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積み上げた情熱の重みで全身麻痺の様相 ¥100

自作の自由律俳句を表題に短編を書く。
五作目。約5400字。

「積み上げた情熱の重みで全身麻痺の様相」


セックスなんて大嫌い。
なんてことを考えるのはセックスをしている時だけで、つまり今は事の最中だ。ここは都内のラブホテルの一室で、私は硬くて変な臭いのするベッドの上で男に全身を揺すぶられている。ベッドはぎしぎしと耳触りな音をたて、男の動きは段々激しくなっていく。私はこの苦痛な時間が早く終わることだけを念じて、もうほとんど感覚が無くなっている下腹部にギュッと力を込める。男は目を閉じて、腰を動かすことだけに専念している。自分が組み敷いている女の反応は気にしていないようだったので、私も気持よさそうな顔をするのはやめにして、ギュッと瞼を閉じる。真っ暗の中に、目を閉じるといつも見える光の輪っかが浮かんでは消えて、体が揺れると輪っかも揺れる。

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