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文法授業に参加する方法

あえて、「授業を受ける」ではなく、「授業に参加する」というタイトルにしてみました。ぼーっと眺めているだけではなく、授業を自分の学習の中に取り込んでいく方法のお話です。

予習の方法

予備校の文法教材は主に「時制」や「関係詞」などのような文法項目ごとに文法問題が配列してあります。予習ではこれを解くことが中心になります。このときに文法書や辞書を駆使して自分の解答が正しいかどうかを確認できれば理想的です。これは、できる範囲で構いません。これが一人で十分にできれば授業など必要ないわけですから、十分にできないほうがむしろ普通です。また、文という単位で文法現象を捉えることが使える文法を身につけるには大切ですから、解答に際してはノートなどに文全体を書き出すようにします

授業中(講義の聴講の方法)

授業では、文法の知識と問題が正解に至るプロセスを理解するように努めます。ここで完全に理解できれば理想的ですが、やはりこれも容易なことではありません。最初から完全理解できるのはもとから基礎的な文法知識が身についている場合か、残念ながら文法授業の中身が薄い場合に限られます。このため、授業中での完全理解はあくまでも努力目標ということになります。

解説は講師による口頭説明を中心に行われる場合もあります。板書を中心に行われる場合もあります。プリントやテキストなどの印刷教材(またはデジタル出版教材)にそって行われる場合もあります。

ノートをとることが必要になる場合があるかもしれませんが、ノートを作ることを目的にしないように注意しましょう。ノートは所詮外部記憶媒体に過ぎません。ことばを使う人間にとって内蔵記憶媒体は脳だけですから、頭に入れることを念頭に置いたノート作成が必要になります。逆に言えば、すんなり頭に入ることを、ノート作成の時間を割いてまとめる必要はないのです。講師が複数の色チョークを使って板書することもありますが、ノートを黒板と同様の多色版にする必要はありません。自分で復習の際に理解できれば単色でも構いません。むしろ、何色で書こうかと授業中に悩んでしまうことのほうが理解の妨げになります

授業内容を授業中に完全に理解するのは困難ですが、こうした目標を持つことで疑問に思ったところを授業後にすぐ先生に質問するという習慣が身についてきます。間違っても、最初から授業中での理解を放棄してすべてを復習に回すようなことはあってはなりません。それでは授業に出ている意味がなくなってしまいます。(本当はここで生徒同士のディスカッションを行うと理解が深まるのですが、予備校では先生による講義が中心となりますから、理解は授業中と授業後の二段階とならざるを得ません。)

復習の方法

授業後が文法知識の理解と定着の山場となります。授業中に先生から口頭で聞いたこと、板書、テキストや配布プリントに記載されていることの理解を目指します。このときに割り切って丸暗記をしたほうが効率的である場合もありますが、基本は丸暗記よりも分析的理解にあります。そして、その理解した知識に基づいて英語そのものを覚えていくようにします。これは一般的には例文暗記の形をとります。

必要であれば文法書や辞書も使います。例文でその知識を確認し、例文を「声出し」と「筆写」によって記憶に定着させていきます。テキストの文法問題は口頭で解き直します。つまり文全体の「声出し」を行うのです。この過程で改めて疑問がわくことがあります。この疑問は授業ノートなどを読み直すことで解決することもあります。文法書や辞書で解決することもあります。それでも駄目であれば授業の先生に質問しましょう。

教材に盛り込まれた文法問題は、大学入試の文法問題の直接的な対策というよりは、文法を理解し、英語を覚えることを促進するためのものです。そもそも、文法問題対策だけが目的であれば予備校や塾に行く必要はありません。よい問題集が書店で手に入りますから十分独習できます。文法学習で予備校や塾を頼るのは、文法知識の理解の手助けを得るために他なりません。このため、復習の際には教材の文法問題を解き直すことも文法知識の理解には有効なものなのです。

この手順を踏めば、英文法を本格的に学んだ経験がない人でも次第に効果が出てきます。最終的には授業を聞くことが復習になり上述の復習のプロセスが不要になってきます。もっともその頃になれば予備校の文法授業も終講を迎えることになります。

合わせてこちらの記事もお読みください。文法の授業が何のためにあるのかというお話です。


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