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ADHD大学生、やっぱ本気でサポートしてあげないと!!

そろそろ大学生の成績発表が行われる時期。我が家は、半年ごとに大学の学生相談室のカウンセラーと私(親)が面談し、息子の半期のサポート作戦を練っている。大学における合理的配慮というのは、本人が困りごとを訴えてその困りごとにあわせて様々な対応を考えてくれるというのがデフォルト。しかし、うちの息子はじめ結構な数のADHD大学生は、悪い結果がでない限り「困らない」。前もってリスク管理ができるようであれば、ある意味ADHDでないともいえる。ということで、学生が自らカウンセリングルームに足を運ぶことはあまり考えられない。(でも、ここは大学教員でもある私が声を大にして言っておく。とりあえず「ADHDであるかもしれない」と相談に行っているだけで、その後の対応が変わってくるので、絶対行っておくべき!)

さてさて、ちょっとtwitterで「ADHD」と「オンライン授業」というワードで検索をかけてみてほしい。授業の初期の段階では「学校行かなくてラク〜」、「ギリギリまで寝てられるからラッキ〜」などと書かれていたコメントが、「オンライン無理!」「課題提出忘れ、死んだ!」「単位、落としまくり!」という阿鼻叫喚に変わっている。

当然である。うちの息子もかなり単位を落とすことが目に見えている。対面授業であれば友達にサポートを頼むこともできるが、ダメ。オンラインの画面で集中力は持たない。通常時より課題の激増。そもそもスケジュール管理が苦手であるのに、授業参加のための大量のメール。事務手続きも履修登録もテストもすべてオンライン。大切なメールを一通見落としただけで、単位を落とす確率はかなり高くなる。

この状況、「コロナで残念だったね……」で済む問題ではない。本気でサポートしてあげないとダメ!そして、これは世界中の問題。

https://cqjdc.org/publications/foucade

このリンクは、無料で読める発達障害関係のフランス語の雑誌であるが、その中の「Les mesures d’accommodement pour les étudiants ayant des besoins particuliers : état de la situation」大学生の合理的配慮に関する記事で以下のようなことが指摘されている。

「Par exemple, alors que plusieurs preuves indiquant que les étudiants ayant un trouble de déficit de l’attention/hyperac-tivité (TDAH) éprouvent des difficultés im-portantes sur le plan de l’organisation et la planification (Advokat et al., 2011 ; Gar-ner, 2009 ; Lewandowski, Lovett, Codding et Gordon, 2008 ; Weyandt et al., 2013), il est surprenant de constater que l’aide à la planification est écarté des mesures pou-vant leur être offertes (Vagneux et Girard, 2014).」

(例えば、注意欠陥/多動性障害(ADHD)を持つ学生が、組織化と計画作成の困難を経験するというかなりの証拠がある一方で(Advokat et al., 2011; Garner, 2009; Lewandowski, Lovett, Codding, & Gordon, 2008; Weyandt et al., 2013)、計画作成の支援が見落とされていることに気づくのは驚くべきことである(Vagneux & Girard, 2014)。)

そう、これ、これ!!!!!!ADHD大学生が、もっとも必要としているのがこの「プランニング」のサポートである。うちの息子が小さい頃から必要だったのは、「勉強を教えてくれる人」ではなく、「次これ!」と用意してくれて終わるまで見守ってくれる人なのである。だからこそADHDコーチが必要だと私は思う。なんならロボットでもいい。きちんと計画を把握してくれて見守りサポートをしてくれるならば。合理的配慮を申し出た学生のカレンダーに自動的にリマインダつきでスケジュールを入るようにするくらいはできるだろう!

ちなみに、この記事が提示している合理的配慮はとてもADHDに優しい。

課題を完了するための追加時間、別の形式での課題提出、期限後提出の成績を下げない、アクセス可能な形式の資料(無くすからね!)試験については、1日1回の試験(集中できないからね!)、スケジュールの変更(例:夕方ではなく午前中に試験を行う)、ノイズキャンセリングヘッドフォンまたは音楽付きヘッドフォン、電卓を利用!

この斬新な配慮の提案を日本の発達障害関係者が声を大にして訴えるべきである。みんなが学生相談室に行って、こんなこと訴えるとたぶん認めてもらえると思う。大学サイドも助けたいと思っている。だけど、助け方がわからないだけ。そしてADHD本人もどうしてもらいたいのかわからないだけ。ぜひ、スケジューリングのサポートを頼んでみてください。ダメなら、家族、友達(バイトしてもらってもいい)。ここ、お金払うとこだと思うよ。まあいいっかって思わずに、後期開始までに、必ずサポーターを見つけてね!


サポートしていただけるとウレシイでっす!