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映画『カラオケ行こ!』 ショーモナイことに悩む男ども(ネタバレ感想文 )

監督:山下敦弘/2023年 日(2024年1月12日公開)

脚本・野木亜紀子、監督・山下敦弘の組み合わせは、あの傑作ドラマ『コタキ兄弟と四苦八苦』(2020年)コンビですね。芳根ちゃん投入は必然。

いきなり余談ですが、ウチの夫婦で「綾野剛は黒が似合うか白が似合うか問題」が勃発しましてね。
私は「黒服」のイメージを持ってるんですよね。岩井俊二『リップヴァンウィンクルの花嫁』(16年)とか。まあ、思い返すとあの映画で黒服だったかどうか怪しいんですが。
ところがウチのヨメは「白服」だという。
三池崇史『クローズ ZERO II』(09年)だと。古いな。まだ綾野剛が主役級じゃない時代だぜ。
結果、「傘が似合う」ということで落ち着きました。

この作品、珍しく原作マンガを読んでるんです。
正確には、映画を観てから購入したんですがね。
ただ私は、媒体には特性があると思っていまして、マンガと映画は(もちろん小説も)別物だと思っています。
なので、原作との比較どうこうは言わない方なのですが、今回は原作を読んだが故に気付いちゃったことがあるんですよ。

原作マンガは「女性不在」なんです。
全く登場しないわけでもないのですが、全く登場しないに等しい。

対して映画は、3人の女性が重要な役割を担います。

芳根ちゃん演じる合唱部顧問の先生
プーこと坂井真紀演じる母親
原作には影も形もない「合唱部副部長」

周囲の女子が会話します。
「(副部長は)何してるの?」
「子守り」

そうなのです。これは「子守り」の映画なのです。
言い換えれば、ショーモナイことに悩む「子供」な男どもの物語。
映画はそれを際立たせるために、原作にはない、肝の据わった「大人」の女性たちを登場させているのです。

ついでに言うと、「くれない」を掘り下げるんですよね。英語部分を和訳したりして。これは原作にはない。
「紅」ってだけで爆笑ポイントではあるんですが(なぜ可笑しいかは説明不能なんですが)、歌詞を掘り下げたことで、最後の「紅」がグッとくるんです。「紅」に笑い「紅」に泣く映画。

さらについでに言うと、エンディングが「合唱の『紅』」ということで、融合するのもいい。

そもそもファーストショットがいいんですよ。綾野剛の濡れた背中。映画的なファーストショット。
ただまあ、良く言えば小さい話、まあ、ショーモナイ話なんだ。

(2024.01.14 ユナイテッド・シネマとしまえんにて鑑賞 ★★★☆☆)

以下、余談(という名の与太話)
ショーモナイ男どもの一人である私のショーモナイ自慢(備忘録も兼ねて)

劇中に登場する映画。
『白熱』(1949年)
『カサブランカ』(42年)
『34丁目の奇跡』(47年)
『自転車泥棒』(48年)

『白熱』以外は全部観てるし、何の映画かすぐに分かった。
俺の映画観てるぜ自慢はさておき、「巻き戻せないビデオテープ」というのは、「あの時間は戻ってこない」という青春のようなものかもしれませんね。

劇中に登場する曲
「紅」(X JAPAN)
「One Night Carnival」(氣志團)
「残酷な天使のテーゼ」(高橋洋子)
「Lemon」(米津玄師)
「月のあかり」(桑名正博)
「行くぜっ!怪盗少女」(ももいろクローバーZ)
「異邦人」(久保田早紀)
「白日」(King Gnu)
「タイガー&ドラゴン」(クレイジーケンバンド)
「ルビーの指環」(寺尾聰)
「マシマロ」(奥田民生)
「歩いて帰ろう」(斉藤和義)
「少年時代」(井上陽水)

なんかもうね、私がカラオケでよく歌うジャンルで笑った。
歌ったことがないのは、桑名正博「月のあかり」くらいかな。
「哀愁トゥナイト」は歌うんだけどね。
「哀愁トゥナイト」はね、サディスティックスが演奏してるんだ。ギター高中正義、ベース後藤次利、ドラム高橋幸宏。
米津玄師「Lemon」は一度チャレンジして挫折したな。
King Gnu「白日」は何度歌っても上手くならないな。
氣志團は滅多に歌わねーな。斉藤和義なら「ずっと好きだった」、奥田民生ならユニコーン時代の「Maybe Blue」だな。
他は全部歌うけど、一番歌うのはももクロと井上陽水。
ももクロなら、そうだな、「猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」」かな。これはマーティー・フリードマンがギターやってるのよ。
井上陽水はレパートリーが多すぎて、一人で2時間リサイタルできるよ。
「娘がねじれる時」とか歌いたいね。
X JAPAN?もちろん歌いますよ。「Rusty Nail」とか。

あそうだ!カラオケ行こ!

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