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適応障害で休職した。 〜リハビリ期編〜

ほとんどの時間をいつものカフェで過ごした。
一番落ち着く場所がそこだったからだ。

本を集中して読めたり、映画を楽しんで観られたり、2時間程度集中力を保つこと。それができれば仕事もできる、とクリニックで言われた。

以前なら習慣のように楽しめていたことができなくなる。あらゆることに興味を失う。何のために生きているのかわからない。ぼんやりと考えごとをすればネガティブなことばかりが浮かんで、街を歩けば夏休みの中学生や手を繋いだカップル、幸せそうなファミリー。みんな楽しそうに生きている。そんな光景を見るのがつらい。

最悪の夏になった。
どうにかしなければ。
抜け出さなければ。

焦ってしまうけれど、今はとにかく心と身体を休めること。仕事より、家族より、自分を最優先に考えよう。何もしないことをする期間。人生のうちのたったの数ヶ月間と考えれば、そんな時期があってもいいよね、と割り切れるかな。

生活リズムを整えて、よく食べよく寝ること。
あたりまえのことのように思えるけれど、それが健康的な生活の基本であるのを実感する。
でも今は、好きな時に寝て起きて、食べたい時に好きなものを食べる。それでいい。思うままに過ごしてみる。

これを機に部屋の掃除をしようと思ってはいるけれど、まだ手がつかない。積読の小説もまだ読めない。Netflixの連続ドラマもまだだ。

月9「真夏のシンデレラ」はとても見ていられない。「アメトーーク」も「ゴッドタン」も、バラエティ番組が楽しく見れない。「しくじり先生」と「あちこちオードリー」は不思議と大丈夫だ。「あのちゃんの電電電波」も大丈夫。

求人情報を見るのはやめた。
寝る前に映画を1本観ることにした。
「バイオハザード・ザ・ファイナル」
「キングダム」シリーズ
「るろうに剣心」シリーズ
アクション大作系なら比較的大丈夫なようだ。

「キングダム 運命の炎」を劇場に観に行った。
楽しめたが、完結しないのですっきりはしなかった。「君たちはどう生きるか」を観るのはまだやめておこう。

家で寝ているだけでもいいけれど、モヤモヤしたまま考えごとをしてしまう。ならばこの時間を有効に使うべきでは?と思い立ち、東京国立博物館へ向かう。たしか「古代メキシコ展」がやっているはずだ。

マヤ文明は昔から好きだったのを思い出した。
ミステリアスな謎多き文明。壁画に描かれたマヤ文字は何を伝えたかったのだろう。館内は撮影OK。展示物を撮影していく。個性的な土器や石彫、壁画などはアートの観点からも魅力的だ。ピラミッドや神殿など、神秘的なマヤ遺跡の造形に興味を惹かれるのだろうか。来場客は比較的女性が多い。ひとり展示を見つめ、はるか古代に想いを馳せる女性もまたミステリアスだ。

日本文化の展示室には海外からの観光客が多く見られた。特に日本刀や伝統工芸品をまじまじと眺めている様子。海外から見れば日本もだいぶ神秘的に映るのだろうか。

こんなふうに、時には立ち止まって
好きなものを見て、気ままに好きなことをする。
そんな時間があったっていいのかもしれない。

以前に大人買いしていた「聖闘士星矢」の漫画を全巻一気読みした。こちらはギリシャ神話を元にしたキャラクターが聖衣(クロス)を纏ってバトルを繰り広げる物語。星座にちなんだ魅力的なキャラ設定と美しい聖衣の造形に魅せられた少年時代を思い出した。今読むと、いたってシンプルなストーリー。大切な人を守るために闘い、何度倒されてもあきらめない。渾身の必殺技を繰り出して敵を倒す。その繰り返し。死んだと思ったら実は死んでない。異次元に飛ばされても戻ってくる。倒されたはずの魅力的な敵キャラは何度も登場する。設定次第で何でもアリの漫画だ。それでも、今見てもギリシャ神話と絡めたキャラクター造形は美しい。

漫画とはいえ、気づけば集中して本を読めるようになっていた。

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