見出し画像

現実と向き合う。

ヤングケアラーの
端くれとして
思うこと
たくさんある

昨日は一緒に
通院した
おばあちゃま
緊急入院になった

午前中
亜鉛不足と云われた
おばあちゃま

一緒に食べた
病院内のランチ
ウナギだった

いつも節約してる
おばあちゃま
元気になりたい
その一心だろう

どうみても
固そうで
不味そうで
レンチンしたような
ウナギは
温められ過ぎて

エコー検査のため
絶食してた
おばあちゃまは
あんなに
「おなかすいた」
朝から連呼してたのに
二切れ食べて
全部残した

もちろん
いままで
一度だって
食事を残す姿など
見たこと無かった

ボクは
おばあちゃまの
車イスを
歪んだ足で
びっこしながら
押して歩く

今朝のおばあちゃまは
何だか遠い
そう感じてた

排泄を手伝うため
多目的トイレに
一緒に行ったのに
使用中だった

普通のトイレ前に
車イスを止めて
おばあちゃまと
ゆっくり時間かけて
入って行った

かなりの時間を要する
出てきて車イスに
戻して次の場所へ
移動するころ

多目的の扉が開いた
大学生ぐらいの
オトコの人が
スマホ片手に出てきた

文句はいうまい
足が義足かもしれない
オスメイトトイレに
用事が在るのかも
泌尿器系がダメで
普通トイレ
利用できないのかも

怒りを収める
理由を頭に浮かべながら
おばあちゃまに
はなしかけたが
返事がおかしい

車イスを止め
しゃがむことができない
ボクは身体を斜めにしながら
おばあちゃまを覗き込む

目がおかしい

おばあちゃま?

ん?

いままで
1番笑ったことは
何だったの?

いつもの
おばあちゃまなら
ギャグで
1度も笑ったことない
などという
自虐ギャグを炸裂させるハズ

・・・。

おばあちゃま?

ん?

あぁ何だかおかしいな

次の診察でも担当先生に
いつもと様子が違うこと
家族として話したのに
CTやエコーに異常が無い
数値は亜鉛だけ不足

それだけの
判断材料で診察が終わる

大量の薬
1度の通院で
7カ所から8カ所の
医療科を回る

自己注射器も重くて
保冷庫で運ぶので
車イスの他に
薬を運ぶための
カートもある

付き添いの
叔父や叔母がいない
その瞬間の移動は

叔父や叔母は
移動しないように
キツク云うが

おばあちゃまは
トイレだって行きたい
ボクだって
飲み物を追加で買いたい

買い物カートの
手で引っ張る部分を
頭から胴体へ通し
お腹の部分で固定

前進すると
後ろにカートが
引っ張られるように

両手で車イスを
押し車みたいに
押して進む

すれ違う
多くの患者さんに
「あぶないあぶない」
「お母さんは?」
などと声をかけられるが

立ち止まって
説明してる場合じゃない

大丈夫です!
いいながら前進

看護師さんの中でも
助手とかではなく
正看さんに出くわすと

直ちに
止められ
他のオトナを呼ばれ

助手さんなどが
車イスのおばあちゃまたちを
トイレへ連れてってくださる

そして
「お母さんは?」と聞かれる

「ボクはその尋問が
1番キライです」


「ぇー?尋問??
今日はひとりかな?」

「ちがいます」

「そかそか、
誰と一緒かな?」

「叔母です」

「どこにいるかな」

「支払いに並んで
処方箋FAXしに」

「んーそかそか」

その後
動かないように云われ
叔母さまが来るまで
そこに看護師さんといた


少しながかったから
おかしいと思ってたら

おばあちゃまが
入院になってた

予感は的中

いつもと違うことは
ボクにだってすぐわかる

目が遠い

ボクは何人もの
おじいちゃま
おばあちゃまの
最期を共に過ごした

目が違うんだ

お話だって違う

きっと天使を眺めてる


おいしいウナギを
食べさせてあげたい
率直にそう思った


一応医師の云うには
来週には退院だ


退院したら
その足で
美味しいウナギを
食べに連れて行こう

タクシーに
2人で乗って
スグ行こう

お金は無い
でも
スマホを購入するため
noteで皆様から頂いた
お金が7500円もある

現金で貯金箱に在る
きっと足りる

おばあちゃまだけでも
2人で入って
1人分の注文でもいいかな

タクシーの往復は
おいくらになるかな

頭の中でグルグル考えた


気づいたら
診察台の上で目が覚めた

ボクはおばあちゃまの
入院と聞いて
倒れたらしい

叔母さまが
他の親族を呼んで
大事になってた


「パコちゃん
ムリしたらダメだよ」

「熱中症気味だったんですって」

そういうと
同行してた
叔母さまに
他の親族がよってたかって

文句を
投げつけてた

「うるさい」

ボクは怒鳴った

スグ別のおばあちゃまが
背中をさすりにきた


看護師さんがきて
ボクに
お名前と
お誕生日言えるかな?
呼びかけた

ボクはわざと
目の前を取り囲む
親族のひとりひとりの
フルネームと
生年月日を答えた

「え?すごい!」

看護師さんは
驚くが
親族の介護に同行し
自身も通院を繰り返すと
何万回も耳で聞き

何度も手続きのため
書面に書くのを眺めてる

さすがに覚える

「ごめんね
お名前とお誕生日は
パコちゃんのを聞きたいの」

「いいません」

「ぇー?どうしたの?」

「点滴とかするんだよね?
許可しません
もうボク帰ります」

親族はボクをなだめるが
ボクはもう帰りたい
朝8時に病院に並び
16時現在まだ病院だ

一緒にいた
おばあちゃまは入院した
もう帰りたい

介助してる
叔母さまがやつれてる

どんなに長く
大変な1日か
ボクは知ってる

介護は介護した経験者しか
わからない
簡単じゃない

とても疲れる

いっしょに行った
おばあちゃまは
天使がお迎えにきてる
逝かせはしない

何度体験しても
慣れない

人の死への準備
酸素濃度の低下
90無い

咳の音は普通
タンもあがるようだ


おばあちゃまは
元気になるに決まってる

おししいウナギを
食べさせてあげたい

当たり前の日々を
取り戻したい

おばあちゃまの
ギャグで呆れたい

おばあちゃまは
天使と会話した

お世話になりました
そらを見て
そう話した

目が遠い


現実は目の前

日々の暮らし
懸命に生きること


















読了ありがとうございます 世界の片隅にいるキミに届くよう ボクの想いが次から次へと伝播していくこと願う 昨年のサポートは書籍と寄付に使用しています 心から感謝いたします たくさんのサポートありがとうございました