UXデザインは「名前のデザイン」

UXデザインのアウトプットの最小単位はなんでしょうか?
ペルソナ作りでしょうか?ユーザーシナリオを書くコトでしょうか?

様々な解釈があるかと思いますが、
私はUXデザインにおいては「名前付け」が最もはじめに行うアウトプットだと考えています。

UXデザインに必要な、対象ユーザーの「肌感覚」の存在

実際にユーザーインタビューを行って、そのユーザーから言葉にできない「熱量」や「肌感覚」、「感情」などのノンバーバル情報を得ることは、UXデザインをする上で非常に重要です。

貴方は、サイトの対象ユーザーをどの程度具体的にイメージすることが出来ていますか?
数字や属性と言ったメタデータだけではなく、「生の人間」を想像することが出来ているでしょうか?
そういった「生の人間」を知るためにユーザーインタビューは非常に役立ちます。

インタビューなどで得た「言葉にできない肌感覚のあるウェットな情報」を「暗黙知」と呼びます。

暗黙知とは

今回語る、「暗黙知」の辞書上の定義はこちらです。

暗黙知(あんもくち)とは、認知の過程あるいは言葉に表せる知覚に対して、(全体的・部分的に)言葉に表せない・説明できない身体の作動を指す。

上記にもあるように、「暗黙知」は他人に伝えることの出来ない情報です、
他人に伝えることが出来ないと言うことは、チーム間のコミュニケーションに利用することが出来ないということです。

一般的なプロダクト開発では、そのプロダクトのターゲットを定め、それに対する企画や開発を多人数で役割分担して行うことが一般的かと思います。

上記のように「コミュニケーションに利用できない」生データ(暗黙知)を、チーム開発で取り回すためには、これを形式知化して「共通の概念」にする必要があります

このように暗黙知を定義付けし、形式知化するひとつの方法が「名前付け」です。

名前とは

それではそもそも「名前」とは何なのでしょうか?
Wikipediaにはこうあります。

すべての事象には名がある。我々は先ずその対象に名前を付ける。そのためには対象の概念を明確にし、またそれ以外の事象との区別を持たなければならない。この過程で名前を付けた対象が明確になる。

名前付けとは、「言葉に表せない何かしら」から「特徴」を抽出し、他のものと区別するためのラベリングです。

以下の説明にあるように、名前がないのもの(暗黙知)はコミュニケーションに利用できないどころか、
自分自身でもその存在を明確に認知できません。

名前がないものは、他人にその対象を説明できないため存在を認識させるのが難しく、自らもその対象を明確にできなくなる。

このように、人間は様々な概念に「名前」をつけることで、それを区別・分類し、対象物を定義しコミュニケーションに利用することが可能になります。

名前付けによる、概念の形式知化

言い表せないことから「特徴」を抽出し「概念」を定義することが、「名前付け」というお話でした、
例えば皆さんなら下記の写真に映っているものになんと名前を付けて呼ぶでしょうか?

・ぬいぐるみ
・クマ
・ティディベア

など様々な意見が出るのではないかと思います。
例えば、「ぬいぐるみ」であれば「縫って制作した人形」という特徴を抽出して形式知化したのに対し、
「クマ」であれば「動物としての種別」という特徴を抽出し、「ティディベア」であれば「商品名」という特徴を抽出して形式知化していることになります。

このように、「名前付け」と言ってもどの特徴を抽出するかによって、そのものを表す名前が変わってきます。

またこれは「ぬいぐるみ」のような全体を表す名前だけではなく、
「目」や「口」や「リボン」といった部分の名前付けについても同様です。
(「目」と呼ぶのか?それとも「目の部品」と呼ぶのか?など)

言葉にして名前をつけると抽出した「概念」が明確になる

インタビューのお話に戻ります。

インタビューを行ったユーザーから得た肌感覚は「暗黙知」であり、コミュニケーションに利用することが出来ません。

それぞれのユーザーから得た「肌感覚」に名前をつけてあげて、
ひとつのパッケージにしたものが、既に一種の「ペルソナ」なのです。

故にペルソナはチーム開発でのコミュニケーションのにおいて、
・「コミュニケーション」に利用しやすく
・「共通して理解できる形式知」を備えており
・「プロジェクトが重視すべき特徴」を表している
のです。

あなたが言葉を選んだ瞬間にペルソナの「特徴」は抽出されている

ユーザーインタビューからペルソナを作ろうとした時に、
所謂「ペルソナフォーマット」の穴を埋めるように「男性かどうか?」「年齢は?」などと埋めて行きたくなりますが、

実際は、「ユーザーを表す言葉を選ぶ瞬間」にこそ、ペルソナの定義が確定していくのです

①:そのユーザーと会って得た「肌感覚」の中なかから、どの感覚を取り出すか?
②:その「肌感覚」に何という名前をつけるか?

言葉を選んで名前にした瞬間に、実は着々とペルソナは「定義」され始めているのです。

UXデザインは大切に名前を選ぼう

UXデザインをする上で「名前付け」は非常に重要です。

ノンバーバルな情報から得た「肌感覚」をどう名前で表現するか?から既ににUXデザインは始まっていると考えています。

また、今回はインタビューから得た情報にどう名前をつけるか?(ペルソナ作り)に関しての例をお話しましたが、
例えば、
・サイトの「ある機能」をなんと呼ぶか?
・プロダクトの「与える価値」をなんと呼ぶか?
など様々なタイミングでの言葉選びすらUXデザインのアウトプットです。

UXデザインを行う際には、あらゆるものに対して
それを「なんと呼ぶか?」
からデザインしてみることをおすすめします。


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