岡和田晃 (OKAWADA Akira)

公式サイト(https://akiraokawada.hatenablog.com/)…

岡和田晃 (OKAWADA Akira)

公式サイト(https://akiraokawada.hatenablog.com/)。noteでは現代詩を発表します。第一詩集『掠れた曙光』(https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784883753772)で茨城文学賞詩部門を受賞。

記事一覧

向井豊昭「チカパシ祭り」を読んで

   本稿は、岡和田晃が2023年度秋学期に東海大学文芸創作学科で開講した現代アイヌ文学/北海道文学論(日本語で書かれたアイヌ文学や「北海道」に関する文学を扱う内容…

形而上詩「マルジナリアは囁く」(「壘」15号)※朗読あり

 「壘」15号の形而上詩をご紹介します。  イアン・マクドナルド『時ありて』(下楠昌哉訳、早川書房)に触発された作品ですか、単体で成立するよう、形式への意識を働かせ…

レノン=マッカートニー「宇宙のすべてに」試訳

Across the Universe 宇宙のすべてに Lennon-McCartney レノン=マッカートニー Words are flowing out like endless rain into a paper cup 紙コップのなかに言葉が 終わ…

オリジナル・ゲームポエム『シンとクジラの骨』

※本作は2023年4月30日配信の「FT新聞」No.3749で配信された作品です。 「私たちのコククジラがここに沈んだのは、冷たく静かで暗い海底に横たわって、"安らかに眠る"ため…

The Death of Democracy

In response to the statement of Somaia Ramish and Nozomu Shibata, I have just written my first English poetry, a satire, in solidarity with the oppressed people…

オリジナル・ゲームポエム『檸檬』

オリジナル・ゲームポエム『檸檬』 初出:「FT新聞」No.3235 ●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━●  オリジナル・ゲームポエム『檸檬』  デザ…

詩人・田中さとみさんの特別講義&朗読

 2021年4月28日、東海大学文芸創作学科の岡和田晃の幻想文学・SF論の講義内で、詩人の田中さとみさんをゲスト講師としてお招きし、朗読と対談を行いました。Twitterに発表…

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形而上詩「崩れた微光」(「白亜紀」160号)

+1

形而上詩「斧と逢引」(「白亜紀」158号)

+3

形而上詩「ジェイムズ翁のトールテール」

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闇にたたずみ「風の音」を聞く――詩人・上林俊樹の再評価のために【付・著作リスト】

 本noteでは、「壘」や「白亜紀」に寄稿した現代詩を採録し、あるいはゲームポエムの実作を掲載していますが、狭義の現代詩とゲームポエムを架橋する記事として、「フラジ…

オリジナル・ゲームポエム『殿、粗相でござる』

オリジナル・ゲームポエム『殿、粗相でござる』 デザイン:出島将大、改訂:岡和田晃  Ver 1.2 ※2021年10月21日の「FT新聞」No.3193で、ゲームポエム『殿、粗相でござ…

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形而上詩「レオポルドシュタットの亡失——表現主義なき時代の若き詩人に」(「壘」5号)

ルイーズ・グリュック「バイカウツギ」試訳

ルイーズ・グリュック バイカウツギ 月の光じゃない、教えてあげる。 その花々が 庭で輝いているだけ。 花なんて大嫌い。 バイカウツギなんて大嫌い、わたしが性(セッ…

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形而上詩「世界の起源の泉」(「白亜紀」157号)

形而上詩「ジェスターの鼻」(「茨城の文化」55号)

ジェスターの鼻  岡和田晃 アヤメ科の植物のひとつにジャーマン・アイリスという花がありました リンネ以降の分類学(タクソノミー)からすると そうありてあるのです…

100
向井豊昭「チカパシ祭り」を読んで

向井豊昭「チカパシ祭り」を読んで

 
 本稿は、岡和田晃が2023年度秋学期に東海大学文芸創作学科で開講した現代アイヌ文学/北海道文学論(日本語で書かれたアイヌ文学や「北海道」に関する文学を扱う内容、「文学精読」講義内)内で提出された期末レポートの最優秀作を、受講生当人の許諾を得て公開するものです。
 対象作品の向井豊昭「チカパシ祭り」(1967)は幻戯書房のnoteで公開されています。

向井豊昭「チカパシ祭り」を読んで

小川

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形而上詩「マルジナリアは囁く」(「壘」15号)※朗読あり

形而上詩「マルジナリアは囁く」(「壘」15号)※朗読あり

 「壘」15号の形而上詩をご紹介します。
 イアン・マクドナルド『時ありて』(下楠昌哉訳、早川書房)に触発された作品ですか、単体で成立するよう、形式への意識を働かせ技巧を高めるべく努めました。戦争の光景や記憶もモチーフにあります。
 朗読はこちら。
 主宰の荒巻義雄さんには、胸にもぐっと迫る、しかもなぜか物悲しい、と言っていただけました。

