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子育ての救世主!?欧米でにわかに注目を集める新概念「ベビーテック」とは?

「保育園落ちた日本死ね!!!」から2年とちょっと。

たったひとつの匿名ブログを契機として、待機児童問題に改めて注目が集まったり、「働き方改革」なんて言葉が生まれたりもしました。

ただ、そうして実際に解決へ向けて歩みだした課題がある一方で、全体として日本の子育て・教育環境の改善は道半ば。

そんななか、弊社パパスマイルでは、日本唯一のベビーテック専門メディア『Baby Tech』を運営しています。

目的はその名の通り「日本のベビーテックシーンを盛り上げること」

そうすることによって、日本の子育て・教育環境の改善、ひいては円満な家族間関係の構築に貢献したいと考えています。

そこで本記事では、パパスマイル代表の永田(ながた)に「『Baby Tech』を始めた経緯」や「そもそもベビーテックとは?」といったことなどについて、インタビューします!

パパスマイル代表の永田(ながた)


聞き手はこの度『パパスマイルBLOG』編集長に就任した、藤本けんたろうが務めました。


爆発していた母親たちの不満

――いまパパスマイルが注力している事業は、メディア『Baby Tech』の運営ですが、どういった経緯で始められたんですか?

永田:もともといまの会社をやる前は、博物館や美術館のなかに置かれるデジタルコンテンツの制作をやってました。厳密に言うと、これは前というよりいまでもまだ少し案件は受けています。ぼくの役割は企画で、制作会社さんやフリーのエンジニアさんなんかと協力しながら作っていました。男の子がいるご家族でしたら一度は行ったことのあるかもしれない、電車がたくさん置いてある博物館のデジタルコンテンツも、ぼくらの企画制作だったりします。

――博物館や美術館でのデジタルコンテンツ制作からいまの「ベビーテック」へと、ものすごい異業種への参入ですね。

永田:いや、一見まったく関係がないように見えるんですけど、実はデジタルコンテンツっていうことでテクノロジーを活用していたり、博物館や美術館っていうところで幼児や小学生をターゲットにした教育の分野に携わっていたりと、意外と接点は多いんです。

――ああ、言われてみればたしかに...!ではデジタルコンテンツを制作していたところから、ベビーテックの分野へ注力するようになったのは、具体的にどういうきっかけがあったんですか?

永田:2013年にぼくに子どもができたことですね。その少しあとに、取締役の八田(はった)にも子どもができました。それで2人とも子育ての情報が必要だとなって、最初はいわゆる母親向けの育児サイトを見てたんですよ。そしたらもう「お父さんが全然育児を手伝ってくれない!」みたいな、父親への不満がすごく書いてあって(笑)。

――世のお母さんたちが、溜まったフラストレーションをそこで発散してたんですね...。

永田:ただ、ぼくや取締役の八田のスタンスとしては「子育ては両親が協力してするのが当たり前」だったので、複数人の父親を呼んで何回かグループインタビューをしてみたんですよ。「どうして子育てに参加しないんですか?」って。

――どんな答えが返ってきたんですか?

永田:そしたら「やり方が分からない」と。奥さんへ聞こうにも、聞いた瞬間に「なんでそんなことも分からないの?」と叱られる。自分なりに考えてやってみたら「なんでそんなことしちゃうの?」と叱られる。それで、1回そういう失敗をすると「もうあなたに育児は任せられない」と言われたり、失敗に凹んでしまったりして、結果的に父親は子育てに関わらないという状況になってました。

――とてつもない悪循環ですね...。

永田:そこで、だったら手軽に見られる記事や動画、漫画なんかで、子育てに関する情報を発信できればいいんじゃないかと思って立ち上げたのが、『パパスマイル』という会社と、同じ名前のWebメディアです。

――最初は『Baby Tech』ではなく『パパスマイル』という名前で運営してたんですか?

永田:いや、『Baby Tech』と『パパスマイル』は別のメディアです。というのも実は、最初の『パパスマイル』は失敗しました。


あると思っていたニーズがそこにはなかった

――グループインタビューまで実施して、確実にニーズがあった『パパスマイル』は、どうして失敗したんですか?

