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【英論抄読】慢性腎不全の進行度と骨折リスク

📖 文献情報 と 抄録和訳

非透析の慢性腎臓病ステージ5患者における股関節の骨折

Tang CH, Chou CY. Hip fracture in patients with non-dialysis chronic kidney disease stage 5. Sci Rep. 2021 Oct 18;11(1):20591.

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DOI, PubMed

📚 概要

股関節骨折は重大な健康問題であり、死亡率の上昇と関連している。慢性腎臓病(CKD)患者は一般集団よりも股関節骨折のリスクが高いが、非透析CKDステージ5の患者では股関節骨折のリスクは明らかではない。本研究では、非透析CKDステージ5の患者さんの股関節骨折リスクをCKDステージ1〜4の患者さんと比較して評価することを目的とした。台湾縦断健康保険データベース2011-2014から、非透析CKDステージ5およびCKDステージ1-4の患者を検索した。全患者を2018年末まで追跡調査し、股関節骨折の発生を確認した。傾向スコアをマッチさせたCKDステージ5の患者の股関節骨折リスクをCKDステージ1~4の患者と比較し、ステップワイズCox回帰と競合リスク回帰を用いて解析した。2011年から2014年にかけて、傾向スコアをマッチさせた非透析CKD1~4期患者および非透析CKD5期患者5649例を解析した。全患者を2018年末まで追跡調査したところ、21,899人・年でCKD 1-4患者の229人(4.1%),18,137人・年でCKD 5患者の290人(5.1%)が股関節骨折を発症していた。CKD 5の患者さんは、CKDステージ1-4の患者さんに比べて、股関節骨折のリスクが高いことがわかった。年齢、性別、合併症、骨折歴を調整したCox回帰では、調整後HRは1.53(95%CI 1.08-1.54)であった。競合リスク回帰では、亜分布ハザード比は1.29(95%CI 1.08-1.54)であった。女性の性別、年齢、骨折歴、Charlson-Deyo comorbidity indexは、股関節骨折のリスク上昇と独立して関連していた。非透析CKD5患者はCKDステージ1-4の患者より股関節骨折のリスクが高かった。この関連は、患者の年齢、女性の性別、骨折歴、合併症とは無関係であった。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

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CKDの方は骨折のリスクが高い。それは先行研究上や経験的にも理解できるところである。しかし、CKDのstage進行度によっても骨折リスクが変わるのか、については明らかでなかった。
今回の研究により、私たちは、「CKD=骨折リスクが高い」だけでなく、「CKD=健常者と比較し全般的に骨折リスクが高いが、進行度が上がるとより骨折リスクが高くなる可能性がある」という認識をもつ必要があるだろう。

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