなかいいですね。そのミラクルが起きたときには何か光が差してきた感覚だったんですか。

アリス:光が差すってよりは、そのとき自分はまだちゃんとそのヒーリングの手法は習ってなかったけど、勝手にワンコにヒーリングしてました。ヨガや、犬のホリスティックケアの資格は持ってたので。ワンコは心臓弁膜症だったので、肺に水がたまって「はい2ヶ月でもう本当に亡くなります」って言われて、先生まで泣いちゃってるみたいな。でも自分は「この子は多分治る」って思ってた。その子が生きたそうだった。私、心臓をすごい見てたんですよ。今、ヒーリングセッションするときにも相手の方の体の中をリーディングしていくんですけど。音叉使って音でワンコをチューニングとかしてたら、2ヶ月後くらいからムクムクって食欲も増して元気に走り出すようになってきて。先生も「あれ?」ってなって。検査したら「前回よりステージが戻って、良くなってます」みたいな。本当に命の終わり寸前のステージから「ステージ2になってますよ」みたいな。

オンキ:そうか。アリスさんにも起こったし、犬にも起こったんですね、それが。

アリス:夫もそうでした。夫は病気じゃないんですけど、自分でやりたい夢を叶えるっていう意味で、60過ぎで、若い頃取った薬剤師の資格を活かして、一から薬局を開きました。現場の薬剤師とて働いた経験もないし「年齢的にも絶対無理でしょ」って周りから言われて笑われても、「本当にやりたいことだから」って言って、やり始めたのが60過ぎで。

オンキ:旦那さん60過ぎなんですか。

アリス:はい。そうですね。私は、おばあちゃんになりたかった。子供は産んでないんですけど、夫に息子が2人いて、もうお孫ちゃんが元々いたし。下の孫が、あと2週間後に生まれる。

オンキ:ご自身の孫みたいなもんですね。

アリス:そうですね。私は前から自分で子供を産むっていうよりは、いろんな人をたくさん育てるっていうのが良くて。動物も大好きなので。「なんか願いが叶ってるな」みたいな。いきなり家族が増えて。子供産むのどうしようと思ったら、再婚して「あ、子供いたわ」みたいな。しかもお嫁ちゃんもいるし、同級生よりはちょっと下ですけど。そんな感じで、苦労しなくても親になれちゃったみたいな。

オンキ:義理のお母さんって言うより、お姉ちゃんって感覚ですか。

アリス:そうですね。良くしてくれるからありがたいなと思って。最初はびっくりしてたと思うんですけど。

オンキ:全部がうまく回って本当にそれがミラクルだったと。誰にでもそのミラクルが起こりうるってことですね。

アリス:そうだと思う。

オンキ:僕もちょっと見て欲しくなってきたな。

アリス:見ますよ!

オンキ:それはまた別のセッションでお願いします。
 

最後に


最低最悪のどん底で自分の身に起きた大転換。そんな奇跡の瞬間は誰にでも訪れるという確信。アリスさんの真ん中にはそんな強い心棒があるのだから、もう恐いものはないでしょう。
さあて、怒りとやるせなさに襲われたら、僕も大きく息を吐いてみますか。




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