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信州上田盛りだくさんの旅

もう数月前になるが、楽しかった長野の旅を振り返ってみる。
旅に出るきっかけは田中達也さんの展覧会だった。NHK朝の連続テレビ小説「ひよっ子」のオープニングを飾ったミニチュア写真家の田中達也さん。日常の品々を使った「見立ての世界」。ミニチュアカレンダーとして毎日ひとつ写真をアップしている。これがまた楽しい。そしてそれらが2つのバージョンの展覧会として全国で順繰り開催されている。

毎日更新の写真やイベントの詳細はこちらから

https://miniature-calendar.com/exhibition/

写真や動画ではなく実際この目で見てみたかったが、地方都市ばかりの開催で関東地方では全く予定がない。横浜からは、一昨年の長野県長野市が一番近い開催場所であったが、厄介な病の流行で、旅はもとより親戚知人に会うのもはばかられた。それが落ち着いた昨年初夏に長野県上田市や静岡県静岡市で開催されるのを知り、どちらかに行こうと心に決めた。
そんな折、小中学校の同級生が長野市にある、みなみ風ビールと言うマイクロブルワリー(大小ビールメーカーに比べて少量を店内で醸造販売)に就職し、長野に骨を埋めるつもりで横浜を去ると、私の店に来てくれた。必ず飲みに行くよと約束した。
すると、近所に住む小中学校の後輩が、とある会社の長野支店長に栄転。「よし!今度長野に行くから一緒に飲もう!」とこちらも約束。そして上田市では高校の同級生がスナックを営んでいるので、ここには二次会で行こう!と、こんな感じで旅の骨格が出来てきた。上田市に住むいとこたちにも会いたい。食べに行きたいラーメン店もある。温泉だってある。ワクワクは止まらず、元旅行会社勤務の私に旅の計画は得意分野。ふた月前から日程調整、手配と、どんどん進めていった。
出発一週間前に今回予約でお世話になった日本旅行からメールで、今回の旅が全国旅行支援の対象となり、割引のお知らせが来た。ワクチン3回接種と身分証明書の持参が必要と。交通費込のホテル宿泊料金18,800円が40%オフで11,280円に。そして地域クーポン券が3,000円と、実質半額以下の旅となり大いに喜んだ。

出発を迎えた朝。沢山食べたい昼食に備え、軽めのパン朝食。東京駅10:32発北陸新幹線はくたか559号に乗車し一路信濃路へ。

はくたか559号

初めて乗る上越・長野新幹線。紅葉し始めたであろう碓氷峠はトンネル通過なので車窓は全く楽しめず。以前何度も乗った信越本線の安中から横川辺りの景色を脳内に思い浮かべる。

軽井沢駅を過ぎ現れた浅間山

軽井沢からの浅間山はほんの少し望めたが、その先は防音壁や半地下走行で景色は楽しめずに上田駅に到着。

JR上田駅

上田駅前の相鉄フレッサイン上田。駅のロータリー反対側に位置する立地の良さ。以前泊まった時には名前がサンルートだった。3年前に経営が代わったようだ。横浜市民にとって相鉄(相模鉄道の略)とは地元企業なので嬉しい。

相鉄フレッサイン上田

一旦ホテルのフロントに荷物を預け、2両編成の別所線に乗車。この別所線も初めての乗車だ。私の父の故郷・丸子町とは隣り合っている別所には車で何度も来ているが、なかなかこのローカル線には乗車する機会がなかった。

別所線

3つ目の赤坂上駅下車。住宅地やりんご畑の間をとぼとぼ歩くこと約10分。

至るところにりんご畑が

麺房拉麺熊人に到着。ここは川崎にある麺屋利八さんの紹介で来たいと思っていた宿題店。4年前に旅した時には定休日で食べられなかった。

麺房拉麺熊人

入口で靴を脱いで店内へ。カウンター席4つ、座敷に四人がけテーブルが6つの広い店内。ここの売りとなる味噌拉麺は決定だが、醤油にするか塩にするかはたまた期間限定の羊白湯にするか迷う。3つ食べても・・・、いや3つ食べたらこのあとの予定に差し支えるので2杯とする。

かけ拉麺

見た目はかけ蕎麦そのもの。濃口の醤油拉麺はあっさりと極細ストレート麺が旨い。味噌拉麺のスープを飲んでいても思ったが、スープの中に生姜の小さな破片が、時折口の中で「おっ!」と主張する。かけ蕎麦っぽいのでテーブルの八幡屋礒五郎の七味が合う。

味噌拉麺

信州味噌を使った極太縮れ麺。スープは脂っぽくなく味噌の風味を存分に楽しめる。豚もも肉のチャーシューも美味。味変は自家製の辛みそを入れて楽しむ。思ったほど辛くはないので思いっきり入れてもいいかも。
店を出て別所線寺下駅へ向って歩く。赤く実るりんごを眺めながら。

