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わだかまり~女でハーフでムスリマで~

はじめまして。バーヌです。
私のnoteに興味を持っていただき、ありがとうございます!

(1)自己紹介:私の「3つのマイノリティ性」

私自身、女性、ハーフ、ムスリマとして日本で生まれ育ってきました。どことどこのハーフ?ムスリマってなに?などの詳細は今後のnoteで書いていくので一端スルーしてください。このnoteでは、そんな3つのマイノリティ性を持つ私が日本社会で暮らす中で感じた生きづらさや考えたことを書いていきたいと思います。特に、当事者にとって言葉にしづらい部分や、当事者以外にとってはなかなか見えにくいところにフォーカスしていきたいと思います。

(2)「マイクロ・アグレッション」について

そんな、当事者以外にとっては見えづらい偏見を表す言葉に最近出会いました。「マイクロ・アグレッション」という言葉です。皆さんは聞いたことがありますか?

Wikipediaをみてみるとマイクロ・アグレッションという言葉や考え方は、1970年代にアメリカの精神医学者であるチェスター・ピアスによって提唱されたようです(注1)。
50年近く前から言われているようですが、私がこの言葉と出会ったのはごく最近のことです。職場の同僚から送られてきたこの動画に衝撃を受けたことがきっかけでした。

見ていただくとわかりますが、この動画では、マイクロ・アグレッションを「蚊に刺されること(モスキート・バイト)」に置き換えて説明しています。
言う側にとっては無自覚なものであっても、言われる側にとっては蚊に刺されるように不快なことで、さらにそれが積もり積もって、時にリミットを超えてしまう、という事がわかりやすく伝わってきますね。私も見ながら、「そうそう、ほんまそれ!」と共感しました。

私の経験で言うと例えば「料理上手やなぁ、さすが女の子」「ハーフやし英語ペラペラなんやろ?」「ムスリムやったら豚肉食べれへんとか可哀想」などなど…
悪気がない言葉でも、言われる方としてはしんどさが募っていきます。

ここではそんなしんどさを中心に、これまで私を刺しまくってきた蚊たちを当事者という立場から「声」を武器に、ガンガン潰していきたいと思います。

(3)マイクロ・アグレッションをどう訳す?

日本語では、マイクロ・アグレッションはさまざまな言葉や表現で訳されます。少し調べて出てきたものを上げてみると…「わかりづらい差別」「ずるい言葉」「気がかりな言葉」「ちいさな攻撃」「自覚なき/無自覚な差別」「見えない差別」「意図せざる差別」「モスキート・バイト」「うっかり足を踏む」「あいまいな差別/攻撃」「日常の無意識なレイシズム」などがあります。この動画を紹介してくれた同僚は、言葉での攻撃ということで、「口撃」と訳していました。

私もこのnoteを書くにあたってマイクロ・アグレッションをどう訳すか、考えてみました。マイクロは小さい・細かいという意味、アグレッションは攻撃という意味があります。小さくて細かい攻撃。実際、マイクロ・アグレッションに遭遇したとき、これが他者からの攻撃かどうかわからないことがしばしばあります。けれど同時に、言われた側は自分の心の中では、なんともいえないもどかしさやモヤモヤがあり、何かが引っかかっているような感覚がするのです。

さらに、言った側も「それはマイクロ・アグレッションだ」と指摘されても、すぐに納得することは難しく「そんなつもりじゃなかった」「褒めてるだけやのに」となんだかむずがゆい気持ちになります。

このように、マイクロ・アグレッションは両側の何とも言えないあいまいで複雑な心情を生じさせるため、うまく日本語に訳すことができません。
そこで、このnoteではマイクロ・アグレッションはそのままカタカナ表記にし、マイクロ・アグレッションをめぐるモヤモヤを「わだかまり」と表現することにしました。

(4)note「わだかまり」を始めようと思った理由

先日、同僚が「マイクロ・アグレッション」に関する職員向けの研修を行うということで、私のマイクロ・アグレッションの例をいくつか上げてほしいと言われました。せっかくなので、自分自身がこれまで言われて「わだかまり」になったものを洗いざらい書き殴ってみることにしました。

詳しくは今後noteで綴っていきますが、見た目のことや、家族に関するプライベートな話、宗教をめぐる偏見、「ハーフ」への過剰な期待、ジェンダーに由来するものなどなど・・・

思いのほか、「わだかまり」が溜まりに溜まっていることに気づき、よくこれだけの「わだかまり」を抱えてここまで生きてきたもんだ。あんた、たいしたもんだよと、とにかく自分を褒めちぎったわけです。

私もその研修に参加し、書き上げたものの中からいくつかピックアップして、紹介しました。マイクロ・アグレッションの事例としてあげたものに対して、職員それぞれがどう捉えているのかを簡単にアンケートを行い、シェアする時間がありました。そのとき一番ショックだったのは、具体例のひとつひとつが、どういった意味でマイクロ・アグレッションになりうるのか、言葉の裏にある可能性を想像できた職員がほとんどいなかったことでした。この研修のあとに、マイクロ・アグレッションに該当すると自覚した過去の発言について謝ってくれた方もいてとても嬉しかったのですが、どうして私がその言葉にモヤっとするのかまで理解してもらえたかはわかりません。

この経験から、とにかく、マイクロ・アグレッションの具体例を提示しただけでは、足りないのだと気づきました。そして、怒りとしんどさが入り混じったような感情が沸いてきました。無意識に発せられる言葉の一つひとつを丁寧に読み解いていく必要があるんじゃないか。どんな背景をもつ人が、どんな言葉で傷ついているのかを、わかりやすく説明しなきゃいけない。そうしないと伝わらない。ならば、私にもできること、やらなければならないことがあるのではないか。

そのためにまず、私のぐちゃぐちゃに絡まった「わだかまり」たちをじっくりとひも解いていきたい。そうすることで、皆さんと一緒に考えることができるのではないか。そう思って、このnoteを始めることにしました。

(5)意気込み!!!

もしかしたらこれから綴っていく内容を、単に当たり前のことをつらつらと書いているだけだと思う人もいるかもしれません。けれど、残念ながら、少なくとも私がこうやって声を上げなければいけないほど、それを当たり前だと感じていない人もいます。

これまでも多くの当事者が同じようなことについて声を上げ、マジョリティに対して訴えてきました。もしかするとマジョリティの方々がうんざりしているかもしれないのと同様に、私たちももううんざりするほどに声を上げてきました。

そろそろマジョリティの意識だって変わってくれてもいいんじゃない?そろそろマジョリティ側がアクションを起こしてくれてもいいんじゃない?そういう気持ちもぶっちゃけあります。でも、だからといって声を上げることを止めたらきっと私たちは忘れられる。なかったことにされる。見なくていいものをわざわざ見ることをマジョリティはしないだろう。だから私は黙ることを決してしない。疲れたら休むことはあったとしても、またひょろっと出てきてここで悲しんだり、怒ったりしてると思います。その怒りやしんどさをここに残すことが、どこかの誰かのためになれば、少しでも意味があるだろうと信じて。

これから少しずつ頑張って言葉にしていきますので、引き続きバーヌをよろしくお願いします!


・注1 Wikipedia マイクロアグレッション



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