大﨑 優|CONCENT

デザインマネージャー・サービスデザイナー。株式会社コンセント取締役。デザインマネジメン…

大﨑 優|CONCENT

デザインマネージャー・サービスデザイナー。株式会社コンセント取締役。デザインマネジメント・事業開発・ブランディング等の支援に従事。HCD-Net評議委員。Xデザイン学校講師。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒。名古屋市出身。https://www.concentinc.jp/

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デザイナーはコストセンターか。 組織とキャリアから考える

デザイナーは、利益を生み出すプロフィットセンターなのか。もしくは、収益に貢献しないコストセンターなのか。 デザイナー個人にとっても、デザイン組織にとっても、重要な問いです。 プロフィットセンターとコストセンターデザイナーが売上や利益に対する責任を持ち、定量的な数字目標を掲げている。自身の評価にも数字が絡んでくる。これは、プロフィットセンターとしてデザイナーが活動しているケースです。 事業会社のデザイナーであれば、営業など他部署と同じ目線とリスク感覚で成長を目指しているよ

    • デザインの言語化と、その落とし穴

      会話のテンポが速くなっている。 デザインの現場を20年。自分自身や周りを見わたして、ふと思ったことです。 昔はもっとゆっくりしていました。単純に話すスピードもありますが、会話に「間」が少なくなったことも大きい。そう思います。 例えば15年前。私はアートディレクターでした。その時の会話は10秒くらい黙ったり、ゆっくり考えながら言葉を探し、時には言葉を撤回し、言い直し、なんとかなんとか喋っていました。 会話能力が低かったということではありません。言葉にならないものをじっく

      • 損益分岐点から眺める デザインの風景

        デザイン会社コンセントでは、デザイン業務に対して「生産性」の指標を取り入れています。 「生産性」は、デザインプロジェクトごとの利益率を表す指標。売上に対するコストの比率を指標化したもので、プロジェクトメンバーはその「生産性」を意識しながらデザインワークを進めています。 コンセントは、2019年から「生産性」を全社に取り入れ、業績を改善することができました。以後、安定的な成長を続けています。 今回は、コンセントの「生産性」活動について。加えて、デザイナーが自律的に損益分岐

        • デザイナーは自分の学びを設計する

          知るべきことが多くて多くて、学べ学べとあせっていても、混乱極まり手につかない。 こんな状況、デザイナーなら誰しも身に覚えがあるのではないかと思います。もしくは若い読者ならこれから訪れる試練なのかもしれません。 技術が、社会が、デザインが。変化しつづけるその先端で、デザイナーは学びを重ね、成果を出し続けなければいけない。変化するのは自分自身も。年齢もポジションも状況も。今後のキャリアを考える中で、目の前のことをやっているだけでは手詰まりになってしまう。 学ぶことが多すぎて

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        デザイナーはコストセンターか。 組織とキャリアから考える

          デザイナーは「営業」をどう考えるか

          「営業」という言葉が好きなデザイナーは少ない。 ひとつは単純な誤解です。「営業さん」はビジネススーツを身にまとい、お客様に頭を下げて何かを売る人。デザイナーは何かをつくり出す一方、「営業さん」は何もつくらない。そんな、古典的かつステレオタイプな「営業さん」像にまどわされて、本質が身に入ってこない。興味がわかない。自分とは関係ないものだと思ってしまう。 デザイナーからは「私は人見知りなので、営業みたいなことはできない」とキッパリと言われたこともあります。「数字が苦手だからデ

          デザイナーは「営業」をどう考えるか

          デザインと、価格と、キャリアの話

          「デザイナー35歳定年説」というものがありました。 35歳になったらデザインをやめて別の仕事をするという話です。若い自分は恐ろしげに感じましたし、逆に「一生、手を動かしてものづくりをするんだ」と奮起したものでした。 似た話は今でも続いているらしく、業界の都市伝説としてひたひたと続いているようです。30代になったらライフステージや体力面から難しくなったり、感覚が市場と合わなくなる人が出てくるのは漠然とイメージできる。30代になったら、ディレクターやプロデューサーと言った川上

          デザインと、価格と、キャリアの話

          Xデザイン学校 リーダーコース 講師ふりかえり デザインリーダーの学びと課題

          先日、私が講師を担当しているXデザイン学校リーダーコース、2023年度のプログラムが終了しました。今回は、私が受け持った講座を振り返りと、今の時代に必要なデザインリーダーの学びについて書いていこうと思います。 Xデザイン学校リーダーコースとはXデザイン学校は、UXデザイン・サービスデザイン・デザインリサーチ・デザインマネジメント等を対象にした社会人の学校。社会を良くするための広範なデザインの学びと、それを研究する楽しさを追求できる場です。私は2017年からアドバイザー・講師

          Xデザイン学校 リーダーコース 講師ふりかえり デザインリーダーの学びと課題

          心がけておきたい、デザインの仕事と人格の関係

          デザインの仕事で生き抜くためには、人格なんか変えてやる。40代、氷河期世代の私はそう思ってきました。 自信なくボソボソ話すから信頼されない。それを変えてきた若手時代。 冷静だけど淡々としていて面白くない。それを調整してきた中堅時代。 偉そうで皆に物を言わせない。そうならないように踏ん張る今の時代。 今回のテーマは、デザイナーの人格。成果のために人格を見つめてきた記録です。人格と言うとちょっと大げさですが、言ってみればキャラクター。仕事のキャラクターを調整しても、本来の