永田:実は、そこにあると思っていたニーズがなかったんです。子育てに意欲的な父親は、母親向けのサイトでも問題ありませんでした。そこに書かれている子育てをしない父親への罵詈雑言も「自分は子育てに協力しているから、これは自分とは違う父親に対する発言だ」と割り切れるんですね。そして子育てに関心をなくしてしまった父親は、どれだけ気軽に見れるコンテンツがあろうとも、結局は見てくれませんでした。

――ユーザーの本音を探り出すことの難しさが伝わってくる話ですね...。

永田:あぁ、これはやってしまったー!と(笑)。ただそのときちょうど『パパスマイル』の運営と並行して、子育てに関するなにか新しい自社サービスを作ろうと思っていたんです。そのための情報収集をしていたときに出会ったのが、「ベビーテック」という概念でした。

――紆余曲折を経て、いま注力しているベビーテックの分野にたどり着いたんですね...!

永田:もともとデジタルコンテンツの制作に関わっていたので、テクノロジーはぼくたちの強みだし、あといまは社会的な背景として、核家族だったり共働きだったりが当たり前になってきて、もう子育てに対する新しいソリューションを提供していかないと、みんなやっていけないじゃないですか。だからベビーテックはこれから必要だ!と思って、その情報を集めるために始めたのが『Baby Tech』でした。

――ちなみに「フィンテック」や「ヘルステック」といった言葉はよく聞きますが、正直「ベビーテック」はまだまだ聞き慣れない人も多いと思います。定義するとしたらどういった言葉になりますか?

永田:単純に言えば、妊娠出産から赤ちゃん幼児までのICT、IoT商品とサービスです。もっと細かく言うと、少し固い感じにはなってしまうんですが、まず「妊娠希望者、妊娠・出産期の母親と胎児、産後期の母親、新生児(生後0日〜28日未満)、乳児(満1歳未満)、幼児(未就学児)、乳幼児の保護者および親類縁者、母親のパートナーおよび親類縁者、施設団体の保護者、施設運営者を対象としたプロダクト」であることが必要です。その上で「①単体稼働、スマートフォンやPC、ネットなどど連動する機器、デバイス②スマートフォンやPCなどの各種アプリケーション③ウェブサイト等のICT技術を活用したサービス」のいずれかに当てはまるものを、ぼくたちはベビーテックと呼んでいます。

――全体的な印象として「ベビーテックの範囲って意外と広いんだな」と思いました。これも実はベビーテックの分野に入るの!?っていうプロダクトもたくさんありそうです。

永田:それで言うと、ぼくがよく例えとして出すのは「ウォシュレットって介護機器だよ」という話ですね。普段みなさんはトイレで何気なく使ってると思いますが、あれって見方を変えると「人間の代わりにお尻を洗って乾かしてくれる機械」という言い方もできます。そうなるともう、ウォシュレットは立派な介護機器です。

――たしかに!いままでそんな発想をしたことがありませんでした。

永田:こんな感じで、実はみなさんが普段の生活で使っている製品が、実はベビーテックだったということは、たくさんあると思います。


これは必要!と思って始めたメディアも最初は無風だった

ベビーテック用品の一例。スマホと子どもを見守るモニターが、連動している


――ベビーテックと言われるプロダクトを使うことによって、育児や教育場面での課題を具体的にはどういった形で解決していくんですか?

永田:最終的には、親や子育て、教育をする人たちの可処分時間を増やすことを目指しています。いま例えば、子どもから目を離せないから、行きたいタイミングでトイレにすら行けない親がいるという現状が、当たり前に存在してしまっているんですよ。

――そんな、日常生活に支障をきたすレベルの問題が...。

永田:でもそこでスマホと連動したモニターを部屋に設置するだけで、トイレに行っている間はそのモニターを使って子どもをみる事ができるようになります。結局、人間がイライラしてしまう原因を突き詰めると、その大半は「時間がないこと」なんですね。子育てに熱心な人ほど、その子どもが原因でイライラしてしまう。この状況を改善する手助けとして、ベビーテックを活用していくべきだと思っています。「乗用車で言うと、ブレーキアシストのようなもの」で、人間だけでなくテクノロジーの力でも見守ることで二重三重に安全と安心、便利を作り出すものです。そして、見守る側に余力が生まれるようであれば、より力をいれたい部分を手厚くすることで自分らしい子育てができるようになると思います。

