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【日本人の遺伝的起源とその医療への影響】大規模全ゲノムシーケンス解析で日本人は3つの祖先から由来していたぞ

https://www.riken.jp/press/2024/20240418_2/index.html

全ゲノムシークエンス(WGS)データは、遺伝学および生物医学で不可欠なものとなっています。しかし、日本人集団を対象としたWGS研究は、限定的な規模にとどまっていました。このギャップを埋めるため、共同研究グループは全国7地域から集めた3,256人分のゲノム情報を解析し、日本人特有の遺伝的特徴を明らかにすることを企図しました。

研究手法と成果

バイオバンク・ジャパン(BBJ)により、全国7地域の医療機関に登録された合計3,256人分の全ゲノムシーケンス(WGS)を行って、「Japanese Encyclopedia of Whole/Exome Sequencing Library(JEWEL)」というデータセットが作成されました。この最終データセットは、45,586,919個のSNVと9,113,420個のindelを含み、そのうち15,410,953個(32.7%)がJEWELで新たに観察されたバリアントです。これは日本における最も包括的な全ゲノムシーケンスデータの一つです。

日本人の遺伝的起源

以前の研究により、日本人が縄文人および東アジア(EA、主に漢民族)の祖先を持つことが示唆されています。最近の古代ゲノムの分析からは、北東アジア(NEA)の祖先の影響も指摘されています。この背景のもと、共同研究グループは、縄文、EA、NEAの現代および古代の遺伝データを今回のデータと共に分析しました。

ネアンデルタール人やデニソワ人から引き継がれたDNA

共同研究グループは、絶滅したネアンデルタール人やデニソワ人から引き継がれた可能性のある遺伝子配列を検出するために、最新の確率的手法IBDmixを使用しました。JEWELの個々のデータ分析により、ネアンデルタール人由来の約49Mb(メガ・ベース:DNAの長さの単位で1Mbは100万塩基対)とデニソワ人由来の約1.47Mbの遺伝子配列が検出されました。

今後の期待

この研究は、日本における遺伝学研究の新たなマイルストーンを築き、個別化医療の実現に向けた大きな一歩を踏み出すものです。まず希少遺伝変異、特定集団に特有の変異、疾患関連遺伝子の機能解析に貢献します。これらの遺伝的要素を深く理解することで、病気の原因となる遺伝要因の同定が可能になり、新たな治療法の開発ができるようになると期待されます。

まとめ

この研究は、日本人の遺伝的起源とその医療への影響についての新たな洞察を提供しています。大規模な現代日本人ゲノム情報に基づいて、日本の人口構造をより適切に説明する可能性があると考えられます。さらに、本研究では初めて日本人の遺伝的構造に対する東北地方人の祖先の影響の重要性が強調されました。また、絶滅したネアンデルタール人やデニソワ人から引き継がれたDNAが現代日本人の遺伝的多様性にどのように寄与しているか、またその病気感受性や表現型特性に与える影響についての理解が深まりました。これらの遺伝特性が健康や疾患リスクにどのように影響するかについて、さらなる研究が期待されます。この研究は、日本における遺伝学研究の新たなマイルストーンを築き、個別化医療の実現に向けた大きな一歩を踏み出すものです。将来の研究では、より多くのサンプルと遺伝子解析技術を活用することで、よりよい医療ソリューションの提供につながることが期待されます。

Copilot notebookで作成


日本人の祖先は縄文人と東アジア(EA、主に漢民族)であることが示唆されていて、最近の古代のゲノム分析からは北東アジアの影響も指摘されているという。つまり、日本人の祖先は3つのDNAの影響を受けているということになる。

これらのDNAから由来する遺伝特性により、健康や疾患リスクがある程度予測ができるらしい。これも古代の遺産か。自分たちのルーツが健康リスクなどだけでなく、身体能力や知覚の特性も測れたりしないものだろうか。

なお、ネアンデルタール人のセグメントは、T2D(糖尿病)、冠状動脈疾患、安定狭心症、アトピー性皮膚炎、グレーブス病、前立腺がん、関節リウマチ、などの関連する11の領域が観察されたという。これは、皆が気にしている病気の類いであって、私たちが注意している病気は先祖からのルーツだった。

あらかじめ遺伝子治療を施しておいて、これらのリスクを軽減するなんてことも出来るだろうか。子供のアトピー性皮膚炎は遺伝子治療で防げたら、親子とも負担にならなくてすむけれども。


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