          心がけておきたい、デザインの仕事と人格の関係

          デザイナーの「へこまない」話法

          へこむ。くやしい。自分が情けない。 「デザイナーは感受性が高いので傷つきやすい」なんて言う人もいる。それが正しいかは脇に置いて、私もへこんだことは何度もあります。 今回は、自分がへこみ続けてきた経験から、デザイナーの自衛の策である「へこまない話法」を考えていきたいと思います。デザインに関わる若い方に届いてほしい。そんな遠い目をしながら。書いてみます。 「一方的に言われる構図」に熟練するまずはじめに、デザイナーは被弾する。前からも横からも撃たれる。意見を浴びせられる。そん

          デザイナーの「へこまない」話法

          成長のために「デザイン中毒」を手なづける

          デザインの作業は楽しい。あっという間に過ぎていく。1時間、1日、1週間、1ヶ月、1年。そして、10年がいつの間にか過ぎている。 私のキャリアの最初の約10年は、ビジュアルコミュニケーションのデザイナーでした。その10年間ずっと、時間を忘れる「フロー状態」にあったように思います。 楽しかったのと同時に、時間の使い方としては後悔もしています。約10年間、目の前のデザインの仕事だけに没頭したので、30歳をすぎてもいわゆる「ビジネス」の知識や感覚に乏しかった。目の前のデザインのみ

          成長のために「デザイン中毒」を手なづける

          効果的なデザインアウトプットの説明方法

          デザイナーが、依頼者にデザインアウトプットの説明をする。毎日のようにある光景です。 ただその際に、アウトプットの質は高いのに説明が上手くいかず、意思決定が良からぬ方向に行ってしまう。依頼者もデザイナーも損をしてしまう。そのようなケースがあります。 これは各所で起こっており、社会全体のデザインの価値を下げているのではないか。説明技術を底上げし、世の中のデザインをもっと魅力的にできないか。そのような勝手な思いから、効果的なデザインアウトプットの説明方法について書いていこうと思

          効果的なデザインアウトプットの説明方法

          話半分に聞く、デザイナーのキャリアの話

          2024年。私は今年で44歳になるデザインマネージャー・サービスデザイナーです。業界的にはシニアといえる年齢です。 シニアになると、してしまうがキャリアのアドバイス。 年長者のキャリアのアドバイスは話半分に聞いておく。これは、私自身が20代の頃に思っていたことですが、今となれば「話半分」とは言い得て妙。年長者が話すキャリア論は、話の50%は時代を超えて普遍性を持ち、大変参考になったもの。その一方で、残りの50%は個人や時代に依存する情報。活かしづらいものでした。 ここで

          話半分に聞く、デザイナーのキャリアの話

          経営リソースとしての好奇心

          企業経営のリソースを、ヒト・モノ・カネ・情報・好奇心とおいてみる。 組織の好奇心の量は、経営の活動によって増えたり減ったりする。多少の変化はあれど、勝手に増えたりはしません。好奇心は、費用や時間を投じて増やしていく資源です。 組織の好奇心を正確に定量化することはできませんが、現場に身をおけば好奇心の「総量」はなんとなく実感できる。メンバーの発話、出てくるアイデア、主体性の度合いなど、企業に属する人ならば、その度合いを「量」として感じられるはずです。 好奇心量と組織好奇心

          経営リソースとしての好奇心

          時間を溶かす デザインの右往左往

          長時間作業しても、デザインアウトプットが前に進まない。何パターンも試して修正を重ねても、結局最初につくったものが一番ましだ。その一番最初につくったものも、しっくりこない。 デザインのプロセスではこういったことが起こるもの。とくに個人作業が多く、判断基準があいまいなもの、たとえば感性的な価値を求めるビジュアルコミュニケーションデザインの仕事に起こりやすい印象です。 この状況を、創造的な探索行為の一部と肯定する人もいれば、右往左往しているだけの無駄な時間と見る人もいます。デザ

          時間を溶かす デザインの右往左往

          デザインマネジメントの3つのアジェンダ

          デザイン思考は終わった、という話を聞く。 イノベーションやDXを推進するビジネスパーソンのデザイン思考の認知率は9割を超えており※、すでに知れ渡った感がある。デザイン思考は、ロジカルシンキングやクリティカルシンキングのように、認知の上では普遍的なものになったともいえる。 一方、社会全体のデザイン思考の「活用」という点では、まだまだ普及は不十分だ。デザイン思考の考え方を理解しプロセスを取り入れたにも関わらず、成果が出ず失望や幻滅を感じる企業もある。そういった経験から、デザイ

          デザインマネジメントの3つのアジェンダ

          めざましい成果をあげるデザイン人材の特徴

          パフォーマンスについては話しづらい点もあるが、今回はあえて「めざましい成果をあげるデザイン人材の特徴」を書いてみる。デザイン組織の経営やキャリア形成に少しでも役に立てられれば幸いだ。 めざましい成果をあげるデザイン人材の特徴。結論から言うと、それはデザイン人材でありながらも「研究者」であるということだ。もちろん、本物の研究者であるということでなく、研究者的な姿勢やふるまいがあるということだ。だいたいは、自分が研究者的であると自覚していないことが多い。 「めざましい成果」の

          めざましい成果をあげるデザイン人材の特徴