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研究室学生集団での相互作用が彼らの成長をつくるのです。

当研究室では、学部4年生(B4)が、卒業論文の第1章から第2章くらいまでの内容を、年度末の本提出に先んじて執筆し、指導教員に「中間報告書」として提出するという文化がある。その提出期限が9月末だったので、昨日はそれを労うための学生集団での飲み会が開催された。

当研究室では、修士1・2年生(M1・M2)がB4の文章添削や発表資料添削を行い、異年齢集団での相互成長をはかる、という、私が研究室に入る以前から脈々と受け継がれている仕組みがある。

だから、修士の学生は後輩指導についてかなり熱く考えていて、飲み会ではいつも、研究室学生集団のあり方について熱い議論が繰り広げられるのだ。

昨日の飲み会でも例に漏れず、まずは各B4が中間報告書に対する自身の取り組みを自己評価した上で、修士の学生たちも含めて、どうすればより良い取り組み方ができたか、年度末の卒論本提出に向けてどう取り組んでいくべきか、各々が思うことを話し合っていた。

飲み会の時間が深くなるにつれて、反省のあまり泣き出したり、自分自身の反省も踏まえて改善に向けての意見を主張したりする子たちも現れる。

私は自分の意見をウワーっというタイプではないし、今年は特にB4が本音を吐き出せる場面が作れていないなと思ったので、今回は余計な口は出し過ぎず、なるべくB4の聞き役に徹してにこやかに穏やかに見守ろうと努めた。

日常的には彼らもやはり気が抜けてメリハリのない場面もある。

例えば、やや体育会系のノリが強くなると、それについていけない後輩たちは苦しむことになる。また、先輩と後輩が適切な信頼関係を築くためには、先輩側が歩み寄らなければならない場面も当然出てくる。

私も気になって指摘しようかと思うこともあるのだが、こうした飲み会をやると、やはり彼らは彼らなりに葛藤を抱えているのだということがわかって、それを自分自身の力で乗り越えられることを信じて待ってみようと思うのである。

それから一夜明けて今日、改めてその内容を振り返って、彼ら学生集団を客観的に見た人間として現状を整理し、大事なポイントだけでも伝えようと思った。

そこで、彼らにはこんなコメントを書いて、明日の夜に送信しようと準備している。

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M1の3人に共通する良いところは、物事にアツく取り組めるところと盛り上げ上手なところだと思っていますが、人によってはその雰囲気やスタンスを苦しく感じるときがあることをよく客観視して理解しておいた方が良いでしょう。

自分の意見を言う前に、まずは相当意識的に、B4が何を考えているのか、B4自身がどうしたいのかをしっかり聞いて理解する「聞く力」が問われています。それも含めて、今のままで後輩たちと適切な信頼関係を築いていけるかどうか、姿勢や行動をよく振り返ってください。

M1・M2に共通ですが、B4と先生方の議論のタイミングを作って、先輩たちもそれを一緒に聞きに行く姿勢は大変良いと思います。

その上で欲を言えば、例えば、緒言などの修正箇所を指摘するだけにとどまらず、どう直せば良いか、自分の考えを提案し、「これで(先輩・先生のところへ)行け」と言える力を期待したいところです。

(B4がどう直せば良いかわからなくて時間がかかって、期限に遅れている可能性はありませんか?その内容でもし先輩・先生にボコボコにされたら、それはM1・M2の責任なのです。でも、それで良いのです。それが、「期限を守らせる」ため、後輩を救うための第1歩です。)

また、研究室での生活習慣や目標設定などについて、まずは自分たちがよく自分自身を振り返る必要があると思います。

その上で、B4の目標設定をするときも、彼らの意見を聞いているようで、結局先輩たちの都合の良い結論の押し付けになっていないかどうか、よく気を付けてください。

さて、例年よりも同じ部屋にいる人間の数が増えたことによって、色々なことが起きているようにも感じます。同期・先輩・後輩がお互いに影響し合える豊かな環境は、中々得られるものではありません。そして、増加した相互作用の分、それがより良い影響を生むか、悪い影響を生むかは、皆さん一人一人の意識によって作られています。

ここまで研究室活動に取り組んできて、それぞれの立場での楽しみや苦しみを感じながらやってきたことと思います。

この研究室が大事にしているのは、学生の主体性です。

主体的に何かに取り組むことは、往々にして道なき道を進むことになり、苦しい思いをすることもあります。それでも主体性を大事にするのは、その苦しみの先にしか得られないものがあるからだと私は思っています。

また、今皆さんが取り組んでいる(半分取り組まされている…?)「主体的に物事を進める力」は、現代も今後も、確かに求められる力になります。

自分自身がより成長することを目的にしても、良い企業へ就職することを目的にしても、この先特に明確な目標が無いにしても、「自分自身の研究テーマに主体的に取り組むこと」「研究室学生集団の運営に主体的に取り組むこと」が、そのまま皆さんの力に繋がったり、学生時代の充実した記憶として強く残るはずです。

今年度後半戦も頑張っていきましょう!

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結局つい長くなってしまうのが悪い癖なのだが、何もしないよりはマシだと思ってやることにした。

彼らの頑張りを信じて、また年度末に向けて私も頑張っていこうと思う。

ちょっと応援したいな、と思ってくださったそこのあなた。その気持ちを私に届けてくれませんか。応援メッセージを、コメントかサポートにぜひよろしくお願いします。 これからも、より精神的に豊かで幸福感のある社会の一助になれるように挑戦していきます。