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外国語としての英語

今回は、「外国語としての英語」とは何かについて、私の考えをお話しします。同名の過去記事とも関連してはいます。

「外国語としての英語」(English as a Foreign Language; EFL)と対になるものとしてよく取り上げられるのが「第二言語としての英語」(English as a Second Language; ESL)です。ESLというのは英語を母語としない人が英語を使う社会で生活していくために必要な英語です。この場合は英語はまず話せなければなりませんし、聞き取れなければ会話になりません。音声言語だけでは就学や就職ができませんから読み書きも必要になります。つまりESLでは4技能が否応なく求められるのです。

これに対してEFLは英語を母語としない人が英語を必要としない言語環境で学ぶ英語です。この場合、英語を使わない生き方を選ぶこともできます。仕事などで英語が必要になる場合も、4技能すべてが全ての学習者に必要になるわけではありません。これから日本も日常的に英語が必要になるという意見もありますが、日本語だけでは生活ができなくなるようなことはおそらくありえないでしょうし、日本語だけでの生活を保障するのも政府の仕事です。言語政策は今回の主題ではありませんのでこれ以上立ち入りません。いずれにしても現状では個々人が学ぶべきだと思った英語を学べばよいのです。

ただし、例えば読み書きだけできればよいというときに英語学習から音声を排除してよいのかというと、必ずしもそうはなりません。英語の文法や語彙などの知識の記憶への定着を促進し、書記言語としての英語による理解や表現の技術を身につけるうえで、英語を声に出したり、ときには対話型のやりとりをするほうが効率のよい学習ができるからです。例えば小説を読むのに必要な英文法を身につけるには、より実際的な口頭練習(いわゆるコミュニケーション活動)を利用した方が定着しやすくなります。逆に簡単な会話ができればよいという人でも文字で書かれた表現を文法的に分析しながら覚えていくことをあわせて進めたほうがいい場合もあります。

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