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記憶の額縁

定年を過ぎて、人生の半分を思い出してみる
あの頃は良かったな
あの頃は社畜だったな
かみさんとはお見合いで結婚して
息子と娘に恵まれて
マンションを買って
子供の学費を稼いで
残業しないと、単身赴任しないと
色々無理しながら定年を迎えた。

額縁に何を飾ろう

かみさんと出会った日の記憶
早く亡くなった親父の記憶
明治生まれだった祖母・祖父の記憶
炭鉱の社宅で生まれた時の記憶
コンビニも無い田舎暮らしの記憶
雨が降れば蛙の合唱
夏の日差しの蝉の声
ラジオから聞こえる音楽に心をときめかせ
稲穂がそよぐ風に満たされていた。

故郷を離れて
思えば遠くへ来たもので
子供には、今の場所が故郷になり
帰ることも少なくなりました。

あの時摘んだ花々を
額縁に入れていこう
言葉の代わりに
記憶のカケラとして
あの時の気持ちを忘れないよう
心の色を残して

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