りんごの赤と青い空・山、緑の美しさ

寺下駅。なるほど駅から斜面すぐ上にはお寺がある。

別所線寺下駅

ここから再び電車に揺られて終着駅の別所温泉駅に到着。

別所線別所温泉駅

ここまで来て予定していた別所温泉の日帰り入浴施設へ向かうだけではもったいないと思った。時間はある。少しは観光もしたいと北向観音を参拝しよう。過去に別所温泉へは添乗員として来たことがあるけれど、その時はホテルだけしか訪れなかったので、初めての別所温泉街の散策だ。
緩やかな坂道を10分ほど上がり、左手に曲がると北向観音へと続くお土産店などが並ぶ短い参道がある。

北向観音への入り口

そこを抜けて石段を上がると到着だ。
境内からは塩田平を一望する良い眺めだ。お参りし、来た道を引き返す。これは腹ごなし、そして入浴前の良い運動になった。

北向観音

別所温泉駅を少し通り過ぎると右側に日帰り温泉施設あいぞめの湯がある。入湯料は500円。

あいそめの湯

タオルを持参していなかったので入口で200円で買う。真田六文銭のマークの入ったタオルだ。ほんのり硫黄の香りのする温泉は内風呂と外風呂があり、この季節には外風呂が最高に気持ちいい。紅葉が始まった木々や空を眺めながら命の洗濯をする。前日までの仕事による足腰の疲れも癒やされる。風呂上がりのビールをグイッと流し込みたいところだが、ここはぐっと我慢。これから1時間ちょっとかけてクラフトビールを飲みに行くのだから。

湯上がり処のもみじ

別所温泉駅に戻り、別所線で上田駅へ向かう。

別所線別所温泉駅の外観

電車内で今後の予定を確かめる。これから会う方々のお土産ピックアップのためにホテルに寄ってから再び上田駅に戻り、乗り換えはと・・・

あっと驚いた!乗り換えの時間はたった6分しかないことにその時気づいた!普通に乗り換えなら全く問題はないが。ホテルに手荷物預けてる場合ではなかったのだ!

改札に一番近いドアに陣取り、上田駅に着いてホテルまでダッシュ。フロントで荷物を受け取り、今度は隣のしなの鉄道上田駅へ戻る。切符を購入しホームに着くとちょうどそこに電車が入線。ふ〜!間に合った。これを逃すと30分後の長野新幹線。時間とお金のロスだった。こんなに全力疾走したのは何年ぶりだろう。
余談だが、上田駅はJR、しなの鉄道、上田鉄道別所線と隣り合ってはいるが、改札が全て別れている。

しなの鉄道と別所線の駅入口

しなの鉄道の全席指定快速リゾート軽井沢3号で向かうは長野駅。急行料金がかかるが各駅停車よりは断然早い。ちなみにしなの鉄道はJR東日本から軽井沢駅ー妙高高原駅間を経営分離した第三セクターの会社だと。

長野駅

気にならないくらいの小雨の中、長野駅から徒歩8分くらいだろうかクラフトビールを楽しめるみなみ風ビールへ向かう。初日のメインイベントだ。そうそう添乗員として善光寺にはお参りに行ったことはあるが、長野駅は全くの初めてだった。
ビルの一角、奥まった場所にある店内。看板はみなみ風をイメージした水色。

長野みなみ風ビール

後輩は先に着いていて、二人揃ってカウンター席に座る。そしてカウンターの中には同級生。嬉しい仲間との再会だ。
一般的には炭酸ガスを用いてグラスにビールを注ぐのだが、この日2つの銘柄は窒素を使用しての充填で、比重の違いから泡の中を液体の部分が雪が降り積もるように降りていく様を目でも楽しいビールがあった。味の変化も楽しめる。フルーティーなタイプや軽いもの、どっしりしたものなど6種類を楽しんだ。

この日飲んだ6杯

おつまみにオーダーしたきのこの包み焼きやフランクフルトも美味しい。

きのこの包み焼き
フランクフルト

横浜生麦が発祥の長野みなみ風ビールという事もあるのか、右の席には緑区から、左の席には金沢区からのお客さんがいて、美味しいラーメン話や横浜トークに盛り上がり、予定していた2時間半の時間はあっという間に過た。滞在中に私の趣味の一つである360度の写真が撮れるTHETAにてインドアストリートビューの撮影もさせてもらった。下記リンクからグーグルマップにジャンプしてどんな店内なのかご覧になってもらいたい。

https://maps.app.goo.gl/aHGNkvXyhCzybbCr9

長野駅から今度は北陸新幹線はくたか576号で上田駅へ戻る。乗車時間11分のハシゴ酒だ。ホテルのチェックインを済ませ、駅から徒歩10分くらいにある飲食店街には横浜の高校の同級生が営むスナック遊民がある。

スナック遊民

以前来た時とは違い、向かいの店に移転していた。この日の日曜日は定休日。今日は家族揃って店で夕食を食べるというところにご厚意でお邪魔させてもらった。昔話やお互いの今を話したり、こちらも楽しいひと時だった。

