見出し画像

真夜中にしみじみと浸りたい音楽 part 2

夜を愛していますか。

もう何十年も繰り返しているのに、日が沈み闇夜が訪れるその瞬間に、何か得体の知れない大きなものがやって来る気分になる。喪失感みたいなものと、それと同時にゾクゾクした好奇心にも似た静かな熱量がこみあげてくるのを感じる。

その不思議な感覚に同意できる人は多くないかも知れないけれど、少なくとも、夜は昼間とはまた違った人間の側面を映し出すように思うのです。

今日はそんな夜に魅せられ、夜に生きる人々に送る、夜への愛に満ちた楽曲のご紹介です。



Massive Attack  “Protection”

1. 夜の来訪

マッシヴ・アタックの歴史的名盤から。リリースから25年という歳月を経てなお、僕にとって最も影響を与え続け、輝き続ける楽曲がこの曲です。夜の来訪を告げるようなビートが刻まれ、ギターがリフレインする度に、自分の中で何かが一つずつ覚醒していくような感覚に襲われる。トレイシー・ソーンの歌声は、そんな僕らの不安な気持ちを見透かしたように優しく語りかけてくれます。

リリースされた当時も“ノレないHipHop”という異端的な扱いで「トリップホップ」というジャンル分けをされていましたが、この曲の持つ包容力によってマイノリティに留まることなくヒットへと繋がり、時代を超えて愛される名曲となりました。



Millie Turner  “Swimming Pool”

2. 潜伏

ロンドンのシンガー、ミリー・ターナーの今年リリースのシングル曲。炎のような激しさをのぞかせながら、何かと「水」のモチーフが多い彼女。この曲もクールに展開しながら自分の内面へと潜っていくような印象で、冷たい水から次第に核心へと近づく度に熱を帯びていきます。

「 昼間+水辺 」が 開放的なイメージで使われるのに対し、「 夜+水 」が、内向的なイメージを勝手に抱かせるのは面白いなぁ、と思います。ひた隠しにしておきたいことも、夜になって露わになってしまう。それも夜の魔力でしょうか。



Jasmine Nelson  “Hercules”

3. 内省

そして自分と向き合う。よく「他人がいてこそ自分のことが分かる」なんて言いますが、どこまで本当なんでしょう。辛かった、よくやった、でもどうにも出来なかった、それでもよかった。一人になって、ようやく気付ける自分のこともたくさんあるように思います。

ジャスミン・ネルソンの歌声と向かい合う度に、素直な気持ちが蘇ります。昼間覆い隠されていた(隠していた?)自分の本心がようやく姿を見せるような。この所リリースのない彼女ですが、ぜひともまたその歌声を届けて欲しいものです。



Norah Jones  “Good Morning”

4. そしてまた

特別な時間はいずれ過ぎ去ってしまう。また朝が来る。大きな得体の知れない夜の力は、日の出とともに儚く消えて行く。ノラ・ジョーンズデンジャー・マウスと作り上げた異色作と呼ばれる「…LITTLE BROKEN HEARTS」収録のこの曲は、どこかそんな夜への未練、離れがたさをロマンティックに綴っているように思えます。

人間は一人で生まれ、人と出会い、また一人になって生涯を終える。昼と夜が繰り返すように、人生もまた孤独と共感の繰り返しなのかもしれません。



いかがでしたでしょうか。前回と打って変わり、かなり内省的な内容でお届けしましたが、夜というテーマは僕にとって、どうしてもパーソナルなものになってしまいます。それだけ夜という時間を愛しています。

一晩を友と飲み、語り明かす人。踊り明かす人。悩み抜く人。お仕事がんばる人。それぞれあるとは思いますが、僕にとって夜に生きる人々は、みんな愛らしい存在です。

音楽を通して、少しでも自分のコアな部分を確かめられたのなら、その夜に意味はあったのだろうと思います。素敵な夜がまた訪れるよう、陰ながらエールを送らせて頂きます。


ではまた👋🏻✨



(お時間ある方は、コチラもどうぞ✨)


サポートもすごく嬉しいですが、もし良いと思って頂けたなら、そっとフォローして頂けるととても励みになります。