あいつ今何してる?て思うやつ人生で1人はいるよね。

あいつ今何してる?
て思う男の子が1人いる。
小学校からの同級生Aくん。
小さくて可愛い字を書いていて、成績もスポーツも中の上、好かれてもないし嫌われてもない。お喋りでもないし、大人しすぎるわけでもない。
人畜無害。まさにそんな男子だった。

彼と初めて話したのは、席が近くなった小学校3年生。
国語の授業で作文リレーというものがあった。
グループを作らされ、配られる作文用紙。
班ごとに自由に物語をリレーで作りなさい!という課題が出された。

私は起承担当、Aくんは転結担当だったかと思う。

私は宇宙船で月に向かうネズミ達の話を書いた。しっかり者のチュー太や食いしん坊のチュー助、チーズと間違えて宇宙船を食べてしまった!!
などという話だったと思う。
Aくんは、私の作文を受け取ると、いろんなアイディアを出してくれた。
そして可愛らしい丸文字で続きを書いてくれたのだ。
壊れた宇宙船を修理し着陸した月面はチーズで、ネズミ達は大喜び。たらふくチーズを食べました。で物語は終わるのだが、
私はいたくその物語が気に入り、その作文用紙を持ち帰って、度々読み直していた。

私は思ったままに文を書き殴っていたのに対し、Aくんは1文字、1文字、丁寧に言葉を記していた印象であった。

当面自室の本棚で埃かぶっていたが、もう流石にないだろう。

そんなこんなで次に彼と出会うのは中学3年生のとき。
私の通っていた中学は学力があまり高くなく、進学校に行く生徒は全体の3分の1程度であった。
私もAもそこに含まれており、偶然にも志望校は同じであった。

私は中1から塾に通っており、そこは学力別にS、A、B、C、Dとクラスが分かれていた。

私はそこでAクラスに所属していた。
自慢じゃないがそこそこ勉強はできたのだ。あの頃は。

そこに中学3年生からAが来たのだ。
しかも私と同じクラスに。

私はイラッとした..。私にとって塾は部活のようなもの。貴様のようなポッと出に負けてたまるか!!と勝手にライバル視し、奴よりいい点数をとってやる。と小テストも頑張った。
そんな日が続いたある日、Aは声をかけてきた。
「テストいつも満点だね、すごいね!」と。

私は拍子抜けしてしまった。
負けたくない奴に認められて嬉しかったが、いわゆる燃え尽き症候群。

なんだか安心して張り合いをなくした私は、彼をライバル視することはしなくなった。

そして時は流れ、彼は志望校へ合格。

私の中学からその高校へ合格したのはAだけだった。
私はというと当初の志望校からランク2つ下げ一応進学校に合格。

その時思った。
「あいつ、、頭良かったんだ」


さらに時は流れ高校卒業後、私は地元の公立大学に進学した。
大学入学までの春休みは受験からも解放され、ネットカフェで漫画を読み漁るということに没頭していた。

3hパックで入り、飲み物は味噌汁とアイスココア。
しょっぱいと甘いを交互に味わいながら、ウシジマくんと、カイジシリーズを読み漁っていた。

さて、味噌汁を補充しにいくか..と給湯スペースに行くと、あいつがいる。Aだ!

こんな閉鎖したネットカフェで会うなんて奇遇すぎる。
軽く挨拶をし、部屋へ戻った。

そして翌週もまた同じネットカフェでAに会ったのだ。

「ここ来すぎじゃない?」

私は自分のことを棚に上げて彼に言った。
どうやら彼は浪人しているらしい。

志望大学は誰もが知る某有名大学。
そうか〜、夢はでっかくって言うもんな。
私はあまり真に受けてはいなかった。

そして1年後。テレビから流れる予備校のCMに彼は出ていた。
◯大合格しました!!と。

なんと合格したのだ、誰もが知る◯大に。

私はまた思った。
「あいつ、、まじで頭良かったんだ」

そして大学2回生の夏、地元に帰ってきたAと友人が集まっているとの連絡を受け、私はそこに顔を出した。

今思うと何でそんな連絡が来たのかも分からないが、成人式を控えていたこともあり、なんとなく地元の友人と連絡を取り合っていたのだと思う。


私は数週間前に彼氏が出来たばっかりで、幸せオーラを振りまき、反対にAは彼女に振られて落ち込んでいた。
私はノロケを連発し、その度に落ち込むAを見て笑って楽しんでいた。今思うと相当イラつく、私の態度。

成人してから話すはほぼ初めてなのに幼馴染のような居心地の良さを感じた。
まぁ、幼馴染か。

それから毎年夏に帰ってくるたび、声をかけてくれ、近況報告をする仲になった。

都会の生活は楽しそうだな〜などと思っていた。
最後に会ったのはAが四年生、私はすでに社会人になっていた。

彼は就活をするだのなんだの言っていた気がする。

何を話したか全く覚えていないが、私は今の彼氏と結婚したいわ〜みたいな話をした気がする。

それから携帯を変え、Aの連絡先は分からなくなってしまった。

LINEも知らない。

優秀なやつだったから、きっと日本の何かを支えているに違いない。

工学っぽい学部だった気がするから、どこかの何かの開発に貢献しているに違いない。

あいつ今何してるんだろう。

結構気になるけれど、そう遠くない未来に、私の住んでる田舎にもビッグになったAの名声が届くと思っている。

陰ながら応援しているよ。

共に最高の人生を歩もう。

Aの人生に幸あれ。

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