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vol.1『mum.』小さな子どもから大人まで、みんなの心がふかふかと満たされるお菓子を届けたい【前編】

おとなになるってどんな感じ?
おとなになるってこわいこと?
おとなになるのはたのしいの?

大人になると、ぐんとひらける目の前の世界。
そんな毎日をゆたかに生きる、すてきな人々へのインタビュー。
ゆらゆら輝く瞳に潜む、たくさんの想いやストーリーをお届けします。



記念すべき第1回目は、主に岐阜県内で焼き菓子販売や間借りカフェを開いている、mum.のリエさんとエリさんです。




ふたりの出会いとはじまり

ーふたりの出会いを教えてください。

リエ:
もともとは同じ美容院に通っているお客さん同士だったんです。担当の方も同じだったのですが、そのお店の美容師さんの紹介を通してエリちゃんが勤めていたカフェで私も働くようになりました。ただ、同じお店で働いているのはほんのわずかな期間で。その後、私の妊娠期間中、エリちゃんが産後8ヶ月くらいの時ににぐっと距離が縮まりました。

ー美容師さんの紹介で出会ったんですね。mum.の活動を始めるようになったきっかけは何ですか?

リエ:
妊娠・出産を機に、それまで抱かなかったいろんな思いを抱くようになって、そんな時に一緒に参加した子育てイベントで、主催者の方に「ここで1day cafeやってみたらいいじゃん」と勧められたのがきっかけです。そこから2人で考え始めて……お互い子育てをしながらも、自分たちの好きなことをやりたい、という思いは同じで、その翌月にはその古民家で「おいとま会」という名の間借りカフェをスタートさせました。

エリ:子育てをする中、子連れでも気兼ねなく行ける場所って少ないなあ、と感じるようになって。美味しいご飯が食べられて、我が子もよその子もみんなで温かく見守れて、人との繋がりを持つことができる。おいとま会を開くことで、自分や誰かの居場所になるような、そんな空間を作りたかった。実は私はお店を辞めてから、3年くらいお菓子を作らなくなってしまっていたんです。作っても食べてもらう場所がなくなってしまい、ひとりでの活動も考えたのですが、その一歩を踏み出す勇気が出なくて……。産後のマタニティブルーも相まって、やる気も自信もなくなってしまいました。そんな時にリエちゃんから可愛くラッピングしてある手作りのお菓子をもらって、それがすごくすごく嬉しくて。感動している私を見て喜ぶリエちゃんの姿に、そうだそうだこの気持ち忘れてた!と、心が揺さぶられたのを覚えています。


1人の女性としていつまでもワクワクしていたい

リエ:私は性格的に、子育てをするだけではおそらく心が満たされなくて……家族以外の人に頼られて、喜んでもらえることがすごく嬉しかった。まだ子どもが赤ちゃんだった頃、あまりリアクションがなかったり、双方向のコミュニケーションもたくさんは取れなくて、悶々とした気持ちになることがありました。そんな時、誰かに言葉で喜びや感謝を伝えてもらうことがすごく嬉しく感じられました。母になったからという理由でやりたいことを諦めるのは嫌で、ワクワクした気持ちを大切にしたかった。それから同じ女性として生まれた娘に、母になってもいくつになっても輝いているところを見せていきたいなって。日々成長していく娘を見て、なんだか置いていかれているような気持ちになったりもしていたけれど、その成長に負けず、自分も成長していかなければ!と思い直しました。

エリ:うんうん。私も、娘に自分の頑張る姿を見せたいなって思います。やりたいことをやらずに後悔したくないし、娘にもして欲しくない。母である前に、1人の女性としていつまでもワクワクしていたい。こんな思いをリエちゃんと話しているうちに、「私たちならできる!」とお互いを鼓舞し合いながら始めました(笑)。不安もありましたが深くは考えていなくて、何とかなるし、何とかしていくだろう、と。リエちゃんとだったらやれるなー、という自信だけはありました。


サクラビマルシェで感じた「しあわせな疲労感」 

ー子どものことは大好きで大切。だけど子どもには子どもの人生があるように私たちには私たちの人生があって、お母さんになってもそれは変わらないですよね。そんな経緯で2021年に間借りカフェからスタートしたおふたりですが、現在はどんな活動をしていますか?

エリ:2023年4月に出店した「サクラビマルシェ」を皮切りに、岐阜県内を中心としたマルシェ等への出店をしています。他にもワークショップをおこなったり、店舗での委託販売をスタートしたりと、活動の幅を少しずつ広げています。9月からは「パンの家Nagaya」さんのキッチンをお借りし、そこでもお菓子を焼かせていただいています。

リエ:いろんなご縁がつながって、本当にありがたいよね。初めての出店となった「サクラビマルシェ」は岐阜で定期的に開催されているイベントなんだけど、とにかくその世界観が素敵で。ふつう、子連れでどこかに行くとどんなに楽しくても疲れてしまうんだけど、ここは全然疲れない。うーん、違うな、たしかに疲れはするんだけど、それはしあわせな疲労感っていうか……。大人だけじゃなくて子どもも楽しめて、そのバランスがちょうどいいんですよね。フォトブースもあって、子どもの遊び場があって、おいしいお店やおしゃれなお店がたくさんあって。何よりロケーションがとっても素敵。訪れた日のことが、思い出として自分の中に残るんです。

エリ:「サクラビマルシェ」を主催しているのも、私たちと同じ2人組の女性たちなんだよね。私たちもそうだけど、ひとりじゃなくて、2人だからできてるって言っていました。初出店の人たちを、すごく応援してくれる。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。


ひとりじゃなくて、ふたりだから大丈夫だって思えた

ーひとりでやるのももちろん大変なんですけれど、2人でひとつのことに取り組む難しさってあると思うんです。そういう大変さを感じたことはありますか?

リエ:よく聞かれます!(笑)。カフェで働いていた20代の頃は、全部自分でやりたいって思っているタイプでした。人にはやって欲しくない、さわらないで!みたいな……。トゲがあったと思います。あの時に出会っていたらバチバチだったかも(笑)。でも、それでは自分が壊れてしまうなって気がついてからは、少しずつ変わっていきました。今の私の価値観になって、mum.をはじめたから今があるんだと思います。そんな今の私だからこそわかる気持ちも増えたんだと思うんだけど、エリちゃんの喋ってることはいつも、わかるなーって思うことばかり。前世は夫婦とかだったのかな(笑)?

エリ:おいしいっていう感覚や舌の好みはもちろん、それ以外の心が動く対象や感覚も一緒。かわいいとか素敵だとか、この人好きだなあっていう感覚も。それってすごいことだなって思います。ひとりじゃなくて、ふたりだから大丈夫だなって思える。


▽ふたりのインタビューは後編につづきます。(近日公開予定です)

2024.2.18
interview & writhing:橘ぱぷか




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