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なぜパワハラという名の犯罪はなくならないのか

0:はじめに

最近吉原馬雀という二つ目の落語家が元師匠である三遊亭圓歌からパワハラを受けたことに対する裁判で東京地裁はパワハラを認め三遊亭圓歌に80万円の支払いを命じたことはご存じだろうか?

この一件で伝統芸能の「伝統」の言葉によって正当化されてきた常識から逸脱した行為がいくら何でも不当行為であるとやっと認められたことになる。とはいえ当の圓歌は責任と取って落語家を辞めたわけでもなく支払われた額も80万と少なく課題は山積みだが。

1:なぜパワハラという名の犯罪はなくならないのか

いきなり結論から言うとなぜパワハラという名の犯罪はなくならないか、それは「パワハラ加害者にとってパワハラは自身のプライド・尊厳であり、パワハラの否定はパワハラ加害者自身の否定でありそれが怖いから」である。

これはどういうことなのかと言うと次のようになる。

パワハラ加害者は当然ながらパワハラをパワハラなどとは思っていない。そしてパワハラ加害者は「愛の鞭」「厳しい修行」「それが伝統」などという都合のいい言葉で正当化してくる。

パワハラ加害者は自分が若い頃目上の人間から受けてきた仕打ちに対してその目上の人間からやはり「愛の鞭」「厳しい修行」「それが伝統」などという言葉を受け「耐えてしまう」のである。そして成長はパワハラのおかげだと勘違いして負の連鎖は延々と続いてしまうのである。

この耐えてしまうというのが厄介なもので日本という国は忍耐や我慢が過剰なまでに美徳とされている。

自身の成長はパワハラのおかげだと思い込んでいる(パワハラをパワハラだと思っていない無自覚な)パワハラ加害者にとって「パワハラ=成長、糧」であり下手すれば自分自身でもある。だからそれを否定されるのは大きく自身のプライドを傷つけてしまうことになる。パワハラ加害者はそれが怖いからパワハラを正当化することで自身も正当化する。

そして、パワハラなしで人を育てるやり方に対して「伝統を蔑ろにしている」「根性なし」などと全否定で貶し、旧態依然の方針を「自分はこれで成長した」などと礼賛し続けるのである。

一方でパワハラ加害者は部下や弟子に対して「お前らが俺らくらいの歳になったら「する側」に回れるぞ」という何のメリットにもならない誘惑の言葉を平気で吐くこともある。自身が受けた肉体・精神の傷は次の世代で発散しろというやり方で負の連鎖を正当化しているのである。

2:余談

余談だが自分も学生時代県人会が運営する学生寮にいたがそこも落語界ほどではなかったがひどかった。「伝統」という名のもとに旧態依然の悪習も正当化されていたことは同じだった。

暴力沙汰こそなかったが田舎の公立の男子校の悪いところを煮詰めて抽出したような場所だった。

他の県が運営する学生寮、学生会館があくまでも住むだけの学生マンション的なものだったのに対してやたら自治結束を謳う旧態依然が蠢く魔窟だった(もう10年以上前のことなので今はどうなったか知らないが)

例を挙げると
・異常なまでの挨拶の強制
→下級生(1,2年生)には大声の強制、上級生(3,4年生、院生)はボソボソ
→人混みの中で見つけられなかっただけでなぜ挨拶をしなかったと脅されたことがあり通学ルートを変えた経験がある
→風呂に入る時もわざわざ挨拶の強制。シャワーで聞こず返せえなかっただけで脅される。それが嫌で銭湯通いをした
・入寮したら先輩の部屋に挨拶回りに行かされ、そこで出身高校等を叫ばされる必要性のないイベント
・1,2年は必修の1,2限授業があるにもかかわらず1,2年生が風呂焚き風呂掃除をやらされて寝るのは日付が変わってから
・遊びたい盛りなのに月に一度日曜の夜に廊下の列単位で寮内を掃除する列掃除という理不尽なイベント

などなど出そうと思えば枚挙にいとまがない。バックグラウンドには田舎特有の新しいことをやたら毛嫌いする古臭い思想やベタベタとした近すぎる距離感もあって田舎というのが嫌になった。

実際12人くらい入寮して辛くなって多くの同期が途中で退寮した。最後まで寮に居続けたのは半分にも満たなかったと記憶している。

3:まとめ

月並みなことしか言えないがパワハラはやめた方がいい。

パワハラがなくならないのは加害者のプライドを傷つけられるからと書いたがもう一つあった。加害者に対する処罰が甘いということだ。

処罰が甘いから加害者はパワハラは「いいこと」だと誤認識し続け平気で人を傷つけてしまう。人を傷つけたという事の重大さを分かってもらえる罰がそろそろ必要なのではないだろうか?実際パワハラ自殺が起きて加害者は刑務所に入るわけでもなくのうのうと生きているのが現状である。

ああだこうだ書いてきたがパワハラが減ってゆくゆくはゼロになって欲しいものである。


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