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ランディングページのストーリーを再設計しただけでCVRを200%改善した方法

本業ではUXデザインやグロースハックを中心とした仕事をしています。僕は個人的なミッションとして「あらゆる手段を使ってサービスを最強にしていく事」を掲げています。ちょっとフワフワしていますが「あらゆる手段」は「手段を問わず」という意味でもあります。

今回のテーマは、「有料集客ページの費用対効果をストーリー設計によって上げよう」です。いわゆるLPO(ランディングページ最適化)の考え方やテクニック的なお話です。コストをかけて集客してもランディングページで離脱してしまってどうにもならないという状況に直面した時の事を書いています。

結論から言うと
「それまでほとんど中身を見てもらえていなかったページを最後まで見てもらえるようになった事で、ちゃんとコンバージョンしてもらえるようになりました。そのためにはストーリーを見直すことが大事です。」
というお話です。

読後感


* ページの構造を変える際にストーリーを設計する方法が理解できた
* 有料集客ページに限らず他の施策でも応用できそう
* ワイヤーフレームを書く時に活用できそう

ページを1から作る際や、すでにあるページの構造をガラッと変える時なんかに参考になると思います。また情報設計のお話なので他の施策なんかでも十分転用できます。

何かしら持って帰ってもらえると僕としても仕事の励みになります。

1.サービスの価値を見直す

例えばあなたが「明日からこのサービスの担当を頼むよ」と言われた時にユーザーに向けてどんな説明をすれば良いと思いますか?
「このサービスはこんな機能があって、こういう事ができます。他社と比べるとこういうところが強みなんです!あと、こんな事もできます!」
なんかいきなり人に説明するのって難しくないですか?まずはサービスの価値を構造的に整理します。

「プロダクト三層モデル」を使ってサービスの価値を当てはめていきます。
プロダクト三層モデルは「中核価値」「実態価値」「付随価値」の三つで成り立っています。

中核価値:サービスの本質的な価値
実態価値:サービスの実態、特性を特徴付けている要素
付随価値:サービスの本質的な価値に直接は影響がないがこれによって価値が高まる要素

例としてオンラインの英会話サービスに当てはめてみましょう。(例なので想像上のサービスです)

中核価値:英語を喋れるようになる
実態価値:自宅で英語の勉強ができる、教室に通わない分料金が安い、タイプ別に先生を選べる、時間の融通がきく、ネームバリューがある
付随価値:アフターサービスがしっかりしている、料金の支払いが簡単、初回は無料

英語を喋れるようになりたいというニーズを解決するために中核価値が存在しており、その中核である価値を補足するために実態価値が存在します。英語が喋れるようになればなんでもいいやという訳にもいかないでしょうから実態価値はユーザーがそのサービスを選択する基準となります。そして付随価値があることによって、さらにサービスの価値が高くなったり他社と比べる際のポイントにもなってきます。

この三つの価値に自分の担当サービスの価値を当てはめていくと、アピールするべき点などがなんとなく見えてきます。

2.見直した価値をユーザーの言葉にする

先ほど構造化したサービスの価値はユーザーにとってどんな利益があるのかを整理をして仮説を立てていきます。ユーザーにとってはそのアピールが有効なのかそうでないのか。つまりユーザーが不安に思っている事を解消できるのだろうかという視点で仮説を立てていくのをオススメします。また、こういったページの検証をする際に仮説が無いと何が成功で何が失敗だったのかが分からなくなってしまうため仮説は必ず用意しましょう。

中核価値:英語を喋れるようになる
実態価値:自宅で英語の勉強ができる、教室に通わない分料金が安い、タイプ別に先生を選べる、時間の融通がきく、ネームバリューがある
付随価値:アフターサービスがしっかりしている、料金の支払いが簡単、初回は無料

先ほどの価値を元にオンラインの英会話サービスに対して「ユーザーが不安に思っているであろう事」の仮説を立ててみます。

* PCが無いけどスマホでは使えないのではないか
* 使い方が難しいのではないか
* 先生との相性が合わなかった時は変えてもらう事はできるのだろうか
* 急に仕事が入った時にキャンセルしにくいのではないか
* 困ったことがあった時に相談は出来るのだろうか
* 内向的なのだが怒られたりしないだろうか
* 日本語でのケアはあるのだろうか
* オンラインのサービスとは言っても値段は高いのではないか
* 料金プランは選べるのだろうか
* 通信料が高くなるのではないか

これらのユーザーが不安に思うであろう仮説をそのままコンテンツに転換していきます。ちなみにこの時点でユーザー調査の結果など社内に情報があればそれを活用するとより仮説の精度が高まります。

3.ページの流れを考える

細かいテキストはあとで調整をするとして、先ほどの仮説を元にページの流れを考えてみます。

上から下に流れていきます。

1.キャッチコピー
* どういう人に向けたサービスか分かるもの
2.オンライン英会話とは何か?
* オンラインとオフラインの違いやメリット
3.ユースケース
* サービスの活用場面などの想起
4.先生の紹介
* 実際にどんな先生が教えてくれるのか
5.料金プラン
* 具体的な金額や支払い方法など
6.サービス利用までの流れ
* 登録の方法、登録後〜利用までの流れ
7.よくある質問
*  ページ内で説明しきれていないものや不安事を想定して書く

また、今回はターゲットとして「これまでオンラインの英会話サービスを使った事がない、もしくはオフラインの英会話教室を利用した事がある人。なおかつビジネスでの利用。」を想定しています。想定するターゲットによってはページの流れは変わる場合もあります。(例えば競合からの乗り換えユーザーをターゲットとした場合は料金プランやその内容を早めに訴求してあげる、など)

