バーヌ(baanu)

海外ルーツの子ども支援。日本語教師。書き手。

バーヌ(baanu)

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最近の記事

第3話「マジ神~」

 前回少し紹介したように私の父はイスラム教を信仰しています。母は父との結婚を機に、イスラームに改宗しました。  イスラームにおいては、ムスリムの両親から生まれた子供は生まれつきムスリムとなります。そのため、私はいわゆる「ボーンムスリム(生まれながらのイスラム教徒)」です。  今回は、「神」をめぐるわだかまりを書いていきたいと思います。 わだかまり「マジ神〜!」 最近、日本の若者の間で「神(かみ)」という言葉がとても軽く扱われているように感じます。実際に、私が大学生のとき

    • 第2話「なんかしゃべってみて」

      私はいわゆる「ハーフ」であるが故に、英語が話せること、さらにルーツがある国の言語を話すことを期待されることがしばしばあります。今回はそうした期待にまつわるわだかまりをテーマにしました。 ちなみに、私の父の出身地、スリランカには公用語がふたつあります。シンハラ人が話すシンハラ語とタミル人が話すタミル語です。前述したように、私の父はいわゆる「ムーア」人です。ムーア人はタミル語で話をしますが、標準語のタミル語というよりは方言のようなタミル語を話します。また、ムーア人(イスラム教徒

      • 「絵の中のパパは‟しろいじん”」

         前回のコラムを執筆中に懐かしい記憶がふわっと目の奥に浮かんできました。今回は記憶がある範囲内でおまけエピソードを書いてみようと思います。 4色で描いたパパ 私は小学校に入る前、保育園に通っていました。  保育園にいたときのどのタイミングだったかは覚えていませんが、父の日に「お父さんの似顔絵を描いてプレゼントしよう!」と先生がみんなに呼びかけました。  当時は今より絵を描くのが好きでした。本を読んだりするよりも絵を描いたり、思うままにねんどをこねて好きなものを作ったりする

        • 第1話「生まれつき地黒なの?」後半

          前半では、バイト先での個人的なやり取りから、質問の背景にあるモヤみやしんどさについてお伝えしました。 ここからは、もう少し社会の方に目を向けていきたいと思います。 それは、肌の色が異なる「人種※1」間の差別だけではなく、同じルーツの人同士でも肌の色で偏見があったり、メディアなどを通して社会の中に浸透した偏ったイメージによって起こるものがあります。 (2)社会に浸透した「カラリズム」 こうした肌の色をめぐって、最近「カラリズム Colorism 」という聞き慣れない言葉を知っ

        第3話「マジ神~」

          第1話「生まれつき地黒なの?」前半

           このところ「マイクロ・アグレッション」として知られるようになってきた、言う側にとっては多分何気ない、言われる側にとっては強烈な言葉たち。そして、そうした言葉の持つ問題が伝わらないままに溜まる「わだかまり」。今回は、最近、TwitterなどのSNSで改めて関心が集まっている、「肌の色」をめぐるわだかまりについて書いていきたいと思います。  私の父はインドの南、小さな島国のスリランカ出身です。スリランカにはいくつかのエスニック・グループがありますが、その中で父はアフリカや中東

          第1話「生まれつき地黒なの?」前半

          わだかまり~女でハーフでムスリマで~

          はじめまして。バーヌです。 私のnoteに興味を持っていただき、ありがとうございます! (1)自己紹介:私の「3つのマイノリティ性」私自身、女性、ハーフ、ムスリマとして日本で生まれ育ってきました。どことどこのハーフ?ムスリマってなに?などの詳細は今後のnoteで書いていくので一端スルーしてください。このnoteでは、そんな3つのマイノリティ性を持つ私が日本社会で暮らす中で感じた生きづらさや考えたことを書いていきたいと思います。特に、当事者にとって言葉にしづらい部分や、当事者

          わだかまり~女でハーフでムスリマで~