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人間力が上がれば交渉力も上がる

図書館が好きです。

例えば空港で、
「今からどこでも好きな場所に行けるチケットをプレゼントしますよ」
と言われているような、大袈裟だけど、本を選んでいるときはそんな気分になります。

基本的には小説コーナーを物色しているのですが、社会学、心理学、栄養学コーナーに迷い込むこともしばしば。
ずらりと並んだ本のタイトルを眺めていると、たまに「えっ」と目に留まる本があったりします。別に刺激的なタイトルではないのですが、ちょうどそのときの私のコンディションや、求めているものとマッチするのでしょう。
ロマンティックな表現の仕方をすると、引き寄せ合うことがあります。

今日は、三冊の小説の他に
「交渉上手」は生き上手 (久保利英明 講談社 2010)

仕事も人間関係も「すべて面倒くさい」と思ったときに読む本 (石原加受子 (株)中経出版 2012)

を借りました。
このラインナップに、今の私の精神状態が集約されてそうで怖い。笑

交渉とは人生そのもの


「久保利方式」を編み出されたことでも知られている、弁護士の久保利英明さんの交渉術が分かりやすく書かれていて、私にでも実践できそうなことが記されていました。
読みやすくて、面白かったです。

『交渉』と聞くと、裁判とか憲法とか法律とか、一般人の私には馴染のない難しいことのように感じていましたが、
”人生”そのものが”交渉”とは切っても切り離せないものなんですね。人は誰も、一人では生きていけないから。
家族、友人、恋人、同僚、上司、部下、子ども……。
関わっている内に摩擦、即ちコミュニケーションは必ず生じるものです。どれだけ親しい間柄でも自分と全く同じ人間はいないから、価値観の相違や利害の衝突は避けられない。
では、どうすれば幸せに生きられるのか?
そこで必要になってくるのが、『交渉』です。

交渉術に関する本はたくさん出回っています。
世界には多くの種類の交渉術があって、少しでも得するにはどういうテクニックを身につければいいのかというhow to 本が満載です。

この本の面白いところは、
『そもそも勝ち続けることにどれだけの価値があるのか?』
という切り口から読者の先入観を大きく揺さぶってきて、読み終える頃には
「勝つことだけが幸せではない」
と、なんとなく悟ったような、すっきりした気分になれました。

私が全編を通して感じたことは、
”相手のメンツを潰さず、プライドを大きく傷つけることもなく、出来れば双方が納得する結果にもっていくこと”
が本当の勝利なのではないか、ということです。
”論破、ハードネゴシエーターなんて発想も根本から疑ってかかってます。
『そんなんめっちゃ難しいし、ほとんどないけどな』
という趣旨のことまで書かれており、ご自身の経験をもとにあくまで現実的に理想を開示してくれていて、とても読みごたえがありました。
交渉力=人間力
なんですよね。

相手とどう上手に分かち合うのか。
それが交渉の目的であって、勝ったり相手を負かすことを目標にしてしまうと、本来あるべき交渉の姿が見えなくなってしまう。
自分と相手が本当に求めているものが何なのかを見抜く力が在れば、無駄な揉め事もあらかじめ回避できる。

勝敗で評価できない価値


本の中で引用されていた相田みつをの詩は、一生肝に銘じておきたいです。

うばい合えば足らぬ
わけ合えばあまる

うばい合えばあらそい
わけ合えば安らぎ

うばい合えば苦しみ
わけ合えばよろこび

相田みつを

それな。
分かっちゃいても、争って奪い合うのが人間というものです。

この本の中で、性善説でも性悪説でもなく性弱説というパワーワードが出てきて、なんだかほっとしました。
性善説か性悪説かで、ディベートになることがよくあるんです。
私の意見もそのときによってころころ変わるものだから、自分で話していても言葉に説得力がない。
性弱説という言葉に、いろんなものがすとんと落ちたように思います。

ノリで借りてみましたが、大当たりでした。

もう一冊に興味津々


仕事も人間関係も「すべて面倒くさい」と思ったときに読む本が待ち構えています。
今日は昨日よりも”何もかも嫌になった感”が薄いので、どうしようもないくらいの脱力感に襲われた読もうかと思います。


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