全体の構成が決まったらあとはこれに肉付けをしていきます。

4.テキストで下書きをする

構成ができたら今度はこのページを読んでもらう事を意識しながらコピーなどを作っていきます。このライティングについてはセールスライティングの本などを読むとコツみたいなのが分かってきます。ただ、こういったページのライティングについては特別な文章能力はあまり必要ないと思います。それよりもユーザーはどんなことに困っているのか、どうやってそれを解決してあげられるのかという視点の方が大切です。
(セールスライティングで参考になった書籍は文末で紹介します)

1.キャッチコピー
時間がないあなたに。
ビジネスで結果を出す、スマホで簡単英会話サービス

2.オンライン英会話とは何か?
▼オンラインのメリット
教室に通わないため、移動時間が節約できます
直前での予約もOK
色々な講師のレッスンの受講が可能
無料で教材が利用できます

3.ユースケース
早朝や深夜もOK。出社前や仕事終わりでもあなたのスケジュールに合わせて利用できます。
レベルに合わせて教材や講師を選べるからあなたのビジネスに必要なスキルをサポートします。
プレゼンテーションの予行練習も出来ます。ビジネス経験豊富な講師がプレゼンの相手になってくれます。

4.先生の紹介
当社のカリキュラムを全てクリアした講師があなたのビジネス英会話をサポートします。
ティーチングスキルやコミュニケーションスキルだけではなくビジネス経験のある講師を採用しています。

5.料金プラン
初回無料体験コース:0円 1レッスン◯◯分
ライトコース:1レッスン ◯◯分
プロコース:1レッスン ◯◯分 ×2回

選べるお支払い方法:クレジットカード/銀行講座振込
* 1ヵ月分の受講料をご決済させていただきます。
* お支払い後より、レッスンをご予約・ご受講いただけます。

6.サービス利用までの流れ
* 登録の方法、登録後〜利用までの流れ
STEP1:無料会員登録
STEP2:skypeとヘッドセットをご用意ください
STEP3:マイページから無料体験コースをお選びください

7.よくある質問
Q.急な仕事でレッスンをキャンセルしたいのですが可能でしょうか
A.予約の30分前までならキャンセルが可能です

Q.休会は出来ますか
A.お客様のご都合に合わせて支払いと受講を一時的に休止出来ますので、いつでもレッスンを再開できます

Q.PCでも利用出来ますか
A.当サービスはスマートフォン、タブレット、PCでご利用いただけます

全体の流れに合わせてユーザーが不安に思っていそうな事をちゃんと説明しながらサービスのメリットを訴求して書いてください。(上記の例は想像上のサービスのため実際にはあなたの担当するサービスについてはもっと細かく書けると思います)

5.デザインを考える

細かいデザインのテクニックなどはまた別の機会に書いてみたいと思いますが、意識した方が良いのは以下のような事です。

ターゲットユーザーはどんな人なのか
→ビジネスパーソンだったら信頼感が大事なのでは?
→フォントやサイズはポップな印象はNGなのでは?

コンバージョンに繋がるボタンの置き場所はどこがいいのか
→ファーストビューには入れた方が良い
→セクションごとに置く事で機会を逃さないようにする

メインビジュアルで何を訴求するのか
→対人サービスなので人物のイメージが良いのではないか
→講師の顔などが使えるのであれば信頼感に繋がるのではないか

ターゲットユーザーに対して的外れではないビジュアルの訴求と構造の分かりやすいUIを意識してもらえると良いと思います。また、こういった情報設計を元にデザイナーとコミュニケーションを取りながら作っていくと自分の中にはないアイデアが出てきやすいです。
(大前提の部分から入ってもらう事で嫌がるデザイナーはほとんどいないと思います。実際に僕がデザイナーとして働いていた時はそう思っていました。)

まとめ

実際に僕がやった事をまとめてみましたが、ページの構造を変える事でページを最後まで読んでくれるユーザーが増え、結果としてページ経由のコンバージョンも2倍にまで増えました。
コンバージョンボタンもページの上部、中部、下部と三箇所設置していましたがそれまでページ下部のボタンはほとんどクリックされていませんでしたがページのストーリーを作る事で下部のボタンのクリック率も5倍近く上がっています。

それまでのページは事業都合の一方的な訴求をしていたためユーザーが本当に解決したいことを解決してあげられなかったのが大きな原因です。
すでにうまくいってるページの改善の場合、今回のような根本的な構成は必ずしも必要ないですが、少なくともユーザーが感じている課題を解決すると言う点においては、自分の担当するサービスの価値と、その価値を転換してあげて課題解決に導く事はとても大事な事です。むしろそれをやらないと達成しなくてはいけないKPIが未達に終わる事だってある。ボタンやラベリングの改善ももちろん重要ですが、そもそもページがちゃんとみられていなかったり、直帰率が異常に高い時、構造を見直すのは一つの手段として有効です。

また、ランディングページの情報設計を構造的にやると他の機能改善などにも役立つので是非活用してみてください。

書籍の紹介

表紙の胡散臭さみたいなのはありますがセールスライティングの基本としては分かりやすいのと次の日からすぐに使えるテクニックもたくさん載っています。滑り台効果と言われる「次のセンテンスを読ませるためにコピーは存在する」という汎用的な考え方に触れるだけでも価値はあると思います。


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