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『男は死ぬまで夏の死神を殴り付けろ』

一億光年分の価値のある宝物を探す最中、雨上がりの後「夏」が影が差すように訪れて、乾いた大地を青く染めた。

北風が吹き付けてきた時、太陽の眩しさを恋しく思っていたけれど。
新緑の中にこそ、宝は存在すると考えていたけれど。

夏は死を演出していた。
蠅の大群が群がり、屍が黒々と蠢き、揺らめく陽炎のように死神がダンスを踊っていた。

生きるか死ぬか。
食うか食われるか。
死んで腐るか、生きて腐らすか。

狂気を孕んだ夏の香が死神のように忍び寄ってきた。

だから僕は死神を、殴って、殴って、殴り付けてやった。

号砲が鳴った。
生き物同士の、命を巡るデッドヒートの始まりだ。

生存しろという天の声が聴こえる。
一億光年分の価値のある宝は、ただ生き抜いた先にある。

大地に根差す男なら、夏の死神殴り付け、命の限り宝を探せ。

写真 小幡マキ 文 大崎航




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