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コロナ感染は1週間前に「第4波」に入っている件

▼2021年4月15日付の産経新聞と朝日新聞の1面トップに、それぞれコロナ感染の最新状況がわかる記事が載っていた。1週間ほど経つが、基本の流れは変わっていない。適宜改行と太字。

▼まず、産経新聞から。

〈変異株、首都圏で来月主流/尾身氏「感染は第4波」〉

〈厚生労働省に新型コロナウイルス対策を助言する専門家組織は14日の会合で、感染力の強い変異株が東京や愛知などでも増え、従来株から急速に置き換わりつつあるとの見解をまとめた。

関西では既に主流になり、首都圏と東海地方でも5月前半には主流になる可能性があるとの推計結果も公表。東京では20~30代を中心に感染拡大が継続しており、首都圏でも今後関西圏と同様の急拡大が懸念されるとの認識も示した。〉

▼次に、朝日新聞から。

〈大阪 重症病床数超す患者/一部は軽・中等症病院に 実質100%/尾身氏「第4波に入った」〉

〈新型コロナウイルスの感染急拡大を受け、大阪府が確保する重症患者向け病床(232床)の使用率は14日、94%に達した。

軽症・中等症患者の受け入れ病院で治療を続ける重症患者もいるため、重症病床の使用率は実質的には100%を超える。府は同日の対策本部会議で「逼迫(ひっぱく)という状況を超え、重症医療の危機に陥っている」との認識を示した。〉

▼今はコロナ感染の「第4波」である、と尾身茂氏が明言したのは4月14日。それから1週間ほど経って、確かに感染者数は確実に増えている。

▼ウイルスの広がりはスッキリ科学的に説明できるものであり、人間の感情とは一切関係ないことがよくわかる。おそらく予想より感染拡大が速いのだろう、知事たちも首相官邸も後手後手になっている。

▼とはいえ日本を、世界の中の日本、として見ると、感染者数は圧倒的に少ない。

たとえばインドは1日30万人のペースで感染者数が増えている。

いっぽう、ワクチンを接種した回数は世界で9億回を超えた。

▼日本の感染者数は圧倒的に少ないにもかかわらず、東京でも前の波で医療崩壊したし、大阪でもいま医療崩壊している。

つまり、医療政策のあり方そのものが問われているわけだが、そのことを正面切って論じるメディアが少ない。

▼ところで、緊急事態宣言がゴールデンウィークを含む2週間、ということだが、これは短すぎるのではないか。感染者数が500人程度になって、解除すれば、また増えることは火を見るよりも明らかだ。

オリンピック開催の可否との関係だろうか。ナゾだ。政治と科学とは一致しないが、かけ離れすぎると、政治不信だけでなく、科学不信も増幅してしまう。

医療政策の相対化と、記者会見する人のリスク・コミュニケーション。この2つが、第4波をめぐる報道を読んで、筆者の考える日本社会の喫緊の課題だ。

(2021年4月23日)

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