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現在地を俯瞰する

内閣府の発表によると、日本の国内総生産(GDP)は2四半期連続でマイナス成長となり、景気後退(リセッション)に入ったそうです。

2023年10~12月のGDPは前期(7~9月)比0.1%減でした。この状態が1年続く場合の年率換算は0.4%減となり、予想以上の低下だったようです。

景気後退(リセッション)とは?

景気後退リセッション)とは、景気循環の局面のうち、景気が下降している状態を言います。景気循環のサイクルを4局面(好況、後退、不況、回復)で考えた場合、後退の始まりがリセッション入りです。

景気後退(Wikipedia)

景気は通常3年~5年で循環します。そして景気拡大期(回復から好況)は2年~3年かかるのに対して、景気後退は1年~2年というスパンです。

つまり、向こう1年~2年は不景気が続く可能性が高いということです。

景気後退の主な理由のひとつは、個人消費の低迷です。日本の消費者は、食料や燃料などの価格の高騰に苦しんでいます。個人消費は日本経済の約半分を占めていますが、2023年10~12月期は前期比0.2%減でした。

また、ヨーロッパや中国をはじめとする諸外国でも経済停滞の兆候が見えており、それに伴い日本からの輸出は鈍化しています。

倒産件数の増加率はリーマン・ショック以上

もうひとつの理由として、倒産件数の増加が考えられます。

帝国データバンク(TDB)と東京商工リサーチ(TSR)が発表した2023年の倒産件数は、前年から30%以上増加し、バブル崩壊以来の高い増加率となりました。

新型コロナウィルス対策で中小企業向けに実施された「ゼロゼロ融資」が返済期限を迎えたところに、原材料・エネルギー高騰深刻な人手不足などが重なって、融資を受けた企業の倒産が増えています。

新型コロナウイルス禍で売り上げが減った企業に実質無利子・無担保で融資する仕組み。新型コロナの感染拡大初期は日本政策金融公庫や商工組合中央金庫などの政府系金融機関が手掛けていた。利用が相次ぎ政府系金融機関では対応が間に合わなくなったため、2020年5月からは民間金融機関も融資できるようになった。民間金融機関の受け付けは21年3月末に終了している。

ゼロゼロ融資(nikkei4946.com)

倒産の増加率(前年比)はリーマン・ショックやITバブルを大幅に上回り、バブル崩壊後の1993年以降では最大となっています。

ニュースイッチ(日刊工業新聞)よ

過去10年の倒産件数を表したグラフを見ると、確かに倒産の増加率は急上昇しています。ですが、総数自体は2019年以前と同程度です。

22年までは「ゼロゼロ融資」をはじめ、持続化給付金や雇用調整助成金など国の支援施策が充実していたため、実質の延命期間でした。この3年間でアフターコロナに適応できなかった企業が、徐々に立ち行かなくなってきています。

元々、コロナ融資の返済が本格化する2023年は大倒産時代になると言われていました。まさに予言は的中したわけです。

日経平均株価はバブル期の最高値を超える?

倒産する企業が増えているいっぽうで、日経平均株価はバブル期に記録した史上最高値に迫っています。2月16日の終値は3万8487円と、史上最高値の更新まであと400円あまりとなりました。

株価一時700円以上値上がり 史上最高値に迫る その背景は?(NHK)

日本株が上がっているのは、日本企業の株が海外からたくさん買われているからです。その理由としては、円安で日本の株がお買い得だということもありますが、日本経済が長く続いたデフレから脱却するのではという期待もあるようです。

齋藤経済産業大臣は、16日の閣議のあとの会見で「これまでの日本経済を振り返るとバブル崩壊後は、長引くデフレの中で、企業がコストカットで利益拡大をはかる『コストカット型経済』になっていたと思うが、現在は国内外のマクロ環境の変化と積極的な産業政策により潮目の変化を迎えている」と述べました。

2024年の日本経済は結局どうなるの?

日本株は好調で、企業に資金は集まっているようですが、わたしたち生活者にはその実感がありません。株価と物価は高騰していても、賃金が上がっていないからです。

景気が停滞しているにもかかわらず、物価が持続的に上昇することをスタグフレーションと呼びます。今の日本はスタグフレーションに近い状態にあると言えそうです。

スタグフレーションに陥ると、物価だけが上昇して家計が圧迫され、家計の将来不安によって生活防衛意識が高まり、消費が抑制されます。

この局面を脱却するためには、企業収益の改善が賃上げに結び付いて、企業の設備投資の拡大個人消費の活発化を同時に実現する必要があります。

政府は「物価高を上回る所得増へ」と、賃上げ税制や所得税などの定額減税といった施策をもって扇動していますが、果たして成果が出るのかどうか。今後の日本経済はどうなっていくのでしょうか。

良くも悪くも、大荒れになりそうな予感がします。

では。

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