レノン=マッカートニー「宇宙のすべてに」試訳

レノン=マッカートニー「宇宙のすべてに」試訳

Across the Universe
宇宙のすべてに
Lennon-McCartney
レノン=マッカートニー

Words are flowing out like endless rain into a paper cup
紙コップのなかに言葉が 終わらない雨のように滴り溢れて
They slither wildly as they slip away across the universe

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オリジナル・ゲームポエム『シンとクジラの骨』

オリジナル・ゲームポエム『シンとクジラの骨』

※本作は2023年4月30日配信の「FT新聞」No.3749で配信された作品です。

「私たちのコククジラがここに沈んだのは、冷たく静かで暗い海底に横たわって、"安らかに眠る"ためではない。死骸はこれから数十年も盛大に続く宴会の会場になるのだ。」
(ケイトリン・ドーティ 池田真紀子訳 新潮社 世界のすごいお葬式より)

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オリジナル・ゲー

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The Death of Democracy

The Death of Democracy

In response to the statement of Somaia Ramish and Nozomu Shibata, I have just written my first English poetry, a satire, in solidarity with the oppressed people.



The Death of Democracy
Akira OKAWA

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オリジナル・ゲームポエム『檸檬』

オリジナル・ゲームポエム『檸檬』

オリジナル・ゲームポエム『檸檬』 初出:「FT新聞」No.3235
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 オリジナル・ゲームポエム『檸檬』
 デザイン:あるかす 改訂:中村俊也、岡和田晃
 プレイ人数:3人
 Ver1.3
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〈はじめに〉
 本作は岡和田晃が東海大学文芸創作学科で開講しているゲームデザイン論の、

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詩人・田中さとみさんの特別講義&朗読

詩人・田中さとみさんの特別講義&朗読

 2021年4月28日、東海大学文芸創作学科の岡和田晃の幻想文学・SF論の講義内で、詩人の田中さとみさんをゲスト講師としてお招きし、朗読と対談を行いました。Twitterに発表していたものを、以下に採録します。

闇にたたずみ「風の音」を聞く――詩人・上林俊樹の再評価のために【付・著作リスト】

闇にたたずみ「風の音」を聞く――詩人・上林俊樹の再評価のために【付・著作リスト】

 本noteでは、「壘」や「白亜紀」に寄稿した現代詩を採録し、あるいはゲームポエムの実作を掲載していますが、狭義の現代詩とゲームポエムを架橋する記事として、「フラジャイル」9号には「ゲームポエムへのいざない」を寄せました。主に現代詩の読者へ向けた「ゲームポエム」そのものへのやさしい紹介文で、「現代詩手帖」2019年12月の拙稿「現代詩よ、大いに遊べ!」と照応する内容です。これに対して、「グラフ旭川

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オリジナル・ゲームポエム『殿、粗相でござる』

オリジナル・ゲームポエム『殿、粗相でござる』

オリジナル・ゲームポエム『殿、粗相でござる』

デザイン:出島将大、改訂:岡和田晃 

Ver 1.2

※2021年10月21日の「FT新聞」No.3193で、ゲームポエム『殿、粗相でござる』が配信されました。「FT新聞」はゲームブックの専門出版社・FT書房の日刊メールマガジンです。

※FM湘南ナパサで2020年11月17日20:00-に放送された、東海大学広報メディア学科学生による生放送「こ

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ルイーズ・グリュック「バイカウツギ」試訳

ルイーズ・グリュック「バイカウツギ」試訳

ルイーズ・グリュック

バイカウツギ

月の光じゃない、教えてあげる。
その花々が
庭で輝いているだけ。

花なんて大嫌い。
バイカウツギなんて大嫌い、わたしが性(セックス)を、
その人間(おとこ)の口が
わたしの口を塞ぐ、その人間(おとこ)の
カチコチになった身体(あそこ)を嫌いなように――

いつも届かない叫び、
低調で、辱めるような
結合の前戯――

精神(こころ)のうちで、今宵、
問いが投

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形而上詩「ジェスターの鼻」(「茨城の文化」55号)

形而上詩「ジェスターの鼻」(「茨城の文化」55号)

ジェスターの鼻
 岡和田晃

アヤメ科の植物のひとつにジャーマン・アイリスという花がありました リンネ以降の分類学(タクソノミー)からすると そうありてあるのですが 彼女は華でありながら 原-植物としての茎根(リゾーム)を持ち オルフェウスの聲を聞くことができ しゅえる、しゅうええると 日輪と驟雨を摩滅させて 生まれ出る血のごとき虹に 自らのおぞましき願いを投影し 自己の内に眠るおびただしい邪悪を

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