2024年3月の今、住宅の断熱レベルをどう見るか?
3月も後半に入り、寒い日と、例年よりも暖かい、否、日差しが暑いくらいの日が混じってきて、なんだか気象の異常を感じずにはいられない毎日ですね。
ここ十年で、住宅の断熱性に意識が向くのと並行して、極端な気温、気象が増えてきました。
住宅性能の重要性を年々より強く感じます。
そんなご時世の中、未だ日本の住宅には断熱における最低限の縛りもありません。
現状としては、請負契約時に省エネ性能の必要性と効果と「省エネ基準」(=断熱等級4)という名の目安数値(法的縛りなし)への適否を建築士が説明義務を負う程度。
この「省エネ基準」が、2025年4月にはついに義務化となります。
適合しないと、住宅が建たなくなります。
先進国中でおくれに後れを取った記念すべき義務化なので、来年のこの時期には、テレビなんかでも特集を観る機会があるかもしれませんね。
と言っても、この数値は下の下。
皆さんのような一般的に家を建てる方々にとっては、この数値、最低ラインとは言い難い。
なぜかと言えば、例えばフラット35。
住宅ローンを利用される方なら、一度は耳にする長期固定金利型の住宅ローン。
これを利用するにあたっては、既に省エネ基準は要件化しています。
一般的によく使われる、金利優遇のある金利Aプランを選択するには、断熱等級5(=強化外皮基準)俗に言う、ZEH外皮が必要となります。
すでに、実質的には断熱等級5という、ZEHレベルの断熱性能が最低ラインになっているんです。
では、ZEHレベルの断熱性能にしておけば、世の流れに十分乗っているかと思えば、さにあらず。
実は国に先駆けて、地方自治体が「このままの基準じゃ、県民の健康を守れん・・・」
と、独自の基準を設けたり動きが始めています。
その急先鋒が。鳥取。
2020年に「とっとり健康省エネ住宅性能基準」を設け、HEAT20 G2以上の断熱性能に補助金を出し始めました。
合わせて山形県もG1以上の住宅に付加価値をつけ始めました。
各地方自治体が、水面下で動き始めているなか、東京都が大きく舵を切ります。
東京都と言えば、太陽光発電の義務化などで話題ですが、更に断熱性能にもテコ入れが。
その基準のMAXは、G2より上。
もちろん、土地が狭い地域も多い都内で現実的に断熱を外側に大きく張り出させることが難しいので、あくまで上位10%を誘導する基準としているけれど、この数値をドンと出したのは衝撃です。
東京の影響力を鑑みると今後、より住宅の断熱性能にフォーカスする地方自治体が増えてもおかしくない状況。
アッという間に、実質の断熱レベルが底上げされるかも。
つい先日、材料の代理店さんが、「来年の基準化で、困る工務店さん山ほど出ますよ。」なんて話をしていて、「そのレベル、ヤバくない!?」って驚いたのだけれど、現実はもっと厳しいのではないかな。
というか、家づくりのお話させて頂くほとんどの方が、もう中途半端な断熱で後から困りたくないと仰っているので、今や最低ラインがG2レベルの断熱にはしておきたいところ。
なにせ、後から断熱リフォームするのって、大変ですから。
新築のときにできるだけやっておくに越したことはない。
断熱リフォームをやらせて頂くたびに、心からそう思います。
hiroyuki
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