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進化論とダーウィン


ダーウィンの主張の何が正しくてどこが間違いかを整理した本。

そもそも僕は進化論を読んだことがない。
ダーウィンの事は宗教から科学の転換点となる進化論を出したことと、
嫁をしこたま抱いたおじいさんということしか知らない。

進化論を知らなくても楽しめた。
正しく知ることって大事だなと教えてくれた。

①進化という言葉の解釈違い
②進化論(自然選択)は2種類あり繰り返す
③複雑なものは死ぬ運命
④何面も知って人を立体的に好きになる


①進化という言葉の解釈違い

ダーウィンが「生物が進化する」と言ったとき、
そこには「進歩する」とか「良くなる」といった方向性は含まれていない。「進化」とは、単に「(遺伝する形質が)変化」することに過ぎないのである。

進化というと進歩と類語で良い方向にいくことと思っていたがそれは間違いとのこと。
なるほど、だからタイトルが進化論の進化なのか。あえて変化と書かずここで伏線を回収させる著者、やるやん。


②進化論(自然選択)は2種類あり繰り返す


これは僕の勝手な解釈やけど時代によって求められる人材の種類に似てるなと感じた。

バブル時代までは安定化選択側の人材が求められていた。
特徴なくマルチにこなす人材。
バブル崩壊と同時に安定化選択から方向性選択の人材が求められるようになり、スキルや個性といった言葉が出てくるようになった。
多様性というワード自体も進化の流れの中で求められてるだけなのかなとも感じた。

そして進化はこの安定化選択(止)と方向性選択(動)を繰り返すらしい。
数百年後に多様性を許していた時代が悪とされ、平準化主義が多数派となる時代がくるのかな。自分も進化の流れの中にいるって思うとおもしろい。

③複雑なものは死ぬ運命

人間が死ぬのは複雑だから。
複雑がゆえに死ぬという言葉が妙に刺さった。

仕事でも便利だからと何百万払って導入したシステムでさえ、複雑なものは時間経過と共に使われなくなっていく。
仕事を教えるにしても単純化しないと誰もやってくれない。
生き物も仕事も全てにおいて、複雑なものをは死ぬ運命という事を頭に入れておいて損はないなと感じた。

④何面も知って人を立体的に好きになる

あとがきに記されていた著者が岩波新書の『人間ゲーテ』を読んだ時の感想が激しく同意した。

この本の著者は、決してゲーテを崇拝していない。
ゲーテに反感を覚えることもあるそうだ。
著者は本の最後の方で、ゲーテのことを悪く書きすぎたのではないか、と少し後悔(?)しているほどだ。『人間ゲーテ』はできるだけ、ありのままのゲーテを伝えようとした本だ。ゲーテのいい面ばかりでなく悪い面も紹介し、そのうえで本当にゲーテを好きになってもらおうとした本である。その本の狙いは、私という読者の中で、恥ずかしながら、完全に成功した。私は、ゲーテに対する尊敬の念は10分の1ぐらいに減ったけれど、今までの何百倍もゲーテを好きになった。


尊敬が減って好きが増すという経験、僕もかなりある。
カントも『カントの人間学』を読んで好きになった。

前の上司も色々な面を見せてくれたから好きだった。
一面だけ見て盲目的に人を好きになれない体質。
僕も色んな面を見せて周りの人に助けてもらえる人間でいよう。

欠点などの人間味が人として奥行きが生まれて好きになる。
この本もダーウィンに親しみを持つキッカケをくれる本だった。


ずっと苦手意識がある後輩がいた。
お互い相手が自分のこと嫌いなんだろうなと思い込んで必要最小限しか話さない仲。
たまたま給湯室で鉢合わせて長すぎる沈黙が続いた。
重い空気に耐え切れず好きな音楽とかあるの?と声をかけた。
米津玄師の好きなアルバムが[YANKEE]という共通点が見つかり一気に距離が縮まった。
人付き合いって複雑で単純で脆くて固くて汚くて美しいもんだなと思った。

結論、
デメリットがあろうが、勇気持って相手に色んな面を見せて進化していこうぜって話。

以上です。

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