見出し画像

宝石の裏側


宝石の裏側

 宝石業界の裏側を書いた本です。

 宝石に詳しい方なら、本書にあることは、すでに、ほとんど御存知かもしれません。
 とはいえ、宝石に興味はあっても、それほど詳しくない人のほうが、ずっと多いと思います。そのような方に、役立つ本です(^^)

 どの業界でもそうでしょうが、裏へ回ると、汚い部分があるものです。
 宝石業界も、例外ではありません。普通の人からは隠されている、そういう部分を、本書では紹介しています。

 しかし、汚い部分を暴くことが、本書の目的ではありません。

 本書を素直に読めば、以下のような、著者の思いが伝わってきます。
 「宝石を買うなら、正しい知識を持って買って欲しい」、「宝石の価値は、値段で決まるものではない」、「日本に、成熟した宝石文化が根づいて欲しい」などの思いです。

 誠実な商売をしている宝石業界の方なら、ごく自然に、持つ思いでしょう。

 著者の語るところによれば、例えば、「その場の雰囲気にのまれて買ってしまったけれど、どうしても気に入らない宝飾品がある。結局、それは、何年もしまったままで、一度も着けたことがない」ということが、よくあるそうです。
 いくら高価な宝石を買ってくれたとしても、「こんなことは、嬉しくない」と、著者はおっしゃいます。たとえ百円の買い物であっても、気に入って、大切に着け続けてくれるほうが、ずっと嬉しいのでしょう。

 商品を本当に愛している、商人の言葉ですね(^^)

 残念ながら、著者が求める「成熟した宝飾文化」が、日本に根づくのは、遠いと思います。それを象徴するのが、本書にある、以下の文章です。

 「女性は外見を飾りたてたり、他の女性に対する見栄で宝飾品をつけたりするわけではないのです。(中略)人が宝飾品をつけるのは自分の生き方を素直に表現するためなのです」

 すみません、私、宝飾品は、外見を飾るために着けるのだと思っていました(^^;
 見栄で宝飾品を着けている女性も、正直なところ、多いでしょう。
 「自分の生き方を表現する」なんて自覚している女性が、日本には、何人、いることでしょうか(^^;;

 何にせよ、宝石は、高い買い物です。だからこそ、正しい知識を身につけてから、買いたいですね。
 本書は、その一助になると思います(^^)

 以下に、本書の目次を書いておきますね。

まえがき

第1章 ブランド品の原価
 ティファニーの原価は三百円!?  下がっていく価値  価格で買うな、価値で買え
 など
第2章 宝石の九割は「整形美人」
 整形だらけの宝石  人類の英知  偽物の是非
 など
第3章 テレショップには要注意
 大流行のテレショップ  通販ビジネスのからくり  工業製品か宝飾品か
 など
第4章 現地販売は安くない
 業者は都会で買い叩かれる  産地から最も遠い所がベスト
 など
第5章 招待・接待販売の功罪
 馴染みの店をつくる  展示会のメリット  「お姫様」扱いの落とし穴
 など
第6章 宝石選びは男の仕事
 ジュエリーショッピングは男性同伴で  男性の審美眼  贈られる喜び
 など
第7章 小売業者の勘違い
 プロの責任  お客様の信号を受け止める  あぐらをかいてきたメーカー
 など
第8章 貧しき日本の宝飾文化
 「一兆円」の貧しさ  買い方の貧しさ  受け継がれる輝き
 など
第9章 結婚指輪に飽きる理由
 ストーリーを刻んでゆく宝飾品  最初の出会いを大切に  人生の縮図
 など
第10章 理想のジュエリーを手に入れる知恵
 ”特別”にデザインされた宝飾品  自分だけのジュエリー  水道管の輪切り
 など

あとがき



この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?