女だって仕事を持つべきだ1

「女だって仕事を持つべきだ。」
これは、酔っぱらって持論を語る際の父の口癖だった。私にとっては呪いの言葉であり、私はその呪縛に捕らわれていくことになる。

父は、自己決定権を常に発揮するためには、経済的に自立する必要があると言いたかったのだと思う。幼い頃の私には父の口下手かつ高圧的な物言いから、そこまでの意味を読み取ることはできなかった。

父が決めつけたように叫ぶその言葉に対して、幼いながらも悶々とした疑問を持っていた。しかし、到底口に出せる雰囲気ではなかった。

お祖母ちゃんは専業主婦でお父さんを育てたんじゃないの?
仕事をしないことは、いけないことなの?
私に対してお父さんが決めつけることなの?

父は家族に対して暴力を振るったり、怒鳴りあげたりすることは一切なかった。しかし、無口な父がお酒の席で叫ぶこの呪いの言葉は、私の心に突き刺さり、父への嫌悪、家庭での疎外感という思いに変化していった。
私は自分の居場所を家庭の外へと求めた。

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