見出し画像

圧倒的な夜明け

昨日は、夜ベッドに入ってから朝が来るまで一睡もできなかった。睡眠薬はきちんと飲んだのだけど、夕寝がだめな方向に働いているように思う。

ベッドに寝転びながら、開け放った窓からだんだんに鳥の声が聞こえて来て、新聞配達のバイクの音が聞こえて来て、空が白んで来て、徐々に朝が来る様子をずっと、何をするでもなくずっと窓から感じていた。こうして徐々にかわる空と空気は、明けない夜はない、ということを教えてくれる。眠れなくて辛くて落ちて行きそうな夜も、朝が来れば大丈夫、どうってことないと思える。

以前、木場公園のすぐ近くに住んでいた頃、仕事を家に持ち帰ってひたすらに徹夜をしながらパソコンをたたいた夜があった。何も終わる気配がなくてひどくつらかった。眠気がピークに達し、集中力も途切れた頃に、鳥の声が聞こえて、そうだ外に行こうと急に思い立った。

あの時、木場公園まで行って眺めた「圧倒的な夜明け」の風景を忘れることができない。藍色が薄くなる空に浮かぶ緩やかな雲、徐々に赤くなる川の向こうのビル、木々から聞こえるさえずり。この稚拙な言葉では表現できない夜明けの空気感。まだ人もまばらで、早朝ではない。夜明けなのだ。ここから朝が来るのだ。

嗚呼、大丈夫だ、仕事が終わらないのがなんなのだと思えた。朝の力は強い。圧倒的な強さだ。明けない夜はない。今日はよく眠れるといい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?