海の底と太陽の森 12.流動的な部屋
風景は透明で空気は透き通るように澄んでいた。
窓の外は街を全て見渡せる高台に建っている。建物は透明度のメモリを落としたみたいに薄れていた。
暗い世界に、眩いばかりの小さな光が無数に散らばっている。光は一つ一つが小さな球体で、その中から無数の光の線が触手のように伸びている。
その触手のような無数の線がそれぞれくねくねと動いていた。その光の球体は落ち着きがなく、常に動き回っていた。
空を見上げると、さっき窓の淵に足を付けていた女性が…と言っても今は女性かどうか判別できない