遊民での美味しい酒盛り

そろそろ帰るよと、店を出たところに隣の居酒屋粋亭のご夫婦が外出から戻られてきて、お互いほろ酔いでご挨拶。私も居酒屋経営ですと。その店主は赤いマフラーを首にかけアントニオ猪木スタイルで大の猪木ファンだと言うので、わたしの母は猪木さんと同級生で、私としても先輩ですとご挨拶。こんな共通点でも路上で盛り上がった。ここも有名店らしく今度来てみたい。

次には粋亭へ

ホテルに戻り、缶チューハイで一人三次会。とっても楽しい1日だった。

缶チューハイと締めのおにぎり

朝、カーテンを開ける。相鉄フレッサイン上田のシングルルームからは上田駅の向こうに塩丸平を見渡す景色。

相鉄フレッサイン上田客室からの眺め

フロント階で朝食ブッフェ。お腹を満たし2日目のスタート。
今回の旅のメインイベント田中達也さんの展覧会「MINIATURE LIFE2」が開催されている上田セントミューゼまで徒歩で移動。

上田市立美術館 サントミューゼ

約2年越しの望み。ようやくこのイベントに来れたのだ。MINIATURE LIFE展2。2と言うだけあって1(番号付与ナシ)もある。こちら1もいつか絶対に行きたい。

MINIATURE LIFE展2

身の回りの品々を自然の風景や街の景色に見立てていく彼の世界観。実物と写真の展示でワクワクドキドキさせてくれる。彼のフェイスブックで見たことのある作品を目の当たりにしたり、大きな回転寿司のセットは高速道路に見立ててあったりと、あっという間の一時間半だった。

ハブ ア ライス トリップ
オスシティー

美術館駐車場には、いとこ姉妹が迎えに来てくれた。私を上田城址や昼食に案内してくれるためだ。父の故郷である丸子町に来るのに何度となく上田駅には来ていたが、車から眺めたことしかない上田城址公園を散策したり櫓を見てみたかった。

上田城跡公園

銀杏や紅葉、カエデの紅葉時期とも重なり、いい時期に来たと実感する。市民や観光客の憩いの場として親しまれていることが伺える。城内には真田神社があり家内安全を祈願した。

美しいもみじ
西櫓
西櫓を下から

ここから旧北国街道沿いに進み、作り酒屋和田龍酒造ではお酒の仕入れをした。

和田龍酒造

旅の前に「お昼上田で何が食べたい?」って聞いてきたいとこ。その時「お蕎麦が食べたい」って言った私をお蕎麦の有名店くろつぼに連れて来てくれた。

くろつぼ

木造家屋でお庭もきれいな店内でもう一人のいとこの到着を待つ。姉妹は「○○兄ちゃんがきっとごちそうしてくれるから、何が食べたいって聞いた時に松茸が食べたい!って言えば良かったのにぃ」と笑わせる。「いや、正直食べたいけど、そんな贅沢は言えないしね〜」と。そこにいとこが到着。合鴨膳を注文。鴨焼きも合鴨つけ汁も、もちろん蕎麦の味もバツグン。

合鴨膳
デザートに蕎麦の実アイス

こちらくろつぼでも店内の様子を撮影させてもらい、グーグルマップにインドアストリートビューを作成しました。

https://maps.app.goo.gl/BbQKsfKz8W89rPAAA

マスク越しだが元気な姿、近況、お互いの家族、これからの親の介護など久しぶりのいとこたちとの会話は盛り上がった。
ご馳走してくれた目上のいとこは、ここで仕事に戻り、いとこ姉妹と共に北国街道柳町へ。古い町並みが現存する上田宿柳町は信州亀齢で有名な岡崎酒造を始めお買い物、グルメ、写真スポットも沢山。山からの湧水も美味しかった。

柳町北側
柳町南側
岡崎酒造
とっても美味しい保名水

駅前のホテルまで送ってもらい、いとこに礼を言い荷物をピックアップ。ホテルが駅前だけに荷物を預かってくれたことは本当に助かった。外出も含め計5回出入りしたのだ。
上田駅から乗車の長野新幹線あさま620号。霧に煙る軽井沢。あっという間の東京駅。沢山の触れ合い、美味しいもの、長野には何度も行っているのに今回訪れた全ての場所が初めて。まだまだ見どころは沢山ある長野県。以前訪れた別のいとこが住む松本にもまた行きたい。これからも私の信濃路の旅はまだまだ続くだろう。

上田のお土産で乾杯!

この旅行記を書いている時に、ふと次なる田中達也さんの展覧会は?と調べてみると、なんと銀座で無料の開催のお知らせを知って一人微笑む。絶対に行く。絶対にオススメしたい。

small MUJI 展 -日用品のたのしみ方-
2023年2月3日(金) ― 4月23日(日)
無印良品 銀座 6F ATELIER MUJI GINZA Gallery1 ほか 入場無料

https://miniature-calendar.com/smallmuji-ginza

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