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心と体を整える

前回は、ストレスとうまく付き合うためには、丹田を意識した腹式呼吸が有効だという話を書きました。

私が自律神経を整える方法に興味を持つようになったのは、20代のときに経験したある出来事がきっかけでした。

体を壊して気付いた心身の脆さ

社会人一年目のある朝、目が覚めた瞬間からひどく眩暈がして、布団から出ることすらできなくなりました。午後にようやく起き上がれるようになり、心療内科に駆け込むと、自律神経失調症と診断されました。

自律神経失調症とは、ストレスや不規則な生活などにより、交感神経と副交感神経のバランスが崩れてしまうことであらわれる、様々な身体の不調のことです。

その頃の私は、長時間労働や人間関係などでストレスを抱えていました。加えて、早出や深夜残業などで生活のリズムも不規則になりがちで、振り返ってみると不調の原因は多重にありました。

ですが、私は朝起きれなくなるまでそのことに気づいていませんでした。体を壊してようやく、心と体に負荷が掛かっていたことを自覚したのです。

それまで大病を患ったことがなかったので、自分が起き上がることができないぐらい不調になるというのは、とてもショックな出来事でした。

心身のコンディションを記憶する

ですが、そこから幾つかの学びを得ることができました。

まず第一に、自分の心身が壊れる可能性があると認識できたことです。それを知っているのと知らないのとでは、生き方がまったく変わってきます。それからは、なるべくストレスフルな状況に身を置かないように気を付け、生活のリズムにも意識を向けるようになりました。

次に、心身のコンディションを体感として記憶するように努めました。自律神経が不調のときは、心と体との間に距離があるような、常に頭の中に霞がかかったような、虚ろな感覚に苦しんでいたのですが、その状態を覚えておくことで、自律神経の乱れ具合を自覚できるようになりました。

そして、自律神経を整えるために、様々なリラクゼーション法を試すようになりました。例えば「半身浴」「ウォーキング」「ヨガ」「太極拳」「座禅」「瞑想」「自律訓練法」などの様々な方法を実践して、心身のコンディションを良い状態に持っていくことができるかを確認しました。

自律神経のバランスをとる

「自律訓練法」とは、1932年にドイツの精神科医ヨハネス・ハインリヒ・シュルツによって創始されたリラクゼーション技法です。ストレス緩和、心身症、神経症などに効果があると言われています。

一般的な自律訓練法では、次の7つの公式を順番に実践します。

背景公式
気持ちがとても落ち着いている。

第1公式
手足が重い(慣れないうちは右腕、左腕~のように順番に)。

第2公式
手足が温かい(慣れないうちは右手、左手~のように順番に)。

第3公式
心臓が静かに打っている。

第4公式
呼吸が楽になっている。

第5公式
お腹が暖かい。

第6公式
額が涼しい。

これらの公式を順に心の中で繰り返し唱えることで、自己催眠状態に入っていきます。1回あたり3~5分程度で、手足の先がじわじわと温かくなり、まるで足湯に使っているような感覚になります。

終了する際は、手足の屈伸などの終了動作を行うことが推奨されています。寝る前に横になってやるときは、そのまま寝落ちしても問題ありません。

この訓練法は思いのほか効果があり、そこから呼吸法や瞑想に興味を持つようになって、今ではマインドフルネススペシャリストの資格を取得するほどの呼吸マニアになりました。

心と体は一体である

仏教用語に「心身一如(しんじんいちにょ)」という言葉があります。これは、精神と肉体は一体のもので、一つのものの両面であるに過ぎないという意味です。私たちの心と体は繋がっているのです。

心と体は移ろいやすく、誰しも調子がすぐれないときがあるでしょう。そんなとき、自分のコンディションが良くないことに気付いて、リラクゼーション法で調整することができれば、きっと機嫌よく過ごせる時間が増えていくはずです。

「ヨガ」も「太極拳」も「座禅」も、すべて体と呼吸を整えることで心を整えるという取り組みです。どれも目指すところは心身の平穏だと思うので、自分に合った方法を生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

では。


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