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#41 「絞る」ことのメリット

「学校はサービス業だ」

と、一番の年下である僕が口にした時の、周りの空気の変化を今でも覚えている。

僕は、「モノではなく、コト(教育)を提供している」のだからサービス業になるんだろうと考えていた。第一次(農業、林業、水産業など)、第二次産業(工業、建設業、鉱業など)ではないんだから、第三次産業(小売業、サービス業などの無形財)に分類できるかなと思った。

だから、少しでもいい授業をしよう、しっかり保護者に説明しよう、などと、子どもや保護者に対してサービスを提供する仕事だと捉えていた。

もちろん、「サービス業」なんて表現を使うことで、誤解を与えることも重々承知している。だから、空気の変化も予想通りだった。

サービス業ということは、「お客様は神様で何でも要求を受け入れないといけないのか!」「私たちの仕事はそんなに簡単なものではない!」(いるんです、自分の経験だけが特別だと捉えたい方)「教育はサービス業ではない!」という声を否定するつもりは、僕にはない。これは、仕事の捉え方の違いだけだと思っている。


こんな僕だから、サービス業には興味がある。そこから何か学びがあると思っている。

以前、タイトルに惹かれて手にした本がある。

「売上を減らそう」(中村朱美)

国産牛ステーキ丼専門店「佰食屋」の経営について書かれた本だ。「佰食屋」の営業はわずか3時間半。どんなに売れても100食限定で終わり。そのおかげで残業はゼロ。「業績至上主義」から解放されたことで辿りついた働き方だ。

「佰食屋」は働き方を極限まで絞ることで売上を上げている店と言える。

僕らの仕事に当てはめれば、「業務を授業に絞ることで、質の高い授業を提供する」ということだ。世界的に見て、日本の先生方の教材研究に当てる時間は少ないと言われている。いや、正しく表現するならば、教材研究に当てられる時間が少ないのだ。業務の多様さは顕著で、なかなか教材研究に辿りつけないこともある。

現在の僕たちの業務は精選することが必要であり、できるかもしれない。公教育だとしても精選可能な業務はあるはずだ。

また、「佰食屋」では、働き方の形は自分の人生に照らし合わせて決めることができている

つまり、あらかじめ決めた業務量を、時間内でしっかりこなし、最大限の成果を挙げ、残りの時間を自分の好きなように使っているのだ。(副業や習い事している人多数)

どれくらいの先生が定時に退勤できているのだろうか。

その働き方で、修養(勉強や趣味で教養を高めること)に時間を充てられているのだろうか。


僕たちは、他業種の働き方を知り、比較するところから始める必要があるのかもしれない。

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