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サンクコストについて考える。


はじめに


建玉の練習をする中で、売り買いの目線の転換が必要になった時「サンクコスト効果」が無意識に邪魔をし、そのせいで「目線の切り替えや玉の操作のタイミングが一歩遅れてしまったな」という反省が多いと感じたので、改めて自らの腑に落とす作業をしてみようと思います。
 チャートを読み解く日々の中で、チャートは人間心理を表しているなと感じているので、プロスペクト理論などの行動経済学を頭に入れておくことで、客観的な視点を維持しやすくなり優位性があると考えています。

サンクコストとは


身近な例として、私がまず最初に浮かんだのは失礼ながら「楽天のモバイル事業」かな…なんて考えてしまったのですが、、もっと身近な例では「使用していない服が捨てられずにクローゼットを占拠している」や、「せっかく大企業に入社できたのだから理不尽は我慢しよう」「読み始めた本が、期待していたものとかなり違っていたが最後まで読んでしまう」「ギャンブルにハマる行為」も、サンクコスト効果が働いた行動だと言えます。

サンクコストとは、=埋没費用
既に支払ってしまって回収が不可能なコストのこと。
それまでに費やした資金労力・時間を指します。
それらを惜しんで継続すること、これがサンクコスト効果です。

2017年、米シカゴ大学のリチャード・セイラー教授がノーベル経済学賞を受賞した「行動経済学」
この行動経済学の一つである「サンクコスト」
「もったいないから」「せっかくだから」という感情から生まれるサンクコストは、日常生活に於いては、勉強時など「せっかくここまで頑張ってきたのだから、辛くとも最後まで頑張ろう!」と自分にプラスな形で利用することも出来ます。しかしトレードに於いては変化への対応が遅れ、最悪大きな失敗につながる面倒な心理行動であると思うので、対処法は頭に入れておくべきかなと思います。
このブログでは投資に役立つ目線から書いていこうとは思うのですが、一応簡単な例、且つ面倒な例として、

好きなアーティストさんのライブチケットを定価1万円で前売り購入しました。しかし当日、会場に到着するもチケットを家に忘れてきてしまいました。もう開演まで10分しかなく、会場から自宅までは遠いのでチケットを取りに戻る選択肢は取れません。そこにチケットが余っているので8千円で買わないかという人が現れます。あなたは1万円のチケット代金を既に支払っていますが、この人から8千円でチケットを購入してライブを観ますか?諦めて家に帰りますか?
この問いに対して、少しでも迷った方はサンクコストを気にした行動と言えます。
サンクコストを無視すれば、このライブの価値1万円に対して、8千円を提示してくれているので迷う必要はまずありません。
サンクコスト、取り返すことのできない費用1万円と合わせて1万8千円か…と悩んだ方は、現代を生きる上では当然な考え方ではありますが、サンクコストにとらわれていると言えます。

サンクコスト効果は「もったいないから」「せっかくだから」という感情から生まれるとよく言われますが、サンクコスト効果の定義「これまでにかかったコストを惜しんで継続する」から考えると上記の例では「諦めて帰る」がサンクコストを排除した答えのようにも感じます。
これが厄介なところ。上記の例では「体験が重要な人・時間が重要な人」「資金管理が重要な人」にとっての最善策は違うのです。
単純に答えが出せないからこそ、無意識な領域で判断をしてしまいやすいのだと考えます。

このブログの趣旨とはズレてしまうのでサンクコスト効果についての説明はこの程度で…

トレードに於いての「サンクコスト」のポイント


投資に於いて理解しておきたいポイントとしては、

■ サンクコストとは、自分が感じているよりも更に身近に溢れている。
それは無意識の領域であること。

■ 投資に於いてサンクコストを意思決定の要素として取り入れてしまう行為は「わざわざ期待値の低いトレードを好んで選んでいる」極端に言えば「損をしている上に、もっと大損しよう」と判断しているのと同じ。

■ 企業や組織となると、サンクコストを完全に無視して意思決定をするのはなかなかハードルが高いが、個人投資家だからこそ身軽に動けるのだから、臨機応変な柔軟な意思決定が出来る事は武器になる。


対処法

①ゼロベースで考える

今このチャートに於いて、自分は玉を持っていない身としてプレーンな目線でチャートを見る。

②機会費用に目を向ける・反対玉の期待値も明確化する

複数ある選択肢から、一つの選択肢を採用することにより得る事が出来なくなった他の選択肢からの利益(の最大金額)も明確化して、出来る事なら可視化するとなお効果的。
機会費用を判断基準にすることで、有益な選択になる。

③第三者の視点を取り入れる

サンクコストのことをいくら頭で理解をしていても、人間はサンクコストの影響を受けやすいことを自覚して、常に第三者的視点を持つこと。時には実際に第三者の意見を聴くなど、聞く耳を持てる素直で柔軟な頭でいよう。

まとめ

企業運営に於いてのサンクコストの対処法の具体化は非常に複雑、しかし投資においての機会費用の算出は有難い事に単純で、チャートリーディングの技術さえしっかりしていれば、たった一手間で明確化する事が出来る。

チャートリーディングで戦う人間にとっては、

■シナリオをいつくも描き、全てが想定内でありコントロールする事

■描き切った上で、期待値を明確化させ取捨選択をする事

■刻々と変化するチャートに臨機応変に、常にプレーンな目線でチャートを見れるかは、行動経済学を理解した上であってもメンタルをコントロールする必要がある事

を念頭に、主軸にしたシナリオに対してチャートが鈍い反応を示した時は、そのシナリオに固執せず、個人投資家である事の身軽さは強みであると自らの武器を理解して、常にプレーンな目線で判断をしていく!!


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