「同じことで悩んでしまうのは、きっとちゃんとやりたいことだからだよ」の話
「好きなことをやるのが一番だとか、努力より夢中が大事とか、そういう話はよく聞くんですけど、自分の好きなことが本当に好きなことなのか、分からなくなってしまうことがあるんです」
「ほう」
老人はうなずきながら、私のカップに紅茶を注ぎ足し、クッキーを一緒に食べるように促した。フォークと四つ葉の模様のクッキーは、老人の友人が持ってきてくれた手作りのものらしい。
「だって、好きって、とても変わりやすいものじゃないですか? 物語を書くのが好きな人だって、何も思いつかない時期は辛い気持ち