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「振り向いたら、もうそこには無い」

12月は特別な季節だなと思う。

今年が終わる焦りと、クリスマスに浮かれてしまう気持ちと、
次に向かう準備と、何かをまとめてしまうような
そんな感情がいっぺんに訪れるような月。

2019年は自分にとって
出会いがあって、別れがあって、そして
また最後の最後に、何かに出会えたような年だった。


12月はじめ、

TAGIRI HOTEL DINING & SPA に宿泊した。


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助手席でナビをしていたけれども、
茂みに建物は隠れて見えなくて
赤いピンが指すGoogleマップ画面を見ながら
「通り過ぎないように、もう少しスピードを落として」
なんて言ってしまうくらいだった。

千と千尋に出てくるようなトンネルを潜り、
うねうねしている山道を進んで
生い茂る植物と広がる田んぼの中に、あった。


着いた瞬間に、窓の灯の可愛さにワクワクし
ドアを開けた瞬間に、思わず深呼吸をする。


雨上がりのせいか、夕暮れのせいなのか
たった1人フロントにいた男性がいるだけの空間は
とても落ち着いた空気が流れていた。


静かな場所は、少しだけ緊張する。

階段を登って、入った部屋は
丁寧、という言葉と愛情という言葉が染み付いているような

勝手に、そんなことを思う。


ドアを開けて、静かに電気のボタンを押して
ウェルカムティーの説明をしてくれて
アロマのスイッチを回してくれた。



なんともいえぬ幸福感。


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特別なことをした訳ではなく
温泉に入って、美味しいご飯と
少しの夜の散歩と(結局途中で雨が降ってきて数分しかしていないが)
数ページ本を読んだ。


それでも、ここを特別だなと
思ってしまうのは、
日々の忙しいさに言い訳をして
当たり前にご飯を食べることや
丁寧に周りをみわたすことや
自分の周りのものを、ぜんぶ
“好き”な気持ちで
抱えきれていられなかったから
かもしれない。


このホテルは、

来年の夏前になくなってしまうらしい。

私たちサーファーが感じ、表現したい世界のひとつ…

「振り向いたら、もうそこには無い」

その波は無くなりますが、
そのメイクした波の余韻は一生忘れる事ないでしょう。
その為に今この瞬間を大事にするという、
掛け替えのない生き方をしていきたい。

一本の波を乗るように生きたい。


私はサーフィンなんてしたことがなくて
振り返ったらなくなってしまう…なんて、
そんな波や感覚なんて、知らない。


でも、少しだけ、そんな風に生きてゆくのは
おこがましいかもしれないが
わかる。


「いつ間にか寝てしまった」なんて迎えた朝は

とびきり綺麗で、昨日の雨に感謝したいくらいだった。


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ピクニックのバスケットを片手にホテルの近くの砂浜まで散歩をした。 



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ご飯の後に歩いた真新しい砂浜は、
実家の雪を彷彿させて懐かしくなった。


でも、似ているとおもった瞬間、
まるで違うな、とも思った。

早朝の降り積もった雪は
振り返ると確かにそこにいた気配が残るはずだった。


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「振り向いたら、もうそこには無い」


少し前、
過去も、未来もなくて、今しかないんだよと
教えてもらった。


今しかないから、振り返っても遅いから、

だから、今を見つめて目の前の人を思って

自分も正面から見てあげたい。


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今日も一日良い日だったねと
言える夜と
今日も一日良い日になるねと
言える朝を
迎えられる日々でありますように。

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