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「お土産のお菓子」

「一番好きな食べ物は?」という世界一の難問には、「そのとき食べているもの」と答えることにしている。

そのくらい、日本中の食べ物は甲乙つけ難いくらいなんでも美味しい。
苦手な食べ物はわかっているから口にしないし、花粉を食べない限りアレルギーもない。

そんな私の今日の好物は、海外旅行のお土産でもらったお菓子である。


中国土産でもらった「半边梅」なる、お菓子、らしきもの。私が梅が好きだと思った友人が買ってきてくれたものであるが、私は小梅ちゃん・ねりり・男梅と一通りの梅スイーツにハマってきたクチであるため、その認識はとても正しいといえる。

パッケージの様子はこの通り。

おもて
うら


海外の食品を食べる上で楽しむべきは「得体が知れないこと」であるからして、食べる前にパッケージの外国語を翻訳して読むなどという野暮なことはしない。

しかし、中国語の良いところは、なんといっても漢字を使うところである。「半边梅」の文字を見るだけで、梅なんじゃないかということだけはわかるのである。たとえ、下の写真がかなり謎でも。振られたアルファベットが英語ではなくて、中国語の拼音だったとしても。

せっかくの拼音だが、四声がないので読めない


少しのビビりを隠しながら、パッケージを開ける。そして出てくる、写真通りの物体。

おぉ…

写真よりいささか赤黒い気もするが、得体が知れないという点ではまさに写真通りというほかない。重量感のあるその見た目は今のところ、梅かもしれないし、梅じゃないかもしれない、絶妙なラインを突いている。

半分に入った割れ目に導かれるように、2つに割ってみる。割れ目があれば裂く、それは人の性といえよう。

ぱっかーん


おお、写真はこの状態か。写真通り真ん中に何か白いものが見える。やはりこれは梅だろう。中国語では「梅」は桜を意味するとか、そういうことでもない限り。


食べてみた。
きゅんとした甘酸っぱさが広がる。表面は日本のカリカリ梅のようにすべすべとしてはいなくて、どちらかというと干しあんずとか、プルーンに近い。食感も然り。ドライフルーツらしい凝縮した感じがある。塩分は感じなくて、甘さと酸味が前面に出ている。美味しい。LOTTEの小梅に味が似ているから、日本でも受けるんじゃないだろうか。

パッケージの「梅」の字を見ていなければ私の頭から種という概念は消えていただろうから、梅の種と私の歯が正面衝突していたことであろう。あぶないあぶない。海外のお菓子で冒険してみたいといいつつ、少しは情報を入れておいたほうがいいなと、「半分に切れた梅の種」というあまり見たことのないものを眺めながら、そう思った。

ここでふとまた表示を見た。

アップ


「半边梅」は、半分になっている梅ってことだろう。
「酸甜似初恋」…?
これどう見ても「初恋のような甘酸っぱさ」じゃないか。中国語に疎い私からしても。食べたからわかる、すごく意味が入ってくる。でも後半はわからない。なんとなく読めそうだけど…

私にはグーグル先生がいるんで。


やっぱり初恋〜部分は合ってる!「初恋=甘酸っぱい」という図式が中国にもあるというのは驚きだ。やはり文化が似ているのだろうか。もしかして世界共通なのか?

…それはいいとして、問題は後半である。
「あなたは私の片割れ」…?
誤訳?でないとしたら、絶妙に重いな。一個を二つに割った梅を、人間になぞらえてるのはわかるけど。中国ではあるあるの言い回しなのかもしれないがどうなのだろう。

お土産でもらった食べ物の味を正確に評価するのは、正直難しい。珍しいものであるゆえの希少価値に加えて、その人が旅行に行ってまで自分のことをちょっとでも考えてくれて、わさわざお金を出して荷物にしてまで買ってきてくれたことの嬉しさが、味の評価を補正してしまいかねないから。もっとも、それを含めても補正しきれない海外のお菓子なんかもあるけれど。その可能性が頭をよぎる冒険感もまた、一つのスパイスである。


そんな補正が入っていてか知らぬが、「半分の梅」、とてもおいしかった。中国と日本の絶妙な近しさも感じられて興味深くもあった。はるばる中国からこの味を届けてくれた友人に、心からの感謝を。

ありがとう、あなたは私の片割れだよ😌

…んー、やっぱりちょっと重いと思う。


ああ、今日誰にも好きな食べ物を訊かれなかったのが残念だ。
訊かれたら、すぐに答えたのに。

「お土産のお菓子」

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