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ノスタルジーが生きる意味を与えてくれる大切な4つの理由

ノスタルジー=フランス語:
「過ぎ去った時間や時代、
 ふるさとを懐かしむ気持ち」という意味。
 ・懐かしのあの曲を聴く
 ・思い出の場所に行く
 ・友人と昔の話に華を咲かせる
そんな時、感じるのがノスタルジー。

 この感情は17世紀後半にスイス人のヨハネス・ホーファー医師により名づけられました。戦争中に故郷から遠く離れて戦っているスイスの傭兵が感じるノスタルジーという感情を、ホーファー医師は「脳疾患」であると定義しました。

 その後、「大気圧の変化により引き起こされる感情」だとか「うつ病に似た、精神的な弱者を蝕む精神疾患」など色々な研究がなされました。

 それらに共通するのは
「ノスタルジー」=「異常を孕み、問題があるもの」
とみなしていたことでした。

 しかし、現代の心理学研究では見解が180°異なります。

 『ノスタルジーは幸福を高め、
窮地に立つ者の幸福を回復させるのに役立つ』

というのが主流の見解になりつつあるのです。

 今回は、ノスタルジーという感情が私たちにどのような影響を与えるのか、見ていきたいと思います。

そもそも、皆はどのくらいの頻度でノスタルジーを感じるの?

 ノスタルジーが戦争に行った者のように”心理的に異常な状態”でしか起こりえない「疾患」であるとすると、多くの人々はノスタルジーを感じることは無いということになります。

 学生を集めて行った2006年の研究では、

 このような結果になっています。

ノスタルジーを感じる頻度が月に1回以下の人って
僅か3%程度なんですよ。

 「ノスタルジーを感じる」というのがわかりにくいですが、めっちゃ簡単に言うと、昔ながらの写真や動画をみたり、音楽を聴いて昔を思い出したり、懐かしのあの場所に久しぶりに行ってみたりすることです。そういう経験って誰でもあることですよね。

 「当然ですが、ノスタルジーは病的な感情ではありません。」

 ホーファー医師は人々が強いストレスにより窮地に立たされた時、ノスタルジーを感じることから、ノスタルジーは病気と定義しました。しかし、それは大きな間違いを孕んでいます。

 「ノスタルジーを感じること」=「ストレスを引き起こすこと」ではないからです。この重要な点について確認するために、ノスタルジーが私たちの健康や幸福にどのような影響を与えるのかを見ていきましょう。

ノスタルジーが私たちを幸福にする4つの理由

①:ポジティブな気分を高めてくれる

 ノスタルジーを感じるときの思い出は、ポジティブに脚色されていることが多いことが明らかになっています。人はノスタルジーを感じた時、前向きになることが分かっています。

②:自己肯定感を高めてくれる

 ノスタルジーを感じるとき、そのエピソードは自分中心になっている場合が多いので、自己肯定感を高めてくれるのに役立ちます。自己肯定感が低すぎると、自責的になり、ストレス過多を引き起こしてキャパオーバーになってしまいます。それを避ける為にはノスタルジーはとても有効です。

③:友人や社会との繋がりを再認識させてくれる

 ノスタルジーを感じるとき、親密な人との思い出を蘇らせることが多いことが分かっています。自分が孤独でないことを認識し、生きる意味を見出す手助けをする効果がノスタルジーにはあります。この効果に付随して、『対人能力を強化する効果』もあることが分かっています。

④:人生の意味を考えさせてくれる

 ノスタルジーを感じるとき、貴重な人生経験を思い出すことができることが分かっています。2006年の研究では、ノスタルジーのレベルが高い人ほど、人生の目的をたくさん報告したというデータがあります。

 ポジティブ心理学では、前向きなことをリストアップする方法をよく使って自分の気持ちをポジティブにしようと試みることが多いのですが、それよりも『ノスタルジーを感じる方が人生の意味を強く生み出す』方法であることも2012年の研究により明らかになっています。

なぜノスタルジーはそれほどまでに重要なのか?

今ご紹介したノスタルジーがもたらす4つの幸福の効果はとても重要です。

・人生の意味を感じること
・自己肯定感を高く持つこと
・孤独ではないこと
・ポジティブな考えを持てること

この4つが不足してしまった時、私たちは様々な病気にかかります。

・うつ病など精神病リスクが高まる(Wong et al,1998)
・アルコール依存症のリスクが高まる(Harlowe et al,1986)
・薬物乱用のリスクが高まる(Padelford et al,1974)

『ノスタルジーは私たちに生きる活力を与えてくれる』のです。

 昔の思い出に浸ることは「女々しい」、「意味がない」、「カッコ悪い」と卑下されることが多いですが、私たちにはノスタルジーが必要なのです。

落ち込んでいるときに私たちがとるべきシンプルな方法

 落ち込んでいるときや、不安な時こそ、

 ・懐かしのあの曲を聴く
 ・思い出の場所に行く
 ・友人と昔の話に華を咲かせる

 そんな行動が私たちを救ってくれるのです。

 もちろん、いつまでもノスタルジーに浸っている訳にはいきませんが、つらい時にストレスから解放される方法として、ノスタルジーは私たちにとって非常に重要なのです。

我々はいつも恋人を持っている。
彼女の名前はノスタルジーだ。
ヘミングウェイ 

引用

1.Sedikides, Constantine, et al. "Nostalgia: Past, present, and future."
Current Directions in Psychological Science
17.5 (2008): 304-307.
2.Routledge, Clay, et al. "Nostalgia as a resource for psychological health and well‐being." Social and Personality Psychology Compass 7.11 (2013): 808-818.
3.Wong, Paul TP. Implicit theories of meaningful life and the development of the personal meaning profile. Lawrence Erlbaum Associates Publishers, 1998.
4.Harlow, Lisa L., Michael D. Newcomb, and Peter M. Bentler. "Depression, self‐derogation, substance use, and suicide ideation: Lack of purpose in life as a mediational factor." Journal of clinical psychology 42.1 (1986): 5-21.
5.Padelford, Betty L. "Relationship between drug involvement and purpose in life." Journal of Clinical Psychology (1974).

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