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優しさと甘さの狭間

「それ言われると、涙出るから」

そう言われると何も言えなくなって、
わたしはグッと口をつぐむ。
だからだろうか?
態度が悪いと言われるが、仕方ないじゃないか。

おかしいことは、おかしいと思うし、言ってしまう。
わたしに害があるなら尚更だ。
害がないなら何も言わないがね。


きっと母からしたら
「いつも優しいのに」
「祖父が亡くなったときは、優しかったのに」
「電話だと優しかったのに、なんで?」


ハテナが飛び交うんだと思う。
そして、
「あんたの態度が悪くて笑うしかないわ」

こちらに聞こえるか聞こえないかの声で言う。
ねぇ、その方が失礼だし、態度悪いよなぁと内心思う。

仕方ないじゃないか。


言えば泣く。
そんなにきつい言い方しなくても、と言う。
メソメソする。

話し合いにすら、なりゃしない。

どうしろと?
言いなりになれと?

すまんが、わたしは大人なので、
わたしの意見もあるわけだ。

意見がぶつからないように避けているだけ。

だって、意見がぶつかった後は
「わたしは病気なのに」と天下の宝刀で有無を言わさないのだろう?

なら何も言わないよ。
だから避けさせてね。
それが、わたしの優しさである。


どこに行くにも私についてくる。わたしは、わたしの交友関係にハマって欲しくない。

それをイヤだというと、
「知らない土地だし1人で行動できないのは
メンタルの病気で仕方ないでしょ!」って,いう。
「病気でこうなんだから理解して!」っていうのはわかる。

でもね、
理解してるけど同意はできてないわけだ。

それに嫌な顔をしたら、
「イヤな顔しないで!」って泣き出すから、つらいことこの上ない。

感情まで封じてくる?って喧嘩になった。

そして最後には
「わたし病気なのに」って泣かれて、何も解決しないのである。

わたし、35過ぎてるのに。
過保護が過ぎて依存状態にしか思えないのは、わたしが子どもじみてるせいだろうか?


とはいえ、
優しさとはなんだろうか?
甘さとはなんだろうか?


優しさと甘さを履き違えたらいけないよ

そうわたしに教えてくれたのは、
名前も忘れてしまった6つ年上のバンドマンだった。
わたしがいろんなことがあって精神的に落ち込んだとき、
優しくもきつい言葉をかけてくれた。

「そうなった原因は、
 少なからず自分にもあるんだから。
 優しさと甘さを履き違えたらいけないよ」

わたしは完全に被害者だもの。
それに優しいっていいことでしょ?

思ってたわたしには、青天の霹靂で。
痛くもあり泣きたくもあり、反発したくなった当時。今ならわかる。

彼が正しかった。


わたしは決して優しくないと思うけど
みんなは優しいと評価してくれる。
でも、甘くはないから、
キツイことも言うし、ダメなことはダメという。

ならぬものはなりませぬ。

会津藩の教えだ。


病気、
恋愛、
結婚、離婚
職場の出会い
事業のこと、
体形……ほとんどのことはそうだ。
そうなった原因は、
少なからず自分にもあるんだと思う。

全部は防げなくとも、
できる予防を怠ったのだから。


2年前、
夫婦を壊したのはわたしだ。
していた努力を全部しなくなった。

わたしにばかり家事も育児も任せて、
ありがとう、も言わず
ごめんなさい、も言わず、
あぐらをかいて、
「俺はこの年齢だし、時代が違うだろ」と
骨董品のような考えを変えもせず、
「なら、あなたはそのままでいいよ」と思っていたら、
夫の顔を見たら吐き気が込み上げてくるようになり、
助手席さえも乗れなくなったのだから。
無理!と、先に、体が悲鳴を上げた。


今、母の依存に気づいて、
距離を取ろうとしてるのはわたしだ。
「お前の母だろうが!引き取れ!」と祖父に電話口で怒鳴られ、
「お前の母は、ある程度って限度を知らん」と父に言われた。

言われた時は、
なんのこと?と思っていたけど、今ならわかる。


【悪いのは父、被害者が母】
という
30年近く伝統のようにあった我が家のわかりやすい図式は、間違っていたのだ。

父も確かに悪いけど、
そうさせてしまった原因も少なからずあるのだなぁと思う。


やっぱり夫婦は
ないものねだりに見えても
魂の色が似たもの同士が結婚するのだなぁ…

そして、
どちらかが成長しすぎたり、しなさすぎたりすると、
離れることになるのだと思う。


そんなとき、
この言葉を思い出す。

優しさと甘さを履き違えたらいけないよ


優しさとは
相手を思いやり
相手の立場に立って考えることらしい。

きっと、
わたしが甘くて、
母を「かわいそうな人」にしてたんだろう。
「過保護でいいの!」という母。
反発してこなかったわたしと弟なのだから。


母に願うのは、ひとつだけだ。

どうか、
自分の気持ちに
寄り添ってあげてほしい。

他人の噂話ではなく、
自分のことをもっと大事にしてほしい。

自分を見つめたら、
傷ついた自分も情けない自分も出てくるのだ。
腹立つくらい嫌な自分も、
逆に
すごすぎて「本当にわたし?」と思っちゃう自分も。
いろんな自分が出てくるだろう。
わたしに執着しないで、
弟や孫に執着しないで、
自分の人生の責任は自分で取るしかないのだと、気づいてほしいのだ。

過去のわたしなら、
罪悪感でいっぱいで、
謝るかもしれない。

けど,今のわたしなら、どうだろうか?

ハリネズミのジレンマのように、
近づきすぎると
キツイと思わせてしまうことを
言ってしまうらしいから、
わたしは避けることにするね。

どうぞ心安らかに。

他人のSNSではなく、
自分の心のアルバムを見て自分を癒してほしいと思うのだ。

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