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怪我したら何食べる?

パフォーマンス向上コーチ、タケダイグウジです。

残念ながらアスリートに怪我はつきものです。

打ち身や擦り傷、捻挫、筋肉の損傷、骨折、靭帯や腱の損傷と大小多岐に渡ります。

手術が必要な場合は動かせない期間が長くなったり、回復の為に栄養補給が通常と異なるのでしょうか?

そもそも損傷を受けると、患部の炎症反応、免疫反応、代謝反応が活性化され、代謝亢進状態が生じます。この代謝亢進状態と傷害治癒プロセスをサポートし、除脂肪体重 (LBM) の減少を防ぎ、血糖値の制御の強化には多量のエネルギーになる栄養素とビタミン&ミネラル等微量栄養素が必要です。

今回は下記のリサーチをベースに他でもスポーツ栄養士さんに習っていることを書いています。

"Nutritional Considerations and Strategies to Facilitate Injury Recovery and Rehabilitation" リンクはコチラ

"Nutritional Considerations for Injury Prevention and Recovery in Combat Sports"   リンクはコチラ

エネルギーの確保はどれくらい?

ざっくりとどれくらい食べたら良いのかは怪我の具合やどれくらい動けるかで変わってきます。

1 日の総エネルギー必要量 = 基礎代謝量 × 活動係数 × ストレス係数

基礎代謝量はざっくりと体重×25kcalで計算。


アクティビティレベルは動けないところからバリバリ練習復帰してるところまで、ストレス係数は軽傷から骨折、重傷、術後、火傷等で変わります。

下記画像がどれくらい食べるのかの例です。

左側
野球選手、21歳、182cm、81.7kg
腱板損傷
基礎代謝2000~2045kcal
アクティビティレベル1.2
ストレス係数1.2
2000×1.2×1.2=約2900kcal が最低ライン
炭水化物 3~5g/kg 245~410g
たんぱく質 2~3g/kg 164~245g
脂質   1g/kg 82g

の様な割合になります。

タンパク質の必要性

怪我後はアミノ酸の需要が大幅に増加します。アミノ酸の取り込みが促進され、創傷治癒、組織の再構築、血糖コントロールをサポートし、十分な栄養補給がなければ、アミノ酸が骨格筋の分解によって補われてしまいます。
怪我の重症度、固定の期間、損傷から手術までの時間の長さによっては、骨格筋が大幅に失われる可能性があり、除脂肪体重が減ると傷の治癒が遅れる可能性があります。

必要量としては1.6g以上ですが、多めにみておいて
2.5g/kg
くらいは食べる様に。
1食辺りは30g以上で、0.4g/kgを目標に。
これだと3食食べても足りないのでプロテインやスナック等で補食。
なるべく日中は消化が早い高ロイシンのものを(普通に魚や肉でOK)
寝る前は消化の遅いものを。

炭水化物

摂取したたんぱく質が組織の回復や修復に必要なエネルギーになります。

高炭水化物食は、高脂肪食よりも筋タンパク質の分解を軽減します。
怪我からの回復中に推奨される量 約 3 ~ 5 g/kg
またはリハビリテーションまたは回復中の総カロリーの 55% を複合炭水化物として摂取する必要があり、全粒穀物、果物、野菜、が含まれます。
運動活動が増加すると、炭水化物の必要量も増加しますが過度に量を増やす必要はないです。

必須脂肪酸(脂質)

炎症反応は傷害により開始され、最適な治癒には非常に重要なのですが、長引く場合は炎症を鎮めるものを摂取すると良いです。
抗炎症作用が高いオメガ3脂肪酸です。
魚、特に青魚、アマニやえごま油等

オメガ6脂肪酸は特に制限はないですが、オメガ3との比率を
2:1にするのが理想で抗炎症効果が高まることから、あまり摂取しない方が良いでしょう。

抗炎症効果が高まる食材として、ターメリック(黒コショウと一緒に摂取)、にんにく、パイナップルなどがあります。

サプリメント

クレアチン: 筋肉が減るのを防いでくれるので一時的に大量に摂取すると良いでしょう。昔の方法でローディング期間と同じように1日20g(4回程度に分けて)摂取し、5日くらいおこない後は通常と同じく5g程度を毎日摂取します。

プレバイオティクスとプロバイオティクス: プレバイオティクスは食物繊維に含まれる栄養素であり、プロバイオティクスは乳酸菌等の善玉菌と呼ばれる微生物です。免疫系における腸内細菌叢の重要性が近年注目されているので腸内細菌叢に介入することで、免疫能を高めたり、外科的治療後の抗生剤による副作用軽減にメリットがもたらされる可能性があります。野菜やフルーツで十分に摂取出来ていない場合はイヌリンの様な水溶性食物繊維を加えるのをお勧めします。

関節・結合組織損傷に対する栄養戦略

関節、靭帯、腱および結合組織は最も頻度の高い受傷部位で、これらの怪我によってパフォーマンスが低下し、時に動けなくなる可能性がある。筋損傷の回復に比較して、関節や腱および結合組織のダメージの回復過程は、完全に解明されたと言えないが、現在までの研究から、結合組織たんぱく質のコラーゲンゼラチンなど。コラーゲンは1日10g程度摂取で痛みの軽減が期待出来そうです。ゼラチンはもう少し多く摂取で15g程度。

ビタミンC
も合わせて摂取するとコラーゲン合成が高まるそうです。

骨損傷に対する栄養戦略

十分なカルシウムとビタミンDを摂取することは、骨折の治癒機転での最適な骨形成に重要な役割を果たします。ビタミンDレベルが低いと膝の手術後の回復が遅延するとの報告がある。また、800IU/日のビタミンD2,000mgのカルシウムの補給が、女性の海軍新兵の疲労骨折リスクを減少させたとの報告もみられる。ただし一方で、過剰摂取のリスクがあり、依然として議論の余地がありそうです。

やっぱ日本人は黙って煮干しかじるのが良いかね。高たんぱくでカルシウムも摂取出来ちゃう。100本食べたらなんと65gもたんぱく質摂取出来ますよ。

まとめ

めちゃくちゃたんぱく質摂取して、適度にご飯食べて必要なら煮干しにクレアチンですかね。動かないから結構食べられない選手多いですが意識して食べる様に努力してください。

僕はトレーニング分野で包括的かつ競技別に最適なサポートをしていきたいので、筋トレ、持久トレ、ムーブメントトレに栄養のサポートもしていますので興味があるアスリートはお問い合わせください 

コチラ


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