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アシュラブック 興福寺 阿修羅像から東大寺 不空羂索観音像へ (ASURA BOOK)


アシュラブック 興福寺 阿修羅像から東大寺 不空羂索観音像へ (ASURA BOOK)

 仏像に関する本です。
 中でも、奈良の興福寺の阿修羅【あしゅら】像と、東大寺の不空羂索観音【ふくうけんさくかんのん】像とに、焦点を当てています。

 興福寺の阿修羅像は、日本で一番、人気がある仏像だそうです。
 三面六臂【さんめんろっぴ】(=顔が三つに腕が六本)という異相なのに、たいへんバランスが良いです。おまけに、美少年です。
 人気があるのは、わかりますね。私も、大好きな仏像です(^^)

 ところが、世界的に見ると、この阿修羅像は、異様です。阿修羅を美少年に表わした像は、ほとんど存在しません。

 阿修羅は、もともと、インドの神さまでした。戦いを好む、猛々しい神とされ、悪役にされることが多いです。
 そういう神さまですから、マッチョな壮年男性の姿で表わされるのが、普通です。

 なぜ、興福寺の阿修羅像は、美少年の姿で作られたのでしょうか?
 本書では、その謎に迫っています。

 東大寺の不空羂索観音像も、美男子の姿に作られています。
 最近の調査により、この不空羂索観音像と、興福寺の阿修羅像との間に、密接なつながりがあったことが、わかってきました。

 このために、本書では、不空羂索観音像の謎にも、迫っています。阿修羅像の謎に迫るには、それと関係の深い仏像にも、迫らなければなりません。

 同じように、阿修羅像の属する八部衆【はちぶしゅう】にも、迫っています。八部衆とは、仏教を守る八つのグループ神です。
 このチームが、どのように作られていったのか、その謎を解く旅が、とても興味深いです(^^)

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

はじめに

Chapter 1 阿修羅はなぜ美しいのか?
 01 阿修羅とは何か?
 02 三面六臂【さんめんろっぴ】という姿の美しさ
 03 少年のような顔立ちのわけは?
 04 上半身が裸なのはなぜ?
 05 本当に合掌していたのか?
Column 阿修羅(アスラ)と帝釈天(インドラ)の物語
 06 阿修羅のルーツとは? イランから
 07 鬼神となったインドと東南アジア
 08 守護神として中国で復活した阿修羅
 09 チームの一員として表現される阿修羅
 10 中国より日本へもたらされた阿修羅像
 11 興福寺八部衆像の起源をたどる
 12 チーム「八部衆」の仲間として
 13 乾闥婆【けんだつば】像とヘラクレス
 14 迦楼羅【かるら】像とガルダ
 15 緊那羅【きんなら】像と一角仙人
 16 五部浄【ごぶじょう】像とガネーシャ
 17 鳩槃荼【くばんだ】像と夜叉【やしゃ】(ヤクシャ)
 18 畢婆迦羅【ひばから】像と龍(ナーガ)
 19 沙羯羅【さから】像と大蛇(マゴラカ)
 20 ユーラシアの神々が八部衆になるまで
 21 阿修羅変遷マップ
 22 八部衆変遷マップ
Column 一角仙人(リシュヤシュリンガ)の物語
      ガネーシャの物語
      夜叉(ヤクシャ)の物語

Story 1 美仏誕生の謎に迫る 1 ~皇后が込めた切なる思い

Photo Gallery 奈良・美仏への旅

Chapter 2 美の理想像、阿修羅と不空羂索観音【ふくうけんさくかんのん】
 01 不空羂索観音像の魅力とは?
 02 不空羂索観音とは何か?
 03 東大寺の謎にみちた歴史
 04 驚きの事実が! 基壇【きだん】の大発見
 05 戒壇堂【かいだんどう】の四天王像も仲間だった!
 06 戒壇堂四天王像の起源と美
 07 日光【にっこう】・月光【がっこう】菩薩像は梵天【ぼんてん】・帝釈天【たいしゃくてん】なのか?
 08 万物の根源を表す梵天・帝釈天
 09 執金剛神【しつこんごうしん】と不空羂索観音は表裏一体
 10 伝説の中の執金剛神像
 11 執金剛神像は”後戸【うしろど】の神”だった!
 12 執金剛神像から不空羂索観音像へ
 13 不空羂索観音像は聖武天皇の”現し身【うつしみ】”
 14 年表 中国との交流によって生まれた天平美仏

Story 2 美仏誕生の謎に迫る 2 ~皇后の理想の”ほとけ”とは?
Story 3 美仏誕生の謎に迫る 3 ~奈良・美仏への旅

あとがきにかえて
美仏アクセスガイド
参考文献
索引



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