――ベビーテックはぼくたちの生活にゆとりをもたらす、大事な概念なんですね。

永田:ただ『Baby Tech』をスタートさせた2017年の夏当初は、公開した記事がまったく読んでもらえなくて...。月間の閲覧数が150とか200とかだったんですよ。

――月の閲覧数がそれだけというのは、ほぼ誰にも読まれてないに等しいですよね...。

永田:ただ、それでも編集長の湯本(ゆもと)が必死に情報を集めて、コツコツと記事を作ってくれて。そして転機がきたのは2018年でしたね。

――なにがあったんですか?

永田:アメリカで毎年1月に開催されているCES(世界最大級の家電見本市)で、2018年に初めてベビーテックの専門エリアが設けられたんです。2016年からベビーテック関連の製品自体は出されていたんですが、そこからだんだんと規模が大きくなりました。

CESでのベビーテックに関するディスカッションの様子


――ベビーテック分野は、日本よりも海外のほうが進んでいるんですね。

永田:それで、CESでのベビーテックの盛り上がりに気づいた日本のいくつかのメディアが、これは日本にも来るぞということで報道し始めました。そういった流れで、少しずつパパスマイルにも取材の依頼が来るようになって。最初に取り上げてもらったのは、電通テックさんでしたね。

――CESでの盛り上がりを機に、一気に風向きが変わったんですね。

永田:それ以来、2ヶ月に1回くらいは取材の連絡をもらえるようになりました。あとメディアさんへの情報提供に関しては、もう隔週から毎週くらいのペースで行ってます。


まだまだ発展途上な日本のベビーテック市場

代表の永田がCESの現地を訪れた際の様子


――どんどんと日本でも、ベビーテックが広がってきつつあるんですね。

永田:ただ、欧米などと比べるとまだまだこれからなのは事実です。そこでより日本でも普及させていこうと来月に開催するのが、日本初のベビーテックイベント『Baby Tech Award Japan 2019』です。

――そのアワードでは、主にどんなことをするんですか?

永田:応募していただいた国産のベビーテック商品やサービスのなかで、我々が優れていると評価させてもらったものを表彰します。このイベントの目的としては、まずは認知の拡大とあとはそこからプレイヤーの新規参入です。この市場は、まだまだ未開拓な部分も多いので。ちなみに、商品・サービスの応募は無料でできます。

――無料...!こういうイベントは、応募する側がお金を払うケースも少なくないですよね。

永田:まずは第1回ということもあるので。ただ、そうなると主催している我々は完全に赤字になってしまうので、プロダクトだけではなくスポンサーさんもお待ちしています(笑)。結構切実です。

――インタビューの中盤でも話してもらったように、ぼくたちが思ってる以上にベビーテックがカバーしてる領域は広いので、子育て・教育関連のプロダクトに携わっている方は、ぜひ積極的に参加していただきたいですね。


ということで、本アワードへの応募締切は本来は2019年5月10日(金)24時だったんですが、本インタビューをご覧いただいた事業者様は、5月14日(火)24時まで締切を延長いたします!


授賞式および受賞者プレゼンテーションは2019年6月7日(金)、新宿NSビル地下1階で開催の「保育博2019」特設会場にて。
翌8日(土)にも同会場でタレントさんにご登壇いただいて、ベビーテックの可能性についてディスカッションイベントを行います。


たくさんの応募をお待ちしております!


▼興味を持っていただいた方は、ぜひこちらの詳細ページをご覧ください

執筆:藤本 けんたろう

この記事が参加している募集

最後まで読んでいただきありがとうございます! コーポレートサイト( https://www.papasmile.jp/ )と メディア『Baby Tech( https://babytech.jp/ )』も、ご興味ある方はぜひ覗いみてください!