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映画『ツィゴイネルワイゼン』 この映画が俺を映画沼に「突き落としたんだよ」(ネタバレ感想文 )

監督:鈴木清順/1980年 シネマプラセット

1980年、東京タワーの足下に銀色のドーム型テントが現われた。今や伝説として語られ始めているこの移動映画館シネマ・プラセットの初製作、上映作品が『ツィゴイネルワイゼン』である。噂が噂を呼び、動員観客数は単館上映としては異例の9万6千人を記録した。

Deep SEIJUN(2001年)公式サイトから

愛してやまない、私の偏愛映画。
市川崑『犬神家の一族』(1976年)と並ぶ、私の生涯ベスト邦画。
前回は鈴木清順追悼上映で2017年に鑑賞。今回は鈴木清順生誕100周年記念4Kデジタル完全修復版ということで、もはや何度目か分からないほどの再鑑賞。

初めて観たのは30年以上前の大学生だった頃、池袋の旧「文芸座」で。
とにかく観たことない映像満載で、ショックで、 センセーショナルで、劇中台詞にあるように、この映画が私を映画沼に「突き落としたんだよ」。

これまた台詞にあるように「狐に騙された」ような映画ではあるんですけどね。

原田芳雄が艶っぽい
この電話のシーンも衝撃だった

前回鑑賞の2017年、あるいはその前に鑑賞した2014年、2004年の私の鑑賞記録では「ほぼ解釈が済んでしまった」と書いていて、私自身も今回の鑑賞は「もはや新しい発見はないもの」と思って映画館に足を運んだんですが、いやはや、年齢を経て見直すと新たな発見があるものですな。

とにかく切り口が多い。

例えば声。
「今、何か言ったかい?」「突き落としたんだよ」「だめだね」

例えば食べ物。
ちぎりコンニャク、鰻の肝、水蜜桃、麦酒、戸棚にある(らしい)タラコ。

例えば肉体。骨、肝。

例えば三角関係。男2人、女1人。

例えば、この子の父親は本当は誰なのか・・・。

ちぎり蒟蒻は内田百閒の原作にも出てくる

これらに事細かな解釈を与えようとするのは、野暮なんですよ。
だって、そういう原作なんですもの。

(2023.04.16 渋谷ユーロスペースにて再鑑賞 ★★★★★)

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