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映画『ベネデッタ』 綺麗事は疑え!(ネタバレ感想文 )

監督:ポール・バーホーベン/2021年 仏(日本公開2023年02月17日)

最初に言いたいことを言っちゃいますが、シャーロット・ランプリングとは『愛の嵐』(1974年)以来長い付き合いですが、こんなに感情をあらわにする演技を見たのは初めてのような気がします。
この前の『すべてうまくいきますように』(2021年)では本当にボケちゃったかと思ったくらいだもん。

私の映画の多くは女性が中心にいる。つまり、ベネデッタは『氷の微笑』『ショーガール』『ブラックブック』『エル ELLE』のヒロインたちの親戚というわけさ。

ポール・バーホーベン(公式サイトから)

私は『ロボコップ』(1987年)と『スターシップ・トゥルーパーズ』(97年)しか観ていないので、彼の女性の扱いはよく分かりません。

どうでもいい話だけど、ベネデッタ役のヴィルジニー・エフィラって、ちょっと野呂佳代に似てません?一流女優と共演するようになって、野呂ちゃんも立派になったよね。
シャーロット・ランプリングとか(<だから野呂ちゃんじゃないって)。
安藤サクラとか(<それはドラマ『ブラッシュアップライフ』)。

ただまあ、『スターシップ・トゥルーパーズ』でも無駄に裸のシーンがあるんですよね。たしか、兵士たちが男女一緒にシャワー浴びるシーン。役者たちが嫌がったら怒ったバーホーベンが自ら全裸になって「お前らも脱げ」と言ったというエピソードを聞いたことがあります。全裸監督か。

そうそう、これこれ。

それで、『スターシップ・トゥルーパーズ』ですが(<『ベネデッタ』の話をしろよ)、私は皮肉に満ちた映画だと思ってるんです。
国家の甘言を鵜呑みにして志願した若き兵士たちが次々と惨殺される映画。
綺麗事は全部ウソ。
この『ベネデッタ』も同じ。
権力とか、規律とか、正論めいたものを振りかざしてくるものは疑わしいぞ!信用するな!という話のような気がします。
もちろんそこには、コロナ禍とかLGBTQとか、今時の社会性も取り込んでいるのでしょう。

ただ、バーホーベンが大人だなと思うのが(<80歳過ぎの爺さんだぞ)、
そういう「綺麗ごとに騙された!」みたいなことをギャーギャーわめき立てない点。わめき立てると思想性が強くなりすぎるんですよ。
のし上がる女の側もしたたかにそういう技を使ってますよね?どっちもどっちですよね?っていう描き方をしている気がします。

そうか、バーホーベンの描く女たちは、したたかに『氷の微笑』を浮かべているような女たちなんだな。お後がよろしいようで。

(2023.02.23 アップリンク吉祥寺にて鑑賞 ★★★☆☆)

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