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完全版 最後のユニコーン


完全版 最後のユニコーン

 ユニコーンが登場するファンタジー小説です。伝説的なファンタジーの名作とされています。中世ヨーロッパの伝説の中のユニコーンを、現代によみがえらせた作品です(^^)

 原版は、一九六八年に発表されました。最初の日本語訳は、一九七九年に、早川書房から出ています。

 本書は、最初に出版された『最後のユニコーン』に、続編である「ふたつの心臓」を加えて、完全版としたものです。
 「ふたつの心臓」は、二〇〇五年に書かれました。なんと、三十七年越しの続編です。
 これは、一つの奇跡ですね。それというのも、『最後のユニコーン』の評判があまりに高く、続編を待ち望んだ人々がいるからでしょう。

 『最後のユニコーン』は、文字どおり、世界で最後の一頭になってしまったユニコーンのお話です。
 そのユニコーンは、雌でした。彼女は、本当に自分が最後のユニコーンなのか確かめるべく、故郷の森を出ます。

 途中で、彼女は、いろいろな危険に遭います。でも、助けてくれる人にも会います。

 ただし、その助っ人たちは、一筋縄では行かない人たちです。
 魔法の使えない魔法使い(!)シュメンドリックと、盗賊の首領の内妻だった女性モリー・グルーと、予言で、王都ハグズゲイトを滅ぼすことになっている王子リーアです。

 ユニコーンは、旅をしているうちに、仲間のユニコーンたちが、どうやら、「赤い雄牛」と呼ばれるものに狩りたてられたと気づきます。そして、「赤い雄牛」は、王国のハガード王と関係があるらしいことも、わかってきます。
 「赤い雄牛」を突きとめるために、ユニコーンと、シュメンドリックと、モリーとは、王国の都ハグズゲイトを目指します。そこでは、狂王ハガードと、その息子(ということになっている)リーアとが、待っていました。

 赤い雄牛とは、何なのでしょう? ハガード王と、どういう関係があるのでしょう? ユニコーンたちは、どこへ行ってしまったのでしょうか?
 また、シュメンドリックは、なぜ、魔法が使えない魔法使いなのでしょうか? 王子リーアが、王都を滅ぼすというのは、本当でしょうか? ハガード王と王子との本当の関係は?

 何よりも、最後のユニコーンの旅は、どういう結末になるのでしょうか?

 物語を最後まで読んでも、これらの謎のいくつかには、答えがありません。続編の「ふたつの心臓」まで読んでも、そうです。

 『最後のユニコーン』には、少し、メタフィクションっぽいところがあります。登場人物が、「自分が物語の中の人物である」と自覚していて、読者に向かって、語りかけるような部分があります。
 これを面白いと感じるか、そうでないかは、好みの問題ですね。

 何にせよ、本書が、生き生きとユニコーンを描いた作品であることは、文句のつけようがありません(^^)

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

最後のユニコーン
 第一章
 第二章
 第三章
 第四章
 第五章
 第六章
 第七章
 第八章
 第九章
 第十章
 第十一章
 第十二章
 第十三章
 第十四章

ふたつの心臓

訳者あとがき
蝶の言